第41部 731部隊
1948年2月(昭和23年) 東京都・新宿区
1月のロシア・人狼研究所奇襲作戦が50点で終わり、研究所から無断で持ち帰った証拠の物品が、日本の人狼研究所に送られた。ここのサイコパス所長が、証拠品を検証するのだが・・・。
この研究所は関東OOOOO?らしいが、正式名称が知らされてはいなかった。本部はどうも満州に在る? との噂があるが、それさえも噂でしかない。
東京警視庁に、ただの?(研究科)という部所があり、ここに連絡すれば、あのサイコパスがやって来る。たまに木之本署長が訪問するが、所長は留守が多い。2月2日に木之本署長が訪ねた。
「あ、署長さん。お疲れさまです」
「な、あんた。今日は所長居るかい?」
「ええ、今日もいらっしゃいますよ」
「ほう、そうかい。いつも留守にしてるくせに!」
「所長は忙しいようです。2月11日に地方自治体警察が発足しますので」
「そうだったな、俺も制度が変わるので忙しいよ」
「で、今日のご用件はなんでしょうか」
「俺に喧嘩売ってるんかい?」
「すみません、所長をお呼びでした。直ぐに捕まえて来ます。お部屋でお待ち下さい」
「なあ、おい。直ぐに捕まえても、直ぐには来ないんだろう?」
「さようです。でも今日は早いですよ。帝銀事件で調査依頼を受けているようですので。刑事課に居るかも知れません」
「帝銀か! 残酷な事をする輩が居たもんだぜ!」
安全課が留守の間の、1月26日に、 帝国銀行椎名町支店で毒殺・現金奪取事件が起きていたのだった。
「これも人狼兵の仕業じゃないかな。しっぽが無いからお蔵入りになるだろうね」
「そうですよ、何も物証がありませんので、そうなるでしょう」
「びっくりした! ぜ。なんだい、居たのか」
「ええ、え。居りますとも。今日はロシアのお土産の件ですよね」
「その後、何か解ったかい?」
「沢山の研究材料を前にしてですね、興奮が収まりません。なにせ赤子ですので捻ることができませんでして」
「ひねり殺すなよ。こっちまで気分が悪くなる」
「そうでしょうとも。隕石を埋め込まれているのが確認された事くらいですね」
「その隕石に何か秘密でも?」
「地球外物質ですので、何にもわかりません」
「そうかい、あんたと同じだ!」
「お褒めを頂きありがとうございます」
木之本署長は、研究所の在りかを訊いてみた。
「所長は何処に研究所を開いているんだい?」
「ここのちっぽけな部屋ですよ。それが、なにか?」
「よくちっぽけな部屋に研究資材が入るもんだぜ。何か隠しているんだろうて」
「はは、さような事はございません。いたって普通です」
「ああ、分ったよ。また来る。その時はよろしくな!」
「はい、お待ちしております」
「刑事課の課長の顔を拝みに行くか! 序でにあのサイコ野郎の事を訊くか!」
署長は刑事課に行った。帝銀事件で忙しそうだし、声掛けるのもしんどそうだった。
「忙しそうだ、帰るか!」
「あ、署長! もうお帰りで?」
「忙しそうだから帰るよ。課長のかみさんは、元気にしてるかな」
「え? 奥さんは署長の下で働いているんでしょう?」
「いや、刑事課に熨斗を付けて贈ったんだぜ? 居ないのか」
「はいそうですが・・・」
「・・・・・?」
木之本署長の声を聞きつけて、課長がやって来た。
「おいおい、顔を見ないで帰らなくてもいいじゃないかい?」
「いやいや、忙しそうだからさ、帰ろうとしていたところだ」
「それはすまなんだ。部屋に来いよ。茶でも入れるぜ」
二人で課長室? に行った。
「おい、みんな、出て行ってくれ! これから会議を始めるんでな」
「はい、課長。ほどほどにして下さい」
「分ってるって! そうするよ」
「なんだい、本数制限をしてるのかい?」
「いや、させられているんだ。苦しいよ。客が来ないと会議も出来ない」
課長は机の引き出しから、入室禁止! の札を取だし、ドアのノブに掛けた。
