第20話
「悪いけど、女子だからっておごりとかないから。割り勘ね」
「「はぁーい」」
私も佳純も、はなからご馳走してもらうつもりなんてない。
逆にお金を出してもらうと、何かお返しをしなくちゃいけない?って気になるから、割り勘の方が気が楽。
「穂乃果さんは……あ、ファーストネームで呼んでもいいですか?」
どうしよう。
中山さんに骨抜きにされそう。
「はい。プライベートで会う時は、その方がいいです」
「ありがとうございます。穂乃果さんは、好き嫌いはありますか?」
「ないです。全体的に生ものが苦手な感じですけど、火が通っていれば何でも食べます」
トングで味噌だれに漬かったホルモンを網に乗せる。
「中山さんは、『しおう』さんでしたっけ?」
会社で名刺を見て確認してきた。
『紫王』で『しおう』だなんて、プリンスじゃないですか。
「あぁ、でも、僕は名前があんまり好きじゃなくて、中山でいいです」
「そうなんですか?もったいない」
「もったない?初めて言われました。ははは」
「えー、本当です。素敵なお名前なのに、どうして好きじゃないんですか?」
「まあ……なんて言うか、ちょっと変わってるから?」
「かっこいいんだから良くないですか?」
名は体を表すとは、まさにこの事だ。
中山さんは私が探している王子様に見えてきた。
こちらはカクヨムにて(一日4話)の先行投稿をしています。
https://kakuyomu.jp/works/11054822665254880424




