第10話 勇者の力
この回は今作初戦闘です。
この回以降は戦い主体の展開になるかなー、と思うんですが、恋愛物らしく恋愛パートもちょくちょく挟みますんで、そんな感じでよろしくお願いします。
ガイコツの集団に囲まれた2人は戦闘態勢に入った。
「エレーナ……今後2人で連携して戦ってくんだ、なんとか俺がお前に合わせるから……エレーナは好きにやってくれ。」
「それはいーけど……アンタ、ブランクあるんじゃないの!?」
「なんとかしてやらあ、あんな程度のザコ敵なんざ。」
そうこう話している間にもガイコツの集団が迫っていた。
「勇者の光よ、我に力を与えたまえ……! 『アルテマブレイク』!!!」
エレーナの「勇者の剣」に黄緑色の光が宿り、ガイコツの集団を一瞬のうちに薙ぎ払った。
ドレムはヒュゥ、と口笛を吹きながら右手を指を曲げた状態でガイコツに向けて走り出す。
「『シャドーステール』!!」
強烈なシャドーデビル特有の、黒く強靭な爪から繰り出される一撃は、ガイコツを脊柱から粉砕していき、ガイコツは動かなくなった。
「さーて……ちっと弱くはなってるが……こちとら伊達に『魔王』をやってねえんでね……!! 闇魔法『暗黒の結晶』!!」
ドレムは右手から槍状の黒い槍を降り注がせた。
ガイコツの脳天を貫くには十分で、ガイコツの身体は粉々になった。
エレーナも剣撃で続く。
主ガイコツも次々と僕を呼び出していくが、2人の速い攻撃の前にはなす術がない。
残りは主ガイコツだけとなったのだが、ここでドレムがエレーナに声を掛けた。
「……すまん……ガス欠だ……」
ドレムは、どうやら魔力が切れたようだった。
「ハア!? 何やってんのよ、ドレム!! なんとかするって言っといてそれ!?」
エレーナはまさかの事態に怒号を飛ばした。
「ワリイ、流石に復活してからの初戦闘がコレは無理があったわ。」
「言わんこっちゃない!! もう! 黙って見てなさいよ!!」
エレーナは主ガイコツに向かって剣を構え、突進していった。
主ガイコツも剣を抜き、応戦する。
剣術の腕自体はエレーナの方が上だったが、エレーナ自身も久々の戦闘で、体が鈍っている部分も少なからずあった。
徐々にガイコツのパワーに押される。
(強い……! 魔王ほどじゃないのは分かるけど、こういう時に仲間のありがたみを実感するわね……)
エレーナは一息整える。
と、ここに背中を触られる感覚が。
「ちょっ……ドレム、アンタ何やってんのよ! どいてよ、邪魔だから!!」
「……このまま黙って引き下がれっかよ……魔王の名が泣いちまうぜ……だからちっと借りるわ、魔力。」
エレーナが、ハア!? と言うのも束の間、ドレムは「魔力吸収」を使い、エレーナから幾分か魔力を自分に入れた。
「……これで一発分は撃てる……エレーナ、頼みがある。」
「何よ、こんな時に!」
「お前が勇者の剣の力で怯ませて……その隙に俺があのガイコツに状態異常魔法を叩き込む。それで一時的に動きを止めるからその間に斬ってくれ。」
「は!? 別にアンタの力なんて借りなくても……」
「……俺の頼みを聞いてもらってる以上……頼んだ俺が足手纏いになるわけにはいかねえ、けど……正直借りた魔力でもこの一発分が限界だ。だからここで俺ら2人が決めるしかねえんだ。この一撃で……この連携で……!」
ドレムの目は真っ直ぐにガイコツを見据える。
根っこの真面目さと、プライドの高さがドレムに垣間見えたエレーナは、折れて提案を聞くしかなかった。
「そこまで言うならちゃんと頼むわよ。……じゃ、行くよ……『浄化の光』!!」
エレーナが剣を構えて頭上に掲げると、青白い光を発してガイコツを怯ませた。
ドレムはこの隙を逃すまいとエレーナの横を走り抜け、ガイコツの脚の真下まで到達した。
一息吐いたドレムは、魔法陣をガイコツの足元に作り出した。
「状態異常魔法拘束系……『呪いの沼』!!」
紫の光がガイコツを覆ったと同時に、ガイコツの身体を一瞬で拘束した。
ティタノゾーア討伐前のエレーナ達も、ドレムと戦った時にこの技に苦しめられたものだ。
あの頃に比べればまだ弱いのは分かるのだが、エレーナにとってはこの拘束時間でも十分だった。
「行け! エレーナ!!」
「わかってるわよ!! 『皇帝の神剣』!!」
エレーナは上縦から剣を思い切り振り下ろし、主ガイコツを真っ二つに割ってみせたのだった。
ガイコツ達を全滅させ、2人は無事、カリーティアを回収して洞窟を抜けた。
「いやー、大量大量!! サンキューな、エレーナ!」
ドレムは上機嫌だったが、エレーナはため息を吐きっぱなしだった。
「まったく……ちょっと時間を無駄にした感覚だわ……アンタ、そんな弱くなかったじゃない。」
ブランクがあったとはいえ、ドレムに多少足を引っ張られた格好になったエレーナは苦言を呈したままだった。
「……まあいいじゃねえか。目的は果たしたんだし。」
「で? 次どーすんの?」
「マーレインに行って……俺の知り合いの鍛冶屋に錬成してもらうんだよ、俺の武器を。」
「……分かった、分かったけど……ドレム、今度は私の頼み、聞いてくれる?」
「あ?」
「……私の故郷、来る?」
「? まあいいけどよ、別に。」
少し暗い顔になったエレーナに疑問を抱きつつ、2人はアータイルを出ていった。
翌日、ドレムは、エレーナに連れられ、ある街、つまり、エレーナの「生まれ故郷」へと案内された。
そこで見た光景が、ドレムを唖然とさせるものなのだった。
次回から新章です。
ドレムが見たものとはなにか……それが意外な展開を及ぼします。
お楽しみにしていてください。




