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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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27/91

第27部 シホテアリニ山脈 ハバロフスクの愚計 


 1947年2月12日 ロシア・シホテアリニ山脈


 ロシアの人狼兵の研究者の名前が判明した。ハバロフスクといい年齢は六十三歳で外見ではもう老人そのもだった。おでこは広く髪は黒くて頭にへばり付くようにとても薄い。伸ばすままにしていて後ろで三つ編みにしている。色黒で何処かの農夫そのものだ。身長はロシア人にしては低い百五十五センチで、がっしりとした体格と残念な程に酷いガニマタ! 今では黒い杖を愛用している。


 足が悪いのだ。銃弾を受けたのか右足が不自由になっている1937年8月9日にモンゴルの山中で、あの館長さんのお父さんから撃たれたのかも知れない。


 子供が大中小の女の子がいて可哀そうだが人体実験にされている。


 シホテアリニ山脈は厳寒の気候の中に温帯林がある不思議な山だ。ロストワールドの世界になっている。タイガと亜熱帯の動植物が交じり合い人狼の研究材料に事欠かないのだ。


「この地は暖かくて最高!」

「俺の脳細胞は最高!」

「研究所に……さぁ行こう」



 日本の北海道の北西五百五十キロのシホテアリニ山脈に隠れ研究室を開設していた。日本に居る人狼の巫女をやっける目的で開設された研究所である。


 この研究所に天啓? が落ちた。二つの強化人狼兵が出来たのだった。一つは日本語を話せるのだ。人狼兵は復員の日本人を捕えて改造しているから話す事が出来るのは大きな進歩だろうか。


 もう一つが人狼の若い巫女で小の娘かもしれないが、人造巫女が天の力により偶然だが出来てしまった。


************************************************************

(シホテアリニ隕石落下事件)

 轟音と共に大きな隕石が落下した。小惑星がシホテアリニ山脈に衝突した。飛行機雲を極太にしたような隕石雲を作り落下する。この隕石は地上に落下する直前に大爆発を起こして様々な大きさになり山に落下した。一.三平方キロの地域に無数の隕石片が散乱していて、それは1947年2月12日朝10時半の事だ。


 面白い表記があった、一立方センチほど隕石が重さ千三百グラムは正しいのか。


 火球は一度見た事がありゆっくりと斜めに落ちて行くので幻想的だった。この日には韓国に2個ばかし同時に落ちている。面白い事だがニュースになったのは韓国だけであった。


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 シホテアリニ山脈山中にある研究所は隕石の直撃は免れたものの廻りには無数の隕石が落ちた。この無数の隕石により磁場の錯乱と大きな電流が流れて、実験中の人狼に大きな影響を与えたのだ。それによって日本語を話せる頭脳を持つ兵が出来た。


 次に人狼の巫女らしき能力を持つ娘が出来たらしいが目下研究中に付き詳細は不明だ。拳大の隕石を拾ってきて電極に挟んだらどういう訳か出来たらしいのだ。人語を話す巫女だから大きく実験も進むだろう。




 1947年10月 ロシア・シホテアリニ山脈



「ハバロフスク所長~起きて下さい。いつまで痺(しび)れてひっくり返っているのですか。もう十月になりました」


「ああ~すまん面白い夢を見ていて起きるのを躊躇(ためら)っていたのだ。いいアイデアが浮かんだぞ隕石による天啓! だ。」


「私には表題の様に愚計! に思えるのですが……」


「表面が溶けて綺麗な隕石を集めよ! 至上命令だ。1立方センチの小さい粒でこれを人狼兵の核に据える。力もオツムの能力も飛躍的に伸びるのだ。」


「お前ら~沢山集めて来い!」

「アイアイサー」


 ざっと五百個は集まっただろうか。人狼兵には即効性がある沢山の人狼兵が製造された。この沢山の人狼兵がこの十月に日本へ随時輸出される。五百人まで待てないのは飯代が無くなった為です。


「兵の洗脳はばっちりだ、じゃんじゃん日本人をさらって来い!」

「アイアイサー」

「復員船を丸ごとさらってこい! 人狼の五十人は連れて行け」

「アイアイサー」

「ぬふふふ……こやつらを日本の巫女に熨斗(のし)を付けて贈ってやる。」

「今に見ていろ巫女ども……め」



「熨斗紙にはこうだ!」


「親愛なる巫女の皆様、今年の研究 は大きく進歩いたしました。当方の都合で 申し訳ありませんが兵を三百二十人ほど お贈りいたします。有り難く受け 取って欲しいので有ります。1947年10月12日 ロシアより愛を込めて」



「ダハハハ……」


 ハバロフスクの高笑いが東京までは聞こえない。


「ハバロフスク所長~、総員八百人の復員船が到着いたしました。明日に研究所へ到着します」


「隕石が足らぬな、ええい! どでかい塊を砕くぞ、削岩機を至急作れ!」



「ダハハハ……」


 削岩機と同じような大きなハバロフスクの高笑いが止らない。


「ハバロフスク所長! 日本の復員庁が廃止になります十月十五日付けです、素材の人狼兵の確保が出来なくなりました。送り出す復員船も有りません」


「そうだな今後は小出しで送る。朝鮮の漁船を失敬して来い!」


 その後は小さい木造船で流れ着くようになった。


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