第19話 エルフの森・ノーブルピア
今回は新魔王が出てきます。
登場人物紹介の更新は後ほど。
また、カクヨムの方で前日譚の公開をしましたので、そちらの方も重ねてよろしくお願いします。
エンヴィラスの元を後にした二人は、「侮蔑」の魔王・クライアがいる「ノーブルピア」に向かうことにしたのだった。
「はー……クライア、苦手なんだよな〜……性格的に……」
エレーナはため息を吐きながら歩いていく。
「まあしゃあねえよ、そういう奴なんだから。……今回の交渉はマジで厳しくなるなって俺も思ってるからな。」
クライアは忠義心が七魔王の中で最も強いので、難航するのは目に見えている。
だが、そこは策士・ドレムのことだ、何か勝算があるのだろうか……。
ただ、今回はドレムも頭を悩ませているようで……。
「ファスティアのヤツを先に行ったのは正解だった気はするかもな……じゃねえとアイツは交渉にも応じねえヤツだからな……クライアはファスティアを一番尊敬している。だからアイツの名前さえ出せばどうにかなんじゃねえかなー……って気はしてんだがな……」
「へー……そうなんだー……けれどドレムが上手くやればいいんじゃないの? そこ。」
「……どうかなー……マジでめんどくせーヤツだから……どうなるか俺も予測不可能なんだよな……」
「あー……そこは分かるわ。何かにつけて文句言いそうだし……」
「まあ……やれるだけやってみるわ。もうちょっとで着くからがんばろーぜ。」
……とまあ、いいところが二人にはあまり見つけられなかったクライアだが、一応実力はあるのだ。
2人はノーブルピアに向かって歩き出していった。
2人はノーブルピアに到着し、入り口に入った瞬間だった。
ノーブルピアの門は森である。
そこに入った瞬間だった。
ビュン!!! と、風魔法が飛んできた。
それはドレムの髪先を容易く切り裂いた。
「……オイオイ、物騒なお出ましだなあ……クライア……」
と、そこに肌の黒い妖精が飛翔してきた。
クライアだった。
幼稚園児くらいの身長しかないが、一応そういう種族なので年齢は39歳だ。
長寿のエルフだったら若い部類なのだが、これでもノーブルピアの長なのである。
「誰かと思ったらドレムじゃない!! 何よ、アンタこそ!! アポ無しでこんな所まで来てさあ!!」
……意外にも喋っていることがまともだ。
エレーナはそう感じていた。
「いーじゃねーかよ別に。お前に話があって来たってのに。つれねえな、オイ。」
「何よ、話って!! 侵入者かと思ったじゃないの!! ……で? 何よ、その話って。」
「……お前、バカだから単刀直入に言うぞ……ティタノゾーア様をぶっ倒すために……テメエの魂の半分を俺に預けてくれ。」
途端、クライアの顔が歪む。
怪訝そうな顔をして、クライアはこう答える。
「イヤよ!! だいったいねぇ、ドレム、アンタさ!! 自分が何をしようとしてんのか分かってんの!? 裏切るって事だよ!? しかもそこにいるエレーナと結託して!? 魔族が勇者に手を貸すだなんて聴いたことないわよ!! アタシは絶対ヤダ!!」
「テメエだって一国の長だろうがよ。民の声を聞かねえのか? あ?」
「知らないわよそんなの!! 大体そんなのに賛同するヤツいるの!? 魔王で!!」
「現にいなかったら、お前のところになんざ来てねえよ、このチビ。……ヴィラとファスティアからは了承を得ている。とりあえずあとはお前含めて4人だ。」
「ファ……ファスティアさんが了承してるって……!! ホント見損なったわよ!! 何よそれ!! 同調圧力ってヤツ!?」
「……別に強制ってわけじゃねーよ……ただよ、民のためだから……もし拒否するってんなら力尽くでも貰ってくぜ?」
「何よホント!! 無駄に頭いい癖して、そんなこと思ってたわけ!? アンタはティタノゾーア様に助けられてんでしょ!! それなのに恩を仇で返すわけ!? 信じられない!! どこまで翻弄すれば気が済むのよ!!」
「こっちゃあ現実見ちまってんだよ!! 困窮してる民を救うのが魔王の役目じゃねえのか!? アア!?」
エレーナの予想通り、険悪な空気になってしまっていた。
エレーナは仕方なく止めることにした。
「とりあえず落ち着いて、2人とも。ここで言い争っても仕方ないよ。」
エレーナが仲裁に入り、ドレムとクライアが離れる。
「……悪い……熱くなりすぎた。」
「フンッ!! ホント訳わかんない!! とにかくアタシはやんないから!! 二度と来んな、頭でっかち!!」
そう言い残し、クライアは超速でノーブルピアの街まで飛び去っていったのであった。
「……どーすんのよ、ドレム……結局失敗じゃん。」
「……悪い、俺の見立てが甘かった……しかしどうするかな……シスノガータ様の試練を受けるにはどうしても必要なのに……」
「ハー………いいよもう。私が行ってくる。」
「あ? ちょっと待てエレーナ。なんか策でもあんのか?」
「……ちょっとぶちのめしてくるわ。ホント見てらんない、あんな醜い言い争いは。」
と言い残し、エレーナはズカズカとノーブルピアへと入っていった。
「オイ待て!! ……チッ……どうなっても知らねえぞ……ったく、話拗れるかもしれねえのに……」
ドレムの心配も他所に、エレーナはノーブルピアを進んでいくのだった。
次回は意外な展開。




