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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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第51部 ハバロフスクの愚計 その3 クーデター

 愛用のパソコンが、塩分を多大に含む湿気でとうとう成仏したかと思います。それぞれの事件の調査HPが閲覧できません。幸いなことにパソコンには原稿の下書きを保存していませんでした。小説家になろうに非公開で文章作成、保存しています。ラッキーでした。

     

 1949年4月(昭和24年) アメリカ合衆国 CIA本部



 一方アメリカでは、


 1948年4月にサイコパス所長の要請を受けてアメリカ軍から約五十人が日本へ渡日していて、この行動にCIAが不信に感じた。これを調査した結果が翌年にクーデターが起こされると判断されたのだった。


 高田ドブロク事件でそのアメリカ兵が強すぎるので人狼兵と認識した。これらのアメリカン人狼兵を討伐する方向にCIA本部は決定する。


 安全課と警視庁の内偵と東京乱戦、いわゆる安全課襲撃事件で桜子や双子の存在が明かされて調査対象の継続となった。さっぽろ雪まつりの若い婦人もCIAの諜報員だ。


 CIA本部は妹の二人にも諜報員をつけた。姉の二人は国家公安委員会のTOPと話がついているから姉の実力も調査済なのだった。


 1950年のXデーが近いと判断されたのだった。CIA本部はエリート部隊の二十人を編成して、メリーランド州のワイ・ミルズ市にあるチェサピーク大学を内偵していた。


 ハバロフスクがここの大学に小さな研究室を作っている。


 ハバロフスクはアンドリューに秘密にして日本のサイコパス所長を一度だけ招いて、レシピを書いてもらい大学にもばれないような小さな実験を行っていた。


 CIA本部はこの人体実験の所在を掴んで八月の暑い日の夜に二十人の部隊を差し向けた。夏休みでもあるし大学の学生にも知られる事がないようにである。ハバロフスクと他の研究員と人狼兵が三人という構成だったが、CIAのエリート部隊はものの十分で敗退してしまった。小銃ごときでは倒せない力の差が激しい事をCIA本部は知ったのである。


 ハバロフスクは高笑いで大いに喜んだ。


 CIA本部はアンドリューを呼んでここの研究所を無くすように命じたのは当然だろう。しかしこの襲撃の翌日には研究室は空になりその後の行方が分からなくなった。アンドリューはめでたく研究員を首になり追放されてしまう。


 アンドリューはニコライと共に地下組織に下り、逆恨みでクーデターの計画を立案して実行に移すのだった。アンドリューとニコライはアメリカ軍の人狼兵すべてを引き連れて、メリーランド州のディールの山中に拠点を構えた。


 ワシントンD.C.にも近いので選んだ土地だが、その二年後にはニューヨークへと拠点を変えていた。とにかく黒の兵を隠すなら黒人の多い都市に限る。ニューヨークは移民が流入してくる所だけあってか、人口の多様性ならここだけである。(黒人が多い割合はワシントンD.C.がダントツに多い。)


 ニューヨークでハバロフスクと合流して本計画がスタートした。

 



 1950年11月(昭和25年)東京都・神田区


 1948年からCIA本部は元アメリカ軍人狼兵と小さな戦闘を繰り返すのだが、勝利した事は一度たりともなかった。CIA本部は密かに日本で吉田内閣を援助していて自民党に選挙資金を与え、日本国民をアメリカ大好きっ子へ誘導させたのだ。(事実です)



 この時に日本で起こっていた人狼兵の襲撃事件で、CIA本部は巫女の存在を掴んでいて、そして巫女には諜報員をあてがい情報収集に努めた。結果、すべての戦闘でこの巫女らが勝利している事実を知ったのだ。


CIA本部はアメリカでの戦闘は全敗だから巫女らの力を分析して、当然クーデター阻止にもアメリカの戦闘員を強化させようとしたが出来なかった。大統領は残念な面持ちで日本の巫女に応援を依頼する決定を下す。


 日本にいるCIA諜報員へ巫女の拉致を命じた事もあったが、圧倒的な力の差で手出しが出来なかった。なにせ、警視庁が張り付いて離れないのも一因だ。


 だがXデーの十二月にはアメリカへ来て貰わなければならない。十一月にGHQから警視庁へ正式依頼があるも、警視庁の上層部は日本の巫女の存在を知らないでいる。警視庁長官は各部署に通達を出し、ようやく刑事課の課長を見つけた。


