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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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65/91

第65部 続く紐育大戦! ニューヨーク市街戦の勃発!ビルが壊れる・・・


 1952年8月(昭和27年)ニューヨーク市街


 二人がシルビアズ・レストランを出たら、沙霧と白川がニューヨークに降り立った日の翌々日だった。


「この方が図書館に行くよりも早いわ。さ、シビル、新聞を買ってちょうだい」

「は~い、今すぐにー」


「ね、昨日の新聞はあるかしら。有ったらちょうだい!」

「あ、あ?。 ああ、あるね。今日の新聞はどうすんだい」

「ええ、一緒に頂くわ。お幾らかしら?」

「32セントだよ」

 前歯の抜けた笑顔で奇妙に笑っている。

「??・・・?」


「あ、そう。お釣りは要らない。それよりもさ、昨日、ここいら辺で大きな事件が無かったかな」


 シビルは1ドル札を右手に持って質問した。


「そうだね、事件はいつも起こっているさ。で、どんな事件が知りたいんだい?」


「例えば、あのビルが夜中に壊れて落ちたとか、なかったかな」

「あ~ぁ、あれね。昨晩だったね。ビルの周りが光ったかと思ったら、落ちてきてさ、びっくらこいたよ」


「ありがとう、お婆ちゃん」


 シビルは1ドル札を、ちゃっかりと自分の財布になおした。沙霧は少々不安に思いながらシビルを見たら?


