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第18話 依頼(クエスト)・「カラスの帳」

今回はエンヴィラスの頼みを受ける回です。

バトルありです。

純粋な恋愛じゃないからね、この物語。

 ディアボロの街を歩く3人。


エンヴィラスが直に頼みたい、ということだったのだが、かなり長い距離を歩いている。


「……オイ、ヴィラ……一体何させようってんだよ。」


だいぶ酔いが覚めたドレムが悪態を吐きながら聞く。


「まあまあ、行けばわかるよ。」


「……魔王ってこんな自由人しかいないの……??」


楽観的なエンヴィラスに半ば呆れ返るエレーナ。


「……あーいうやつだからな……俺もコイツとは歳近くて付き合いも長えんだけど……未だによく分からねえんだよな……」


「……まあいいわ。行きましょ。」


約40分。


歩いた先に辿り着いたのは。


何やら洞穴みたいな場所だった。


「………なんだこれ。ダンジョンみてえだが……」


「『ケンブリッジ』の採掘場所さ。ケンブリッジは……普通は青色の鉱石をしているんだ。けれど最近この最奥部に……黒いケンブリッジが発見されてね。僕たちは『カラスの帳』、そう呼んでいる。」


「……まーた変なもの採らせようってんじゃねえだろうな? お前、そういう趣味だもんな……」


「さあ? どうだろうね?? ここは最近知性の無い魔物が多くなってきてね、採掘に行った奴らが死んでいる。それを討伐して欲しいんだ。」


「なーるほどね、そんなこと? 分かったわ。じゃ、2人で行ってくる。」


「うん、よろしく頼むね。」


こうしてエレーナとドレムは洞窟へと入っていった。





 出てくる魔物を倒しながら進んでいく2人。


「……案外多いわね。どんな魔物なのよ、ホントに。」


「……全くだ。詳細は言ってなかったからな……あの野郎、帰ったら覚えとけよ、マジで……」


2人は「カラスの帳」より、どんな魔物なのかが気になっていた。


ドレムに関しては物欲が無いので、「カラスの帳」に関しては全くもって興味が無かった。


2人はどんどん最奥部へと進んでいく。


約20分。


探索し続けて、ようやっと最奥部まで辿り着いた。


「……これが『カラスの帳』……?? 確かに綺麗だけど……どう採るの、これ。」


「知るかよ、ヴィラじゃねえとよ……つーか魔物がいねえじゃねえかよ……どういうことだ?? アイツが嘘吐いたってわけじゃねえだろうけどよ……」


「言われてみれば……そうね……って……」


エレーナが天井を見上げると、触手のような魔物が居た。


「チッ……こういうことかよ……」


触手は先を大きく口を開けるように拡げ、襲いかかった。


2人は間一髪で避けるが、追撃が来る。


それも何十本も。


「コイツは恐らく吸血系の魔物だろうな……!! 大勢の魔物が死ぬのも納得はいくぜ!」


「何よそれ!! 少なくとも人間界には居なかったわよ!? こんなやつ!!!」


「まあ……丁度いいわ、コイツを試すいい機会だからな!!」


ドレムは剣を取り出し、構える。


そして物凄いスピードで触手を切り刻んでいく。


だが。


ボコッ、ボコボコボコ……、という気色悪い音とともに触手が再生し、ドレムに襲いかかった。


危機を察知したドレムは斬りながら逃げる。


「めんどくさっ!!! 再生する魔物ってなによ!!!」


「エレーナ、落ち着け!! ああいう奴は『(コア)』があるはずだ!! 恐らくは……天井の中!! 俺が引きつけるからエレーナはそれを探してくれ!! 勇者の力なら出来るはずだ!!」


「分かったわ!! やってみる!!」


ドレムが触手を駒切れにしていく中、エレーナは天井へ向けて左手を掲げた。


(「弱点露出(ウィークマインド)」……お願い、核を見せて、私の紋章……!!)


エレーナは目を閉じ、紋章を脳内映像に変換させ、送る。


そして視えた。


弱点が。


(……ここから()……!? マズイ、ここからじゃ倒せない……!!)