「課長、長官から命令が届いています。至急、長官の部屋に来るようにと」

「なんかしでかしたかな。あの事件は賄賂で片づけたからあれがバレたとしか思えないが。いや安全課の大規模襲撃がバレたのか?」


 同時に生活安全課の署長も呼ばれたいた。



 そんな不穏なアメリカの事情は知らない巫女たちだったが、うら若き乙女には一切合切関係はない。問題はスザンナらである。


「彩香、私たちはちょこっとアメリカに里帰りするね。綾香にも伝えてね」

「ええ? なんでよ、急に決まったの?」

「そうなんよ。うちの親がね、なんでも親の上司が至急娘を帰国させろ~と騒いだらしいんだ、だからね」

「それでは仕方がないね、国家機密事項だものね」

 

 スザンナは彩香の口から国家機密という言葉がどうして出たのだろうかと、はっとして驚いた。


「うん、そうだね。彩香は知ってんだ!」

「いいえ何にも知らないわ、教えてくれる?」

「いいよ、父親がニューヨーク市警に勤務しているの。恥ずかしい事を話すとね、父が私たちの留学資金をマフィアに出させたのがバレたらしいんだ」

「あらあら、そうなの。あなたのお母さんはマフィアのボスなんだね」


 彩香はスッキョントンな返事をした。スザンナの作り話がし易いようにとの配慮だったが事実無根な、ありえないような事でスザンナを安心させたのだ。ならば初めから国家機密と言わなければいいのだがな。


「半分がマフィアの血が混じってるのも恥ずかしくて言えないわ」

「そうよね、私たちにもある血筋の血が流れてるの。これは絶対に他人には言えないよ、言ったら殺されちゃうわ」

「なによそれ、殺されるとは穏やかではないね」

「うん、そうなんだよ。参っちゃう!」


 二人の話が段々と逸れていく、彩香がそう仕向けているとはスザンナは気づかない。暫くしてリリーがやって来た。


「なあに? お姉ちゃん。なんだか楽しそうなお話かしら?」

「ええ、そうよ。私たちの血筋のお話なの」

「血筋? なにそれ。ちゃんちゃら可笑しいわ!」

「でしょう? だから二人して笑ってたのよ」


「うん綾香には話しておくわ。で、いつ日本を発つのかしら」

「明日のお昼過ぎにね、それで帰りは七日後かしら」

「そうね、沢山の軍資金を掴んで戻るわね。待っててね!」


 スザンナとリリーが答えた。

 

 澪霧と綾香の二人が彩香を探して回ってようやく見つけた。


「もう、やっと彩香を見つけたわ」

「そうよ、お姉ちゃんが急ぎの用が有るからと彩香を探してたのよ」

「あれ? なにかしら。私には心当たりは無いよ!」

「あなた一人にでは無いわよ、四姉妹によ」

「キャッ! またお母様のカミナリかしら」

「そのようよ、今晩の夜行で東京に着くらしいわ」


 三人の話にスザンナが割り込んだ。


「ごめんなさい、私たちも帰国の準備があるからこれで失礼するね」

「気を付けて帰ってね。軍資金は楽しみにしているから、秋葉原に乗り込むのかしら?」

「まあ、そんなところね。色んな電気機材を買って故国に送る予定よ」


「でもさ、アメリカが優秀な機材を持ってるはずよ。違うのかしら?」


 彩香の目が笑っていた。やはり彩香は知っているとスザンナは考えた。スザンナは大よその事は聞かされている。軍資金とは巫女らを多数連れて渡米するためのお金なのであって、日本とアメリカのそれぞれの拠点に戻って議論が計画が組まれていく。



 ただ残念な事に長田区役所襲撃事件が11月20日から発生して、沙霧と澪霧は神戸へ出張してしまった。この二人を除いて作戦会議が行われた。




 1950年11月(昭和25年)アメリカ・ニューヨーク


米国の異端技術がこのハバロフスク一人で済んでおれば良いのだが。アメリカさんは色んな技術は独り占めをしたい性格なのだからして、他にも技術の転用・応用を狙って研究する輩が居ないとは思えない。第二第三のハバロフスクに続く人物が居るだろうか。


 ここ最近は連続して二~五人のドウ・ジョンが、ニューヨークのハドソン川に謎の死体が浮いてるとニューヨークタイムズの記事に出ている。(ドウ・ジョン=名無しの権兵衛)



 アメリカのニューヨークでも人狼兵の性能試験が行われていた。今現在において非道な実験が行えるのは朝鮮戦争だろか。日本では高田ドブロク事件でやや派手な戦闘結果を披露しているから、CIAに目を付けられたのだった。したがって日本では大きな騒ぎは起こせない、だから朝鮮戦争だ。



