第27話 「無休」の魔王・ダースラット
ダースラット初登場回です。
ゆーてサクッと終わらせる予定ですが、ドレムがなんで彼を苦手にしているかがわかるかな、という感じで進めたいと思います。
ドレムとエレーナは、ダースラットが治める町「ガリウス」へとやってきた。
巨大な風車が聳え立つ街ではあるのだが、少々厄介なところが。
そう、ダースラットの戒律である「無休」である。
「無休」に取り込まれた者は、寝ることも休憩も許されないので、例えで言ってしまえば、「町民全奴隷政策」と言わんばかりである。
まあ、ドレムとエレーナが訪れた時もそんな感じであったので……。
ドレムはこれに耐え切れるわけなく、サイクロプスであるダースラットを見かけるなり、詰め寄った。
「オイ、ダースラット……お前、相変わらずそんなことやってんのかよ?」
「ああ? なんじゃい、ドレムよ。急に我の街を訪れたと思ったら第一声がそれか。」
ドレムに気付いたダースラットは、作業をしながら訝しげに声を発した。
「何回も言ってんだろうがよ……お前みたいに特別頑丈じゃねえんだからよ、お前の魔法を使って町民を酷使すんじゃねえってよぉ? だから過労死する奴らばっか出んだよ。」
「働かねば発展など出来ぬ。それが我の信念だ。貴様のマーレインのような温い環境下では我は居心地が悪い。」
「てめーの考え一つで街が普及するとでも思ってんのかよ? 街を生み出してんのは人なのを忘れてんじゃねえだろうな?」
「人員ならいくらでもおる。我の糧になるのだからな。」
ドレムと取り合わないダースラットだが、それでも手を動かしながら町民と共に手伝っている。
ドレム曰く、ガリウスで以外の街ではティタノゾーア以上に嫌われているとのことだったので、やりにくいのはあるのがこういうのが理由だろうな、とエレーナは改めて思った。
嘗て西に位置する国・『ロナドス』を支配していた時も労働していた人間が、それも大の男が泣いて赦しを乞うほどの苛烈さを極めていた。
実際に戦っても、ウォレスがガードを張っていなければ負けていたまであるので、魔物ならギリギリでダースラットのスパルタ的な感じに付き合えるのだろうな、とエレーナは内心で2人のやりとりを見て思っていた。
だが、自由人であるドレムと、根っこが生真面目なダースラットの反りが合うわけがなく、トラブルが起こるのも事実である。
「……どうやら聞く耳を持つ気はねえようだな……? だったらとっととテメエの魂を奪って……さらばとしてやるよ……」
ドレムもカチンと来たのか、左腕に魔力を集約させた。
切れ者のドレムにしては珍しい。
が、ダースラットも交戦の構えに出る。
巨大な石の角材を手に持ち、構える。
「この街では我が絶対ぞ。逆らうというなら叩きのめすだけだ。」
一触即発の空気になり、このままではまずいと思ったエレーナが止めに入る。
ドレムの元へ走り、飛び蹴りで右脇腹を蹴り飛ばしてダースラットの攻撃を剣を引き抜いて止めた。
「……? 何故勇者が此処におる……? 尚更解せぬな……」
「何やってんのよ!! こんな大事な時に!! 喧嘩して何が生まれるのよ!?」
エレーナはダースラットとドレムを一喝し、睨みつけた。
「オイ、エレーナ!! テメエ、何しやがる……!!」
「黙ってろ、アンタは!! アンタが喧嘩吹っかけるからこんなことになってんでしょうが!!」
だが、ダースラットはエレーナの制止にも容赦はしなかった。
「貴様らグルか……? 何しに来たんだ。去れ。」
角材を思い切り振り回し、エレーナを攻撃するダースラットだったが、エレーナは剣でこれを受け止め、脚を踏ん張らせて歯を食いしばる。
「ホンット、分からずやね、男って……!! 話くらい聞きなさいよ!!」
エレーナはグッと左手を握った。
すると、エレーナの手の紋章が輝いた。
「出来れば使いたくなかったけど……仕方ない! 『闇魔解除』!!」
エレーナが上空に手を掲げると、紋章が反応して眩い光が発せられた。
それはガリウス中を覆い、働いていた魔物達を一気に鎮静化させた。
ダースラットもこれに気付いた。
「貴様……!! よくもやってくれたな……!!」
「いーから落ち着きなさいよ!! 魔界が大変になるって時に呑気に働かせてる場合じゃないでしょうが!!」
「なに……?」
ダースラットは猜疑的な顔になった。
興味ありげ、という意味で。
「……まあ、カリカリしてても仕方ないわよ。とりあえずなんか食べてさ、話くらい聞いて。」
エレーナは鍔迫り合いを解き、剣を納めた。
エレーナは呆れているような顔を浮かべていた。
「……すまん。ついつい熱くなってしまったな。それで? 如何様だ、勇者エレーナ。」
「うーん……私じゃ説明が難しいからさ、ドレムから聞いて。」
「オイ!!」
ドレムが思い切りツッコミをエレーナに入れる。
だが、エレーナの言うことも尤もで、人間の話を素直に聞く魔物でもあるまい、とエレーナは考えていたので、ドレムから話を切り出す方がちょうどいい。
実際交渉していたのもドレムだったので、ドレムの言うことだからすんなりと従えたというだけだ。
「は? ……まあいい、聞こう。とりあえずそこに座れ。」
ダースラットも漸く聞く気になったようで、近くの路地裏で昼食がてら、ドレムから話を切り出すことにしたのであった。
魔界の危機がティタノゾーアの手によって迫っていること、その計画を止めるためにエレーナが必要だということ……ドレムは一から説明をしていくのであった。
次回はダースラットがティタノゾーアの計画を知る回になります。
魔界編はダースラットとプルトニアだけなんで、残り。
実際割と短めです、全体的には。