エレーナは触手を尚も斬っているドレムに問いかけた。


「ドレム!! 核は東!! ここから点けない場所にあるわ!!!」


「マジかよオイ……仕方ねえ、今の俺じゃあ反動はデケエが……やるっきゃねえ!!」


そう言って魔法陣を生成した。


「闇魔法……『シャドーブラスト』!!!!」


ドレムは剣を前に突き出し、周囲に闇魔法の大爆発を引き起こした。


狭い最奥部なので、威力も絶大で、一瞬で道が出来た。


ドレムはガクッと膝を突く。


「エレーナ……!! 時間がねえ!! 俺がやられねえ内に仕留めろ!! 」


「分かってる!!」


エレーナは開いた道を走り出し、弱点があった位置へと向かった。


一方のドレムは、疲労度の高い身体に気合いで鞭打ち、決死の想いで剣を振った。




 到着したエレーナは、渾身の力を剣に込める。


だがここで触手が襲いかかってきた。


エレーナの、やや真上から。


時間は取れなかった。


本当にコンマ何秒かの勝負だった。


「………『正義の聖剣(ジャスティスセイバー)』!!!!」


光を纏わせ、天井に向かって剣を突き刺す。


光の刀身が刺さったと同時に伸び、核にモノの見事に突き刺さった。


ギャオオオオオオオ…………という禍々しい呻き声が天井から聞こえてくる。


「うるさっ……!! けど……!! これでトドメだァァァァァァァァ!!!!!!!」


エレーナは一瞬左耳を塞いだが、やるしかないといった想いで、右手に渾身の力を込めて光を強める。


やがて声が止んだ。


しかしその時だった。


一瞬天井が光ったと同時に爆発音が洞窟内を覆った。


咄嗟に剣を引き抜いたエレーナだったが、時既に遅し。


150メートルほど、爆風によって吹き飛ばされたのだった。




 「オイ!!! エレーナ!!! しっかりしろ!!!!」


意識を失い、倒れているエレーナに、いち早く発見したドレムが必死になって呼び叫ぶ。


だからといって、ドレムも限界を超えていて、身体が思うように動かなかった。


「クソッ……!! エレーナ!!! お前がくたばってどうすんだよ!!! ……バカヤロウ!!! まだ早えだろ!! アイツらの元に行くのは!! 何のために俺は……!! テメエを魔界まで連れてきたと思ってんだ!! ここでくたばるためかよ、オイ!!!!」


と、ここでエンヴィラスが到着した。


「2人とも、大丈夫か!?」


「んなこと言ってる場合か!! 魔物は倒したが……!! ここは崩落寸前だ!! けど生憎()()()()()()()!!! さっさと逃げんぞ、ヴィラ!!」


「……そういうことね……分かった。脱出するよ!!!」


エンヴィラスは何かを察したようで、2人を抱えて洞窟を抜け出したのだった。





 翌日。


「うう……ここは……??」


エレーナが目を覚ました。


そこはエンヴィラスが経営しているBARだった。


「……よう。目覚めたかよ、バカ勇者。」


先に起きていたドレムがエレーナに声をかける。


「バカって何よ!! って、アタタ……ねえ、何があったの? 全然覚えてないんだけど……」


「あの爆発のあと……意識飛んでたんだよ、お前。それをヴィラがここまで連れて脱出したってだけだ。」


「……まあいいわ。これで任務完了なのかな?」


「……さあな。『カラスの帳』を採ってきていねえ以上……いいのかが分からねえよ、俺でも。」


と、ここでエンヴィラスが部屋に入ってきた。


「ああ、目覚めたんだね、2人とも。」


「………ヴィラ。助かったぜ。お前がいなきゃあ……間違いなく俺らはあの世行きだった。」


「ドレム、礼を言いたいのはこっちの方だ。ここ最近の悩みを解決できた。こちらこそありがとうだよ。」


「……ったく、テメエが素直だとこっちの調子が狂うっつの……」


ドレムは照れ臭そうに頭を掻く。


と、ここでエンヴィラスが魔王の魂半分を手渡した。


「……あ? お前の目的は鉱石じゃなかったのか?」


「あの状況なら採掘は無理だ。だからあとはボクがやっておくよ。これは感謝の気持ちだ。」


「……悪いな。じゃあ……貰っとくわ。」


ドレムはしみじみとした顔で報酬を受け取ったのだった。


「ところで……次のところは決めているのか?」


「まあな。『クライア』のところへ行こうかと思ってるぜ。」


クライアとは、エレーナが2番目に戦った魔王のことで「侮蔑」を司っている女性の魔王だ。


「ダークエルフ」で、それを生かしたスピードある攻撃が武器だ。


ただ性格に難があり、相手を見下すところがあって、かなり手を焼く存在だ。


「……そうか……難しいところから行くんだね、君は。」


「早えところ……説得に行きてえもんでな。エレーナのためにも。」


「……そんなにエレーナが好きなら今度女の子を紹介してよ? 君の妹でもいいから。」


「なっ……!! なんで対価がムーユなんだよ!? テメエにはやらねえぞ!? ウチの妹は!!!」


思いがけないエンヴィラスの揶揄いに、ドレムの頬が朱に染まった。


そんなこんなで2人はBARに1日泊まっていき、疲れを取った後でクライアのいる「ノーブルピア」へと向かっていったのだった。

次回はクライアに会います。

まあ、クライアはド変人に仕上げたいなと思いますので、よろしくお願いします。

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