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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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64/91

第64部 沙霧 ニューヨークへ婚前旅行?


 1952年8月(昭和27年))ニューヨーク市街


 紐育大戦の終了の翌日、ティファニーでは仲のいいカップルの姿があった。また、さわやかな二人の姿が見れるといいのだが・・・・・。



 沙霧は国際電話でニューヨークにいるシビルに連絡をした。ハバロフスクがニューヨーク惨敗のリベンジをするから、ロシアまで出てこいという簡単な文言でシビルに話してみたら、


「シビル、その後の人狼兵のお掃除は出来ていますか?」

「まー、ぼちぼちでんな。ひとりになったし、結構しんどいよ! 大体が複数で行動する奴らだよ? 独りで臨むには辛すぎます」


 大いに苦戦を強いられている旨の返事が返ってきた。


「そうなんだ。日本でもまた朝鮮人の人狼がらみの事件で大変なんよ。もう全員がまいっているわ!」

「そうなんね~。で、本題はなによ。私にロシアのリベンジ戦に参戦しろということかしら。でけへんよ。もう勘弁して!」



 改めてロシアからの招待状が届いた。その書状にはターニャの毛髪が添えられて、ターニャを拉致した旨が書かれている。


 ターニャの救出作戦が。はたまた、ロシアからのお返し戦争? が始まる。長官はGHQから依頼を受け。日本・アメリカからの巫女の召集を行い、人狼兵の供給元のロシアを叩く作戦を実行に移した。


 これらの事をシビルに話す。シビルからはニューヨークの現状説明を聞く。


 人狼兵の残党は、ここニューヨークの人口密集地に潜んでいる。その目的は、ハバロフスクがロシアに去ってしまったから、生活資金が無くなったので、泥棒や恐喝、薬の売買等、限りなく悪事で働いて稼いでいると。


「うん、判った。手伝いに行く!」

「それから、人狼兵の様子が変わってさ、このような悪事をしているのよ」


「どのように変わったの?」


「今ではヘルズ・エンジェルスと名のっているのよ。大型バイクに乗ってさ、大騒ぎを起こしてるわ!」

 

「三日後にいくね、待ってて!」


************************************************************

ヘルズ・エンジェルスを簡単に、


 米国カリフォルニア州でヘルズ・エンジェルス創設された。アメリカ合衆国で誕生した国際的バイカーギャング(オートバイに乗った暴力団)が 1948年3月17日に誕生した。主な悪事とは、泥棒や恐喝、薬の売買の他にも、殺人や売春がある。非合法活動のギャング集団は、金になりそうな事には、なんにでも首を突っ込んだ。


 日本でも噂される、とある俳優と暴力団の関係。これと同じ事を行っていたりするが、アメリカ軍の傭兵志願も行った。さすがにこれは却下された。


 バイクに乗った集団で、自前のバイクの店も持っていた。ヘルズ・エンジェルスのネタに映画も作られて、「ヘルズ・エンジェルスは商標権侵害だ!」と言って映画会社に訴訟を起こした。今でもこのヘルズ・エンジェルスは世界に支部があるのだそうだ。


************************************************************


 刑事課の課長の依頼で沙霧は、警察庁の生活安全局の白川と共に、アメリカで残党狩りを行っているシビルを迎えに行った。 澪霧は一人で神戸洋服商殺人事件と吹田事件に従事している。



