第8話
たぶんお酒を飲み過ぎたせいだ。
結局、眠りが浅くて、あんま寝た気がしない。
自動操縦モードで朝の支度を済ませた。
「行ってきます」
お母さんが作ってくれたお弁当を持って家を出た。
蓮くんの既読は今もまだついていない。
きっと疲れてて、ぐっすり眠ってるんだろう。
起こしちゃ悪いもんね。
返事が来るのを待とう。
7月中旬。
なんでこんなに暑いの?
切ってもらった前髪がおでこに貼り付く。
「失敗したかも」
毎月、カットしてきたから、ポニーテールがギリできない。
なんてこった。
こんなだったら、思い切ってショートにしちゃえばよかった。
「よ、おかっぱ」
「おはよ、坊主」
同期の横峯くん。
「なんか、あんたまた黒くなってない?」
元高校球児の横峯くんは、趣味で草野球をしているらしい。
「昨日、地区大会の予選だったんだよ」
「勝った?」
「もちろん。おまえは何してたの?」
「美容院に行った」
じろじろ見られた。
「シャンプーだけ?」
笑われた。
「んなわけないでしょ!」
腹が立って、肩をぶった。
「ごめん、先週とどう変わったのかさっぱり分かんねー」
「だよね」
私もおかしくなって笑った。
「で?美容院に何しに行ったの?」
まだからかってくる気か……
「スタイリストと付き合うことになった」
「へえ。知らなかった」
「昨日からだもん」




