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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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42/91

第42部 ペーパークリップ作戦

 アメリカとソ連のロケット開発が世界をリードしている理由をご存じでしょうか。

ロケット工学の基礎は、アメリカとソ連が独自に企画立案したものではありませ

ん。両国が、力にものを言わせて他国から毛羽って来た科学なのです。


                 1945年 X月 アメリカ・ホワイトハウス


 第32代大統領・フランクリン・ルーズベルトが側近の3名を呼んだ。3人の名前は、チェスター、イアン、アンドリューという。


 大統領は、この3名にドイツの科学技術を専門に調査研究を行わせていたのだ。機械工学では、ドイツに遅れをとっている。ドイツとアメリカの間に海が無かったとしたら、アメリカが敗れていたかも知れない。大統領は、とある研究に目をつけていた。終戦でソ連とアメリカで、技術者の配分があったかどうかは知らないが、ソ連に流れた技術者と、アメリカの捕虜となった技術者が居たのは間違いない。二国でロケットの技術研究が受け継がれた。こういう意味では、ヒトラーは偉かった。


 チェスター、イアン、アンドリューの名前をとって、C,I,A と名付けられた。CIAから考えて、中央情報局:Central Intelligence Agency、略称:CIAが、大統領の直轄の機関として作られた。


 CIAの第一の任務が、タイトルの、ペーパークリップ作戦、だ。ドイツ人の優秀な科学者を連れて来る事だった。科学者は捕虜では無く、家族ともども移住者扱いと、途中から優遇された。ペーパークリップ作戦は、各自お調べ願いたい。前章がとても長くなってしまう。


 ソ連にドイツ人技術者の持つ技術を渡さない事が最優先事項となった。


 ここからが、


「チェスター、イアン、アンドリュー君。ドイツ人技術者の確保が出来そうかね」

「はい、大統領。大半がアメリカ移住に協力的でありますが、ソ連にもそれなりの員数を奪われてしまいました」


「では失敗も多かったのだね?」

「そうですが、ドイツ人技術者に尋問しましたら、ここアメリカ移住者が一番優秀だと答えました。それで、このロケット工学はアメリカが優勢で研究出来ます」

「ソ連の開発は遅れてしまうのだね」

「はい、そうです。ご安心下さい」


 大統領とCIAの三人の会議は終了した。これからは、研究所の内部の話しとなる。チェスターは代表の総指揮を執っている。イアンは、世界で諜報活動をしている。アンドリューは、ロケットの搭乗者の育成と、宇宙空間の無重力の研究を行っている。


 ここでは、アンドリューの研究が中心になる。


 ドイツからは、技術者の他にも多数の補助要員が連行されていた。当然あの人狼も混じっていたのだった。ドイツ兵は、ヨーロッパ全土から屈強な男共を無作為に連れて来ていたのだった。地上では無重力空間は作れない。高度2万メートルから箱に詰めて落とす”事しか出来ないのだ。そして殺す? のか!


 この無重力が人間に与える影響を優先的に研究した。搭乗者の育成は、先にロケット本体か、模擬機械装置が出来てからの事となる。とにかく、ありとあらゆる項目を考えて実験を繰り返すしか方法は無かった。


 アンドリューに人身売買の話しが入って来た。ロシアのとある研究者からだ。ロシアのロケット研究所に話を持っていたが、二つ返事で断られた。ならばと、アメリカに矛先を変えたのだった。この研究者はあのイカレ所長なのだが、人狼の売買が目的では無いのは明白なのだが、アンドリューには分らなかった。人狼”という言葉も伏せられていた。


 日本から人狼が贈られて来たのだ。ロシアのイカレ所長が、


「優秀な人材が居ります。つきましては試供品を贈りますので、実験で確認して下さい。当方には多数の候補生を有しております」


 アンドリューは当然色んな実験に利用した。アメリカ人では無いので不当な実験は当たり前である。そして、アンドリューは驚くのであった。


「おいおいおい! この人材はなんだい、すべてが優じゃないか。可が1つも無い。俺の大学の成績とはまるで逆じゃないかい。素晴らしい!」


「GHQに連絡してくれ! この所長から人員を20名購入すると、至急打電だ!」

「はい、アンドリューさま。もう打電は済んでおります」

「そうか、早いな!」

「いえいえ! アンドリューさまの独り言を聞いて判断して、勝手に解釈して発注しておりました。お許し下さい」


 言葉が通じないのが難点だった。アンドリューは色んな項目で点数をつけていたが、最終的にはボツ! になった。


「あの所長は、イカレ所長か! 役に立たない人間を送りやがって!」

「おい、日本のサイコパス所長に連絡してくれ。ロシアのイカレ所長の人間ではダメだ! おぬしの人間を至急用意せよ! と」


 日本のサイコパス所長は、アメリカ人を人狼に変えて贈っていたのだった。二人で共謀していた? としか考えられないのだ。それでもいいかとアンドリューは思っていた。


 イアンは、アンドリューにドイツからありとあらゆる人材を攫って来ては、紹介していた。軍事医学に精通していた人物にアンドリューは目を止めた。


「この軍事医学の専攻を寄越してくれないかい。訓練で目を廻す者ばかりだからもっと優秀な人材を造りたいのだ」


 と言う事で一人の科学者が入所した。名前がニコライというのだ。この男は? 日本のサイコパス所長の子飼であって、ドイツ人をしこたま教育して育てた男だった。裏から手を廻してイアンに掴ませたのだ。


 ニコライは、人狼に付いては何でも知っている。すべてはサイコパス所長の言うがままの人材だった。


 日本に来たアメリカ兵を多数拉致し、この前のロシア襲撃において手に入れた隕石を用いて製造したのだ。ここまで来ると、人狼の血”はかなり薄まっていた。同時に女の赤ん坊を育てて血液を抜いて確保してもいた。人狼兵の血液よりも女の血液は有望であった。しかし、赤子を潰して? では、今後が無くなる、というものだ。



 ニコライはアンドリューに進言して、運動神経の優れた女を10人ばかりを採用するように頼んだ。この女にも赤ん坊の血を輸血していた。ここの女性は八方美人だったから、アンドリューの子飼にされ、まともな仕事に就いている。「バイオニック・ウーマン」に育てられて、特務に就いて全世界で活躍する。


 


「ニコライくん、軍隊から多数の兵隊を連れて来て改造しているようだが、少し多すぎないか?」

「いえいえ、改造に成功する者は、1%ほどしかおりません。その1%から選別しますので、そのまた1%が候補者となります」

「随分と少ないな。兵隊は20万から居るから好きに造りたまえ」

「はい、ありがとうございます」


 ニコライは、軍隊から優秀な男を見つけては、輸血して人狼に変えていった。これらの人狼は、ニコライの私設軍隊・約1000名へと大きくなって行く。


(以下はサービス予告です)

 ニコライは、アメリカ人狼兵を育てて、クーデターを起こす。また、日本にいる巫女にも注意を払っていて、サイコパス所長とは密な連絡をとっているのだった。まだ先だが実現すれば、55~65章くらいで巫女とは混戦になる予定だ。


 1948年3月(昭和23年)に、サイコパス所長の要請を受けて約50人が日本に輸出された。目的は次章になる。


 この章では会話が少なくなった。切り上げて次章に移行します。


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