 沙霧と生活安全局の白川は、ニューヨーク・アイドルワイルド空港に降り立つ。


「なんだい、出迎えなしだな。沙霧さんこれは私たちに、のんびりと食事でもしなさい? という意味ですね」

「まぁ、白川さんたら。それでどこへ連れてって頂けるのでしょうか?」


「ニューヨークのレストランはですね、ロス タコスがNO.1で、ザ モダンやグランドセントラル オイスターバー&レストランがありまして・・・」

「タコスは食べた事はありませんわ、その、ロス タコスにお願いします」


 二人しておバカなことを話していると、


「日本からお出での、杉田さま。日本からお出での、杉田さま。お電話が入っております。3番ゲートのカウンターまでお出で下さい」



「なんだろう? 誰が私たちに電話をよこすのかしら」

「オヤジかな」

「多分、違うと思う」

「すみません、3番ゲートは何処になりますか?」


 沙霧は空港の職員らしき制服を着た男に声をかけた。


「あ、沙霧さまですね。ご案内いたします」

「・・・・・・?」


「いや、教えて頂くだけで十分ですが、・・・」

「いいえ、案内した方が早く着きます。なぜならば、説明で10分もの時間がかかりますよ?」

「はい、案内をお願いします」


 二人はこの職員についていく。


「ねぇ、この人は怪しくない? 付いていってもいいかな」

「沙霧さん、僕がついていますので、大丈夫ですよ」

「はい、白川さん。私を守って下さいね?」


 沙霧の返事に、疑問符がついている。どうしてだろうか。5分ほどで3番ゲートに着いた。


「お待たせいたしました、日本の杉田と言います。お電話の取次をお願いします」

「キャー!」


 沙霧は大声をあげた。周りの人は一斉に大声の聞こえる方に振り向く。沙霧は一瞬で5mは移動していた。荷物はカウンターの前に置いたままだったはずだが、何処にも見えなかった。それどころか、


「白川さん? 白川さんは何処?」


 カウンターで声を掛けた時に、沙霧への魔法の攻撃がなされたのだった。沙霧はテレポートでその魔法を交わしたのだが、その一瞬の隙に白川だ攫われた。


 沙霧は慌てふためき、周りを見渡す。通行人が多いので先の方は見えない。

 

「白川さん! 白川さん!」


 沙霧は泣き出してしまった。


「お嬢様? 大丈夫でしょうか?」


 理解出来ないでいるカウンターレディが沙霧に声をかけた。泣きながらも沙霧ははい、と返事をして電話にでた。


「もしもし?」

「あ~~、もういっぱい待たせたね。怒るわよ!」


 懐かしいシビルの声が聞こえた。沙霧はマシンガントークで、


「シビル助けて! 白川さんが、白川さんが攫われたわ。早く助けて!」

「落ち着いて! 沙霧さん、どうしたの?」


「だから、白川さんが急にいなくなったのよ。魔法の攻撃があって避けた瞬間に白川さんと荷物が消えたのよ。早く助けにきて頂戴!」

「警察に相談して。待ってて!」


「何をどう説明しろと言うのよ。説明しても信じてくれないわ」

「う~ん、そうだね。日本とは違うし。直ぐに行く」

「まってシビル。シビルは何処にいるの?」


「シルビアズ・レストランよ。シルビアズとも呼ばれる、ニューヨークのハーレムの328。 レノックス街にあるわ」

「私が直ぐにいく。だからシビルは、強い念を送ってちょうだい。テレポートして行くから」

「分かったわ、頑張ってね! 遠いわよ」


 沙霧はシビルの強い念・テレパシーを頼りに、数十回もテレポートした。カウンターレディはもちろん、目の前で沙霧を見ていた者は一同に驚いた。これは、テレポート先でも繰り返された。