「朝鮮戦争の人狼兵の実験はうまく出来ていますか?」


 ハバロフスクは助手に尋ねた。戦争の過程はリアルの見聞は不可能だ。


「はい、おおむね成功のようであります。負傷者が十名程度ですがその死亡者が? 少し多すぎますね……三十二名あまりいるようです」 

「そうか」


 三十二人もの死者を出しているものだからハバロフスクは気のない返事をした。


「そうですとも朝鮮戦争の初期はアメリカに負けっぱなしがですよ? 我らの人狼兵で逆転したんです。大いに誇っていいでしょう!」

「お前は誰の味方だ、マッカーサー将軍の仁川上陸作戦に人狼兵を送り込んだだけだろう。マー将軍が勝利するのは決まっている」

「そうでした」



 ハバロフスクは助手に矢継ぎ早に尋ねた。


「三十二名もの死者とはなんですか!」

「それはどういう意味ですか? 戦況分析は本当でしょうか?」

「なんでゾンビみたいな、貴奴らが死ぬ訳はないでしょうが……」

 


「はい間違いは無いようです」

「でしたらどのような原因で人狼兵が死ぬんですか、助手よ答えなさい」

「はい、タンクの下敷きで潰された者が多数なのです」

「なんで潰されるのですか、足が生えているんですよ! 逃げれないはずはないでしょう」


 助手は次の質問の回答が届くのを待った。どうしてタンクの下敷きで潰されるのか? が質問内容だ。五分程して届いた回答とは、


「所長、読み上げます、いいですかちゃんと聞いてください」

「おいおい何言ってるんだい! 馬鹿にするでない」


「では読みます。わが有能な兵士諸君は戦争の戦況をアメリカ優勢に導いております。しかしながら敵兵もさることながら強者(つわもの)が多数存在します。あのロシア兵と思われる兵隊と朝鮮兵との混合軍隊に大きく負けているもようであります。」


「そうか、寝言は寝て言え!」

「真夜中ですのできっと夢をを見ているのでしょう。あ、次が届きました」

「なんと書いてある?」

「はい、わが人狼兵はことごとくタンクの下に投げられて殺されている。と」


「おいおい何言ってるんだい! 馬鹿にするでない」


「それはさっき聞きました。他の言葉は無いのですか?」

「ああ分かった。で、その後はどうなっている」


「その後とは何ですか」

「そ、あれだよ、あれ。な」

「はい、あれは調査していますが不明のままであります」

「そうか、生きていなければ判らぬか!」

「今後? そうこの後の意味ですね。今後も人狼兵の見回りは行いますか?」

「十人でワシントンD.C.の黒人街で騒ぎを起こせ。なに黒人の群れに黒人を送り込むだけだから十人は殺されないさ」

「分かりました十人を指名して手配いたします」

「くれぐれも指名手配にはなるなよ!」

「……?」

 

 10日後。


「ハバロフスク所長大変です、十名全員がここハドソン川に浮いています!」

「またか!」


「俺はアンドリューとニコライの所へ行く、人狼兵の様子とクーデターの実行日の打ち合わせだ。ここの人狼兵の最終調整でも行っておけ、3日後には戻ると思う」

「はい所長さま。いってらっしゃいませ」


 四~五日してハバロフスクは帰ってきた。一人の女が出迎えて言う。


「お帰りなさい、ご主人様」

「おい、このメイドはなんだ、どこから仕入れたのだ!」

「いや、ご主人様の言いつけで来ました、と言って来ましたが?」

「つまみ出せ!」

「はい、もうテーブルにワインとおつまみが用意されています」

「…………」


 三日とせずにハバロフスク所長は寝込んでしまった。


「ご主人様、お加減はいかがでしょうか?」

「ご主人様! お薬のお時間です」

「ご主人様…………」

「ご主人様?」


「もうたくさんだ!……このメイドは追い出せ!」

「ご主人様、もう調査は済みましたので出ていきます」

「ああ良かった。これで熱も下がるよ」

「はい、もうヒ素は食べれなくなりますので快方に向かうでしょう」


「そうか、ヒ素を盛っていたのか」

「ご主人様はとてもカレーがお好きでしたので、その、つい……」

「俺が好きなのはレトルトだろうが、知っていてもお前がカレーしか作らないからだ」


「ここを出て行けたらな、大統領によろしくな!」

「はい伝えておきます、です」


 所長は人狼兵の研究にとこのメイドにも密かに薬を飲ませていたて、CIA本部に着いた頃にはこのメイドは大きく変形してしまい、結果報告も出来なかった。


 飲ませた薬はいったい何だったのだろう。


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