「これで良しと。ブラインドを降ろせばなお良い! これでいいだろう」
「かみさんから本数減らせとでも言われたかい」
「ああそうだ。家では禁煙なのだよ。苦しくてかなわんよ」
「ところで、そのかみさんは、何処に居るのかいな」
「とある人物の身辺調査をさせているところだ。分ったら話す」
「そうかい。俺も訊きたい事があるのだが」
「そう、あの所長の事だろう? あいつは分らんよ!」
「よくご存じで。で、いつもは何処に居るのかは? 知ってるかい」
「それがこのワシも知らんのだよ。昔の職場が(関東軍OOO)らしいとな、関東軍までしか分らん」
「軍の機密かな。満州に事務所が在るとか無いとか。噂だがな」
「そうでもないようだ。その内に教えてやるよ、待ってな」
木之本は課長に、頼む! と言って帰署した。
「お茶はどうしたんだろう。出なかったな・・・」
1948年2月(昭和23年) 東京都・港区
10日ほどしてから、懐かしい、旧姓・悠木女史が尋ねて来た。新姓は何だったっけ。分らない。
「お! これは幸せな奥さんじゃありませんか。懐かしいですな」
「署長! ご無沙汰いたしております。家の主人が迷惑をお掛けしたようですみません」
「いやいや、そんな事は無いですよ。今日の用件は?」
「はい、お茶をいれますので、署長室でお待ちください」
ここが署長室なのだが、忘れたのか?
「おや? この封筒はなんだ?」
封筒を開けて報告書を読んででみた。これはあのサイコパス所長の報告書だった。
「う~ん。課長が悠木さんに調べさせたのか。とある人物の身辺調査とは、この事だったか」
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極秘報告書。731部隊とは?
戦時中の細菌兵器を研究・開発する目的で満州に設置された極秘の研究所。関東軍防疫給水部本部という。総指揮官は、石井四郎陸軍軍医中将。主な功績は、兵士の感染症予防で、大きく役にたったとある。ロシアの参戦でロシアを撃退すべく、細菌戦に臨もうとした。実際にペスト菌を流したりしたのだが。また、各種細菌の人体実験を行い、関係者はソ連軍の捕虜となって、ハバロフスク裁判(1949年12月)で戦争犯罪人として、強制労働25年間の監禁の判決を頂いている。人体実験はそうとう酷かったという。
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前任の総指揮官の石井四郎陸軍軍医中将が、どうもサイコパス所長らしいのだ。整形をして別人になりすましている、という報告書だった。
「そうか、サイコパスは軍医で人体実験の名医だったのか。それで人狼兵の拷問が好きだったんだ。そうか・・・そうか・」
「悠木君は戻ってこないな~。また、お茶は無しか!」
とうとう旧姓・悠木女史は戻らなかった。
今後は人狼の材料は渡さないでおこう。監視と注意を怠らずにしておくか。そう思った署長は、今後の方針を対応を考える事にした。
「あの所長は中国で、いや朝鮮かもしれないが、何を研究しているのだろう。報告書には記載が無かったな」
暫くしてニキータがやって来た。
「シン! どうしたんだい? 神妙な顔してさ」
「ニキータさん、訊きたいんだが、サイコパス所長とロシアのイカレ所長とは繋がりがあるかもしれないのだ。この事について、どう思う?」
「そりゃ~無いだろう。多分ね。無いかも。いや? どうだろうか」
ニキータにも報告書を読んでもらった。
「わ~、ひで~奴だな。本当だったら殺してもいいかな」
「だな・・・・・」
「敵にならなければ良いのだが・・なあ、ニキータさん」
「敵になるんじゃないかしら? そう思うわ!」
1948年は始まったばかりだが、朝鮮人の関係する事件がこれからは多発するのだった。安全課は、新潟や神戸なども事件発生で忙しくなる。