 一番驚いたのが、イエローキャブの運転手だった。道路に姿が見えたので、急ブレーキを掛けるが間に合わないと思い目を閉じた。が、何も衝撃が無かった。


「ごめんなさ~い」


 大きい声が聞こえて、一瞬で姿が消えたのだから。


 5階建てのビルの前、シルビアズ・レストランの前に沙霧は無事にテレポートできたのだった。当然、シビルは店先で待っていた。


「沙霧さん、ここよ」


 沙霧はよろめきながら後ろを振り向いた。そんなふらふらの沙霧を受け止めて、


「大変だったわね。これからどうしようか」


「お水を飲ませて。そして、昼食をごちそうして頂戴な。お腹も空いているし、第一に気力が無くなってしまったわよ。もうふらふらだわ」

「OK!OK! 任せていいわよ」


 冷静に戻りつつある沙霧だった。


「シビルさん。お金を貸してくれないかしら。無一文になってしまったわ」

「まぁ、沙霧さん。それは大変よ。私は少ししか持ってはいませんもの」


 二人は、ともに憐れんだ表情で見つめ合う。


「ここの昼食と夕食は大大丈夫よ、でも、明日から土日でバンクは休みだわ」

「明日からはお金なしになるの?」

「そうだと思う」


 二人は、シビルが座っていた元の席テーブルに着席した。沙霧は目の前の、


「ふ~ん。この勘定書きの金額は少し変じゃありませんこと?」

「なにも変ではないわ・・・・」


 シビルは沙霧の顔から視線を逸らした。勘定書きとは、


「ねぇ、シビル。この金額は、幾らに見えるかしら。それとも読めないの?」

「アハハハ、たかが500ドルよ。払うから大丈夫よ。ね?」


 さて、1952年の金額で500ドルは、円換算でいったい幾らだろう。

(360円x500ドル=180,000円)


 沙霧はこのお店で、シビルからお水をご馳走になった。出てきた昼食とは?サンドイッチとオレンジジュースとパフェとピザだった。メニューにあったかどうかは不明だ。その前に、この店は1962年に、シルビア・ウッズによって開店したお店だった。お店はまだ無いのだ。



「たかが、5万円だから大丈夫よ」

「そんなことは。ありえないわ! 今は何年かしら?」

「1992年よ。だから、沙霧さんがここに着くのに大変だったのよ。疲れたでしょう?ごめんなさいね」


「電話はどのように説明するのかしら」


「そんな事よりも、・・・」

「なにがそんな事よ、白川さんが攫われたのよ? どうしたらいいのか教えなさい」


「だから、そんな事よりもさ、市の図書館に行くわ。そして、1992年の新聞を読んで情報収集しましょう?」


 シビルはとてもいい提案をしたのだった。だが本当のシビルの狙いは?1952年から1992年に飛んで、500ドルの金額を支払う事だった。レートが変われば、18万円が5万円になったりする。


「ギャー! どうしよう、沙霧! どうしよう」

「何がどうしたのよ」

「だって、40年もタイムワープしても、同じ500ドルだわ。なんの解決にもなってない!」

「あら? そうなのね。シビルはバカね! そんな事も理解出来ないのね」

「そうよ、同じ人間だから、出来ないわね! 悔しい~~~~」


 沙霧はさわやかな顔つきで、


「だったら私に任せて!」



「シビル! 会計に行ってくる。感謝しなさいね」


 沙霧は何処からともなく、1枚のクレジットカードを取り出して会計を済ませた。 こうして沙霧は、500ドル、おおよそ5万円を支払った。


 席に戻った沙霧は、後ろに座る男性に、 


「ありがとう、あなた。助かりました」

「ああ、気を付けて!」

「いってらっやいお母様!お父さんを助けてね! 絶対だよ」」

「うん、頑張る!!!」


 シビルは気が付かなかったが、沙霧の背後のテーブルには、一人の老紳士が食事をしていた。つれには双子と思われる女性が着席していて、また、その隣のテーブルでも初老の男性と女性が、同じく双子と思われるような若い女性と座っていた。


「さ、図書館に行きましょうか。シビルお嬢様!」

「・・・・・・・・。」


 シビルには、若い女性から一つの手提げ袋を持たされたのだ。その中身は?


 二人を見送る5人の姿があった。女性らは沙霧によく似ている。そっくりだ。


 シビルは、・・・・・、


「あ~、嫌だ。40年経っても、独りなのね!・・・・・・」



 また、さわやかな二人の姿が見れるといいのだが。と、一行書いたばかりに話は

大きく逸れて、重大事件へと変わっていった。

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