 次の瞬間に、


「キャー、助けて~!」


 シビルの叫び声で、数匹のネズミが逃げていった。老婆がネズミを投げつけたのだった。


「もう、本当にバカなんだね!」

「さ、行く所が分かったわ。タイムワープしましょう」


 二人は昨日の昼にタイムワープした。


 目的のビルは壊れてもいない。それよりもビルの前には、大型のハーレーが10台は停めて置いてある。ビルの横にもインディアンが5台はあるようだった。


「シビル。夜まで待とうか。あそこのレストランに入って見張りますわよ」

「そうね。500ドルのお礼もありますから」


 体力増強にステーキをたくさん食べた。夜にはおおよそ30人のヘルズ・エンジェルスとの死闘が行われる。


 夜になった。


「さ、シビルさん。戦争よ!」


 なんだか母の桜子の口調になった沙霧が居た。


「白川さんは何処にいるかな」


 不安を隠しきれないのだ。とてもそわそわしている。


「乗り込まないと分からないのでは、白川さんが危険だわ! 私に任せなさい」


 そう言ってシビルは沙霧に紙袋を持たせて、単独でカチコミに行った。


「おうおう、いつもの嬢ちゃんかい。今日は何の要件だ、抱かれにきたんじゃないようだね」

「ケッ! 俺はバカだが、バカにするなよ。怒るからね」


「バカにはしてないよ。なぁ、みんな。俺はこのアマをバカにしてるかい?」

「ヒュー、ヒュー。ちっともしてないさ!」


「だとよ。さ、嬢ちゃん。酒でも飲もうか!」

「あいよ、今日は付き合うよ! 事務所は何階だい? 着替えて行くから事務所で待っててくれないか」


「それじゃ事務所で待ってるぜ。5階の突き当たりだぜ。ヒッヒッヒー!」


 シビルは何事も無かったように、平然とした様子で戻ってきた。当然沙霧はヒヤヒヤして見ていた。


「大丈夫だった?」

「もちろんさ、ああ見えても街中では大人しいもんだよ。沙霧さん、一度私のアパートに帰るよ」

「そうね。ジャパニーズ・ソードを貸して頂戴!」


 二人は武器を取りに、シビルのアパートに戻った。


「さ、好きなものを選んで頂戴。白川さんには嫌われないように選んでね!」

「もう、難しいな。シビルの趣味は理解出来ないわ!」


 そう言いながら沙霧は一着のニミスカのメイド服と仮面を選んだ。


「少しサービスが過ぎると思うけれどもこれでいいわ」

「わー、可愛いわ。似合ってる。赤のカチューシャも似合うから着けて!」

「シビルも可愛いわよ。先ほど孫に持たされた服ね!」


 JKの制服とスカーフ、ソックスとカジュアルな靴。それに、真っ赤なリボンを身に纏ったシビルの姿があった。


「これも、少しサービスが過ぎるわね。お互い見せパンが必要ね!」


「白川さんが待ってるわ。戦闘開始ね」


 こうして夜のニューヨークに臨むのだった。シビルは屋上に待機する。そして沙霧はビルに着いて、急ぎで5階にテレポートした。



 シビルは5階の窓を目がけて、


「アクア・バードスプラッシュ!」


 間髪入れずに、反対の窓にも、特大魔法を放った。


「アクア・バードスプラッシュ!」


 ガシャーン。


「ギョエーッ! ギャー! カチコミかー。何が起こった~」



「ファイヤー・バードスプラッシュ!」


 沙霧は相反する魔法を放って、ドアをけ破り部屋に突入した。


「ギャー、熱い、ステーキはイヤダ。水を掛けてくれ~」

「アクア・バードスプラッシュ!」


 ジュ~~~。燃え盛る炎がかき消された。次の瞬間に、


「アクア・バードスプラッシュ!」


 3つ目の魔法が放たれ、屋上から5階にシビルがテレポートした。


「行くよ、沙霧さん」

「OKよ、シビル」

「アクア・バードスプラッシュ!」

「ファイヤー・バードスプラッシュ!」


 二人は同時に魔法を放った。二つの魔法は合わさって人狼に襲いかかる人狼兵は逃げ惑う。


 沙霧は動けない人狼の襟を掴んで、右腕をソードに変えている。


「あんた、死にたくなければ教えなさい」

「ハヒハヒ、ハイハイ、しかじか、あそこです。4階の倉庫に居ます」

「いいわ、人間に戻してあげる」


 そういいながら、沙霧は優しく一刺しにする。


「ギャッ」


 はいおしまい。



「ファイヤー・バードスプラッシュ!」「ファイヤー・バードスプラッシュ!」


 怒り狂った沙霧が誕生した。5階の廊下と4階の廊下が繋がる。沙霧はひらりと階下へ飛び降りた。


「ありがとうございます」


 見張りの人狼兵は、妙な? お礼を言って窓からダイブして逃げた。


「で、あんたはどうするの? 人間に戻りたいかしら?」

「はい、是非ともお願いします。真っ当に生きていきたいです」

「あいよ、お礼はいいわ、要らない」

「ギャッ!」



 沙霧は、

「ファイヤー・バードスプラッシュ!」直ぐに「アクア・バードスプラッシュ!」鋼鉄のドアを溶かしそしてすぐに水で冷やした。大きな水蒸気爆発が起きて、部屋中は水蒸気で見えなくなった。


「白川さん、白川さん居る? 居るなら返事して!」

「沙霧さん、ここに居るよ!」

「ああ、良かった無事ですよね」

「ありがとう。無事だよ」

「さ、白川さん。ここから逃げるわよ。私にしっかりと掴まって!」

「はい!?!?!?!!・・???」


 後手後手の白川は、初めて沙霧に抱きついた。柔らかい女性の身体に触れたのは、母以外で初めてだ。柔らかくて、なんだか甘い香りがする。


 バシーッ。派手に男をひっぱたく音が響いた。


「キャー!」「イテー!」  

     

 沙霧がブッ叩いたら、4階から真っ逆さまに落ちていく人狼兵の姿があった。

       

「もう、過激なんだから。どお? 白川さんは」

「うん、しっかりとしがみ付かせたわ。降りるよ!」

「OKよ、行くわね~」


 三人は4階の窓から飛び降りた。


「わぉ~。これは大変よ。ギャラリーが多すぎる」

「そうね、白が黒く焼けてなければ? いいのだけれども」      

「大丈夫よ。見て、みんなは喜んでる」

「そうね。良かったわ!」


 三人は静かに着地した。沙霧は、


「ファイヤー・バードスプラッシュ!」 


 続けてシビルが、 


「アクア・バードスプラッシュ!」


 二人で渾身の魔法を放った。少し大きいかもしれないこのビルは、4階部分でポッキリと折れてしまった。


 初めて巫女の力技(ちからわざ)を見た白川は言葉も出なかった。俺は沙霧さんを守るのだ~、と言っていた自分が恥ずかしく思えてきた。


「さ、白川さん。ホテルに行きましょう」

「あんたたち、ホテルには行けないよ。お金? あるかしら」

「あ、そうだった。お金もパスポートも無いわ!」

「うちにいらっしゃい。500ドル分はもてなすわ!」

「ええ、お願いね」


 三人はニューヨーク市警に捕まることなく逃げ果(おお)せた。


 三人はテレポートでシビルの部屋に跳んだのだが、?白川は驚きで、口がパクパクさせる事しかできなかった。


「沙霧さん。旦那さんをしっかり、抱いてあげなさい。キスも忘れないでね」

「はい、そういたします」


 シビルはしばらく二人だけにする。


「さ、お風呂の用意をしようかな。幸せなお二人さんを、どうもてなそうかしら。明日は忙しくなるわね」


「その前に、と」

「沙霧さん、お風呂の用意していますから、済ませて頂戴! 私は貴女の旦那様の食事を買ってきますから~」

「ええ、お願いね~」


 シビルはニコニコして部屋を出て行くが、反対に心は淋しそうだった。


「もう、しっかりして。シビルは強い子よ!」


 だが、自分には自分で魔法はかけられない。丁寧にセントラルパークを散歩して帰るという、心の優しいシビルだった。


「今日は暑いわね~。あの二人はちゃんと出来たかしら」



 翌日から三日がかりで二人は人狼兵を掃討した。そして全員が人間に戻る。だが残念な事にヘルズ・エンジェルスは、壊滅せずに今日も活動を続けている。三日で終わったのは、沙霧が本当に切れてしまったからだ。


 三日の間でビルが数棟破壊された。


 翌日は強面(こわおもて)の沙霧、二日目は少し怖そうだったが、三日目には穏やかな沙霧に戻った。白川は、無くなったパスポートの再発行に尽力していた。


 こうして、仲のいい二人の婚前旅行は終わった。

              

「さ、白川さん。日本に帰りましょう」 

「そうだね、沙霧さん」 

「キャッ、そこには触れてはダメーー」

「いや、ちょっと。当っただけだよ」


 と、独り淋しくついていくシビルが居た。 


「くぅ~~~~~っ!」


ところで、シビル。人狼兵は魔法が使えるのかしら。

いいえ、全く使えませんわよ。

では、空港で私を狙った魔法は、なんだったのかしらね。

それは解らないね、問題提起になったわ。

シビル。あなたは一生独身なのね。淋しくないかしら。

余計なお世話よ。さ、早く子供を産みなさい。

いやん、シビルったら。でも、もうすぐかしら?

ニューヨークで大きな停電があったものね。間違いは? 間違いないね!

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