表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花
19/91

第19部 剣の鍛錬 スキルUP


 1947年10月(昭和22年) 東京都・神田



 ロシアのとある研究者からの2通目の挑戦状が届いた。内容は、


「昨日の完全勝利をお祝い申します。本日からは兵士らにも刀を持たせますのでご通知いたします」

「名前の無い研究者より……熱い秋波を籠めて!」  



 三者三様、誰の言葉かは好きに当てはめてください。


「大正ロマンだわ~」

「なんで熱い秋波こいごころを送るのか理解できない」

「この秋波(しゅうは)とはもう意味わかんない」


 

 芝浦の戦いの翌日「コスプレ! 娘三姉妹!」の特訓が始まる。


「沙霧と澪霧、今日から決め技の特訓をしましてよ」

「お母さまにもお手伝いをお願いします」

「三人分の食事とお風呂の用意と……それからー」

「まだ要求するのかい?」


「場所は、隅田川の河川敷がいいわ」


「いちいち飛んでバケツで水汲みは大変なのよ、ソードの剣技を磨きましょう」

「セメントの袋は40kで持てないから、もう嫌よ」

「私だって公園の砂をバケツで持って来るのも嫌よ」


「もうショット! は禁止ー」x3

「最初は二対一の戦闘方式でやってみましょう」


「沙霧と澪霧の二人と私ね」


 ガチャン、ガキン、バシッ、剣を当てるごとに火花が散る。


「きゃー殺されるー。もうたんま。もう勘弁して!」


「ファイヤー・ソード」

「アクア、ソード」

「ロシアン、ソード」


「この三本の決め技だけでいいわ」


「次は弓にしましょうか」

「隅田川の向こう岸に案山子を立てたから狙ってみて」


 三人とも弓に変えて矢を射るも三人とも外した。的が遠すぎだろう。風も吹いているし風速とか見える訳でもない。事実上当てるのは不可能だ。


 三人の頭に言葉が走った。


「眼で見て射るのでは無く念じて射るのよ、そうすれば全部命中よ!」


 二射目からは全部的中した。


「そうなんだ良く分ったわ」


「次は槍と薙刀ね」


 三人とも頭上で振り回すだけで終わった。先に仕掛ける方が分が悪く負けるのだ。仕掛けて跳ねられて撃ち込まれる。これ以上何も無い。


「次は両手剣、日本刀ね。でも怪我したら怖いから藁人形でしましょう」


一刀両断、何も進展が無い。


「ねえ竹刀でしないの?」

「はは竹刀か。そうしよう剣道部まで飛ぶわよ」


 学校の講堂に飛ぶ。見つかるといけないので更衣室まで。


「竹刀を3本下さ~い」

「また来たか帰れ! ここには何も無い。帰れ」

「また追い返されたね。澪? 3本をいつ失敬したんだい?」

「昨晩ね。だからまた来たかと言われたのよ」


「澪一本頂戴、乱戦して来る。ストレス解消ね!」


 五分で沙霧は戻った。


「河川敷まで戻るよ。ここは練習にならないわ」


 部員は総崩れになっている。部員こそいい迷惑だ。沙霧は卒業まで恐れられた。部員の勧誘とか全員で拒否されている。この事件が無ければ卒業生代表に即決だったかもしれない。



 隅田川の河川敷で練習に励んだ。竹刀ならば警察を呼ばれる事は無くなる。もう逃げなくていいのだ。公園で練習していた時は何度も通報されていた。



「必殺技……食らえ!」


 飛び上がり上段の構えで振り下ろす。


「ファイヤーソード」


 横にかわして沙霧の背後から横一線に竹刀を振り回す。


「アクアソード」


 沙霧の着地と同時に右上から竹刀を振り下した。 


「ロシアンソード」

 

 三人の乱取合戦になる。動きが速くこの前の三人とは思えない素早い動きだ。五分、十分と続いた。堪りかねてソフィアは瞬間移動で後方へ飛んだ。もうそこには澪の竹刀が横一線で振られていたのだった。ソフィアは竹刀の柄で受け止める。両手拳の間で僅か五cmの隙間で受け止めていた。


「ソフィア! もうあり得ない。渾身の一撃を放ったのに」

「へなちょこの打ち込みが当たる訳ないでしょ」

「甘いな! ソフィア。一本貰うよ」

「残念ね無理よ。澪が打ち込みに来たわよ」


「隙あり! 姉ちゃん、負けたり!」


 ソフィアは身をかわして右足を出す。沙霧はソフィアの右足に躓きよろける。無慈悲にも澪の竹刀は沙霧のお尻を直撃した。お尻ならばアザにはなるまい。


「ギャー痛い! 何すんの澪!」


 沙霧が振り向いた一瞬にさらに澪が襲いかかる。ソフィアは澪の竹刀を受け止めて沙霧を助けた。


「ダメよ澪、お姉ちゃんは負けたんだからね。大きいアザを作ったら鬼になるから怖いよ」


「ソフィアありがとう。澪のこと助けてくれたんだね」

「はは、そうだね。大いに感謝しなさい」

「足のお礼は明日にするね」


「もう帰ろうか。お母さんから角が生えるような気がするの」

「うん帰ろう」「うん」


 この後は好きに解釈されてください。


「お母さま。只今戻りました」

「お帰り少し早いね」

「双子がお夕飯のお手伝いをしたいからと言うので帰ったのよ」

「ブーー」x2

「あらありがとう、もう済んでるわ。アジの開きと焼きナスね」

「わー凄い。なんたってナスが半分というのが凄いわ?」

「四人だからちょうど良かったのよ。半分ですまないね」

「ナスのヘタの方が私たちかしら? はるかに小さいですわ」

「そうよ、当然でしょう。イソウロウ! ですもの」

「お姉さま、直ぐに立場を逆転させましてよ」


「ターン、ザ、テーブル」


「ほら、お姉さま、大きいナスになりましてよ」



「小母さま! 私たちからの差し入れです。大きいですわよ」

「そんな大きい鯉は無理だよ。そうだ澪ちゃん、なますにして」

「三分で用意します。小母さまはお酒の買い出しをお願いします」


 女四人で乱れた酒盛りになった。鯉が一メートルもあるのだから食べきれない。半分は近所に配られて、味噌、醤油、塩に換わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