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第14話 「独裁」の魔王・ファスティア

ファスティアの肩書きは「独裁」とありますが、根っこは面倒見の良い女性で、子供たちには優しい性格です。

戦闘面は典型的パワーファイターで、エレーナ達は純粋なパワーに苦しめられた経験があります。

今回はそこを深掘りすると共に、サービスシーンも用意してますのでお楽しみにwww

 2人は「ナチョス」の街に足を踏み入れた。


この国はオーガ族が多く、事実、力自慢が多い場所だ。


案外賑わっている。


エレーナは人間だとバレないように、ムーユから手渡された「サタンペイント」を塗って魔族に変装していた。


「……王城ってどこ?」


「ここからだいぶ歩くんだよな。しかも賑わっちゃあいるが……そこまで行くのは森みてえに街が入り組んでる。要塞としては最強クラスを誇るんだよ、このナチョスは。」


「確かに攻めにくそうではあるよね……本丸まで辿り着くのにも兵力は使うでしょうね……」


「全くだ。……ファスティアの統率力も相まると……ナチョスの本城『ゲシュトッポ』は落とせねえ。ティタノゾーア様でも落とすのは30万もの兵が必要って言ってたしな。」


「……今回はそのティタノゾーアを倒すために協定を結びに来たんでしょ? どうなの? ファスティアは実際。」


エレーナが今日の交渉相手であるファスティアのことを聞く。


エレーナは彼女とは「メルガリア」で激闘を繰り広げて以来の再会となる。


色んな意味で力が全てと考える人物だった、というのがエレーナの印象ではあるのだが……。


魔界から見てファスティアという人物はどうなのかをエレーナはドレムを通じて知りたかったようだった。


「……まあ、頑固なヤツだが……ちゃんと理解さえしてくれりゃあ超合理的なヤツだ。俺が手順よく説明しねえとアイツの山は動かねえ。根気はいるし、癪に触っちまったら即キル。……命懸けの交渉だよ。」


「……なるほどね。それでなんで私まで??」


「大義名分が要る。そのためにはエレーナが必要なんだよ。」


「あーハイ、そうですか、私は結局道具にすぎないんですかー、そうですかー。」


「バカヤロウ、これは魔界も救い、人間界も真の意味で救う戦いなんだぞ? お前を蔑ろにするわけねえだろ?」


……なんて与太話をしながら2人は入り組んだ街並みを突き進んで行ったのだった。




 王の間へと通された2人。


しばらく待ち、ファスティアが現れた。


紫色の肌に畏怖を感じさせる赤い吊り目、髪は銀と気品と絶対的なカリスマを感じさせられた。


「……よく来たな。ドレム。」


「ああ……久しぶりだな。ファスティア。」


魔王同士、互いに静かに火花が散っている。


「要件はムーユからの使い魔を通じて聴いておるが……詳しく聴こう。」


「……お前は昔っからそうだよな……まあ、説明は後にして、単刀直入に言わせてもらうと……俺は勇者と協力してティタノゾーア様を討とうと思っている。」


ドレムはニヤリと笑い、エレーナの肩をポン、と叩く。


これを聞いたファスティアの従者からはどよめきが走り、ザワザワし始めた。


「やかましい!! ドレムが訳を話そうとしている所だろ!!」


ファスティアは顔を顰め、部下達を一喝した。


部下達は静まり返る。


これが独裁の力か、とエレーナは改めて感じていた。


「……すまないな、ドレム。続けよ。」


「俺は……復活してから諸国を回ってきた。田舎も含めて全て、だ。すると聞こえてくるのはどうだい、ティタノゾーア様に対しての不安と不満……それに恐怖に怯えて生活している民の数々……それを解消するためさ。だからまず、エレーナに接触して協力を持ちかけた。魔界と人間界の……和解のために。」


「ふむ……理屈はわかった。して、どうする気だ?」


「『7魔王の魂』が何故……ティタノゾーア様が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()気にならねえか? おかしいと思わないのか? なんで……俺たちの力を得たくらいで勇者一行がエレーナ以外一撃で殺されたのか……分からねえか? まず俺はそこを逆に聞きたい。」


「フン……相も変わらず面白い男じゃな……確かにそこは気になっておった。興味は尽きぬが余計な詮索ではないのか? ドレムよ。」


「詮索じゃあねえさ。推測でしかねえが、そういう呪いを仕込まれた、とかじゃねえと理屈は通らねえ。」


一つ深呼吸し、ドレムは続ける。


「つまりは……お前らにこの事を話し、説得する。魔界を平和にし、人間界に和解の協定を持ちかける。争いのない平和な世界を築き上げるためにな。」


「説得して何になる? 話の脈絡が見えないぞ?」


「ティタノゾーア様は俺たちの力を得て怪物クラスにまで仕上がった。お前らを説得するのはもう一つ理由がある。それは……エレーナの勇者の剣を覚醒させるために必要な事、素材の調合と同時に()()()()()()()をあの剣に取り込む。だからまずは俺にそれを預けて欲しいんだ。」


どよめく周囲。


ドレムの事を噂程度で知っている部下達は謀反に困惑の色を隠せなかった。


「なるほど……お前の言いたいことは分かった。2人とも、私の部屋に来い。そこで改めて協定を結ぼうではないか。」


「ああ。助かるぜ、ファスティア。」


ファスティアは玉座から立ち上がり、部下達にこう告げた。


「各々公務に再び就け!! 私はこの誘いに乗る、お前達も準備をせい!!」


「ははっ!!!!」


こうして3人は、ファスティアの寝室へと向かっていったのだった。




 寝室へと案内され、3人は向かい合わせでそれぞれ座った。


「……それで? 言いたいことは先程話したことと変わりないな?」


「ああ。……だが、もう一つやるべき事があってな。」


「なに? やるべき事だと??」


「ティタノゾーア様と双璧を成す『()()1()()()()()()』がいるだろう? 名を殆ど知らねえ奴らが多いがな。」


「……シスノガータ様か。『調和』を司る御方が……」


「そうだ。シスノガータ様に認められれば……勇者の剣覚醒に必要な素材が手に入る。……『グリワモールプラチナ』さ。()()()()()()()()()()()()鉱石。これが絶対に必要なんだ。」


事前に聞かされておらず、寝耳に水だったエレーナは、目を見開いてドレムの方を見ていたが、黙ってここはドレムとファスティアの話を聞くことにした。


「理屈は分かったが……(わらわ)たちはまだ……力が戻り切っておらぬ。何か打開策はあるのか?」


「これは昨日のうちに作ったんだが……」


と、二振りの剣をドレムは取り出した。


プラチナ色に刃が染まっている。


「……カリーティアとミスリルを合わせて作った剣か……珍しいな。」


「これが俺の新しい武器だ。コイツは魔法威力アップのサポートができる。勿論切れ味も保証できる。」


「……フフ……ハハハ!! やはり考える事が違うな、ドレムは!! 昔から異端じゃったがこれ程までとは!!」


ファスティアは水を一つ飲み、エレーナに聞く。


「ところで、エレーナよ。」


「何よ?」


「ドレムとは今はどのような関係じゃ? ただ単に同盟関係というわけでもあるまい。」


ファスティアの言う通り、通常なら勇者と魔王というのは相入れる存在だ。


何故協力しているのか、ファスティアはそこを聞きたかったようだ。


「え? ドレムとは……」


婚約者(フィアンセ)だ。」


「違うわアホ!!!!」


エレーナは急に口を挟んだドレムを赤面しながらぶっ叩いた。


バシィィィィン!!! という音が部屋中に響き渡る。


「何が違えんだよ、俺のこと抱き枕にして寝てたクセに。」


「今はしてないでしょうが!!! ……ああ、ごめん、ファスティア。ドレムはただの従者!! 勘違いしないで!! 私の方が立場は上だから、形式上!!!」


エレーナは慌てて釈明するが、当のファスティアはニヤニヤしていた。


「喧嘩するほど仲が良いって聞くからのぉ〜〜……お主ら、このまま契りを交わしても良いのじゃぞ???」


「なんでそうなるのよ!!」


「あー……いいかもしれねえな。ここでキスなんて……」


「アンタは黙ってろ!!!」


……と、2人の魔王に振り回されながらツッコミをしていく勇者エレーナ。


「ハッハハハ、冗談じゃ、冗談。……とはいえ折角来たんだ、夕餉くらいはもてなしてやろう。なんならエレーナ……この後浴場にでも来ぬか?」


「……そーね、色々疲れたし……」


「え? じゃあ俺も……」


「「お前は男湯に入ってろ!!!」」


悪ノリでボケたドレムを、2人はダブルラリアットでドレムに強烈なツッコミを入れたのだった。





 ファスティアとエレーナは大浴場にて入浴することとなった。


「はー……サッパリする〜………」


長旅もあり、ボケに振り回され続けたエレーナは漸く一息ついた感覚だった。


……まあ、隣にはファスティアもいるのだが。


お互い裸一貫で肩の辺りまで湯船に浸かっている。


「のう、エレーナ……今は2人っきりじゃから……ドレムの話でもせぬか?」


「……なんでアイツのことよ……さっきも話したじゃん……」


「良いではないか〜〜。お互いに剣を交えた仲じゃろう??」


エレーナは呆れた様子だったが、ファスティアがここまで甘えてくるとは予想もしていなかったので、ハァ……と息を吐いて話すことにしたのだった。


「つーか、アンタの武器は斧でしょうが……意味が違うって……ま、正直アイツに助けられてなかったら……今私はここに居ないと思う。」


「ほー? 興味深いな、聞かせてみよ。」


2人のドレムを議題にしたトークは、夜を駆けていくのだった。

ファスティアは気に入った人物にはとことん甘えるタイプです。

異種族間ならではのスキンシップですね。

次回はドレムの議題でのトークをお送りした後、ファスティアの子供好きの一面も見せたいと思いますので、お楽しみくださいませ。

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