第43話:世界で一番美しい人
大公城の最深部、大夜会ホールへと直結する貴賓専用の控室は、外の喧騒を完全に遮断する防音結界と、息を呑むほど贅を尽くした調度品に囲まれていた。
高いアーチ天井から吊り下げられた白銀のシャンデリアは、淡い桜色の魔導光を優しく投げかけ、壁一面に張られた金糸織りのタペストリーを柔らかく照らし出している。
遠く、重厚な二重扉の向こうからは、すでに大夜会の会場へと集まり始めた諸侯たちのざわめきや、宮廷楽団が調律を行う弦の調べが、かすかな振動となって伝わってきていた。
だが、その広大な控室の中を満たしていた空気は、外界の華やかさとは一線を画す、神聖な儀式を執り行う神殿のような、張り詰めた緊張感と熱気に満ちあふれていた。
「……ミレイユ、左のトレーンの広がりをあと二ミリ外側へ。重なるチュールの陰影が、歩行時の魔力波と完全に同期するように整えて頂戴」
「畏まりました、コンスタンス様。……右肩の留め具の角度、微調整完了いたしました。魔石の配列が首筋のラインと完全に調和しております」
室内で飛び交うのは、帝都社交界の女王コンスタンスと、大公城の家政を取り仕切るメイド長ミレイユの、真剣そのものの指示であった。
コンスタンスは自らの白金ブロンドの髪をきっちりと結い上げ、職人のような鋭利な眼差しでメジャーとピンを操り、ミレイユは一切の無駄のない所作で布地のドレープを整えている。
二人の女性の情熱と持てる技術のすべてが、部屋の中央――一段高い円形の大理石台座の上に立つ、たった一人の少女へと注ぎ込まれていた。
台座の上に静かに佇んでいたのは、エリアーナ・ヴァン・ベルクであった。
「あ、あの……コンスタンス様、ミレイユさん……。もう十分に美しく整えていただきましたわ。これ以上お二人に手を煩わせては申し訳ありません……」
おずおずと控えめな声を上げるエリアーナに対し、二人は示し合わせたかのように同時に顔を上げ、真剣極まりない表情で首を横に振った。
「何を仰っているの、エリアーナ!」
コンスタンスが手に持っていた象牙の扇をパチンと鳴らし、情熱的な瞳でエリアーナを見つめる。
「今宵は貴女のお披露目――いいえ、このアルジェント帝国が世界に誇る『至高の宝』を、大陸中の王侯貴族に知らしめる運命の夜ですのよ! 妥協の一筋、乱れの一筋すら許されるはずがありませんわ!」
「左様にございます、エリアーナ様」
ミレイユもまた、普段の冷徹な鉄面皮を崩し、その琥珀色の瞳に狂信的なまでの敬愛の炎を灯して頷いた。
「今宵、貴女様を目にするすべての者が、己の不敬を恥じ、平伏せざるを得ない完璧な神域を作り上げることこそが、我ら侍女とデザイナーの命に代えても果たすべき務めでございます。どうぞ、まな板の上の白鳥のようにお任せくださいませ」
「ま、まな板の上の白鳥……?」
独特すぎる例えにエリアーナが困惑して眉を下げた瞬間、ミレイユの合図によって、控室の正面を覆っていた巨大なベルベットの天幕が、左右へと静かに開け放たれた。
現れたのは、壁一面を埋め尽くすほどの、曇り一つない巨大な三面姿見であった。
「……さあ、エリアーナ。ご覧になって」
コンスタンスが誇らしげに身を引き、手で鏡を示した。
エリアーナはおずおずと視線を上げ、鏡の正面へと瞳を向けた。
そして――。
「…………っ」
彼女の喉から、小さな息が零れ落ちた。
呼吸が、完全に止まった。
鏡の中に映し出されていたその姿を目にした瞬間、エリアーナは自分の心臓が激しく跳ね上がり、全身の血が逆流するような強烈な衝撃に打たれたのだ。
そこに立っていたのは――かつての自分とは、何一つとして似ていない、天上の世界の住人であった。
身に纏っているのは、コンスタンスがデザインし、エリアーナ自身が【万物最適化】によって極限まで調和させた、あの「奇跡の夜会ドレス」。
深海の最深部と、真冬の夜空の透明感をそのまま織り上げたような、氷晶の如き群青の最高級シルク。
何重にも重ねられた薄絹の裾は、わずかに身じろぎをするだけで、まるで静かに波打つ湖水のように優美な陰影を描き出し、床の上へと流れるように広がっている。
そして――ドレスの全体を覆うように施された、魔石の刺繍。
裾から腰回り、そしてデコルテへと向かって天の川のように流れる数百粒の微小な魔石が、エリアーナ自身の持つ純粋な魔力と共鳴し、青、銀、白、淡い燐光となって、息を呑むような微細な星々の瞬きを放っていた。
魔石の硬さは完全に消え去り、布地と一体化して滑らかに波打つその意匠は、まるで本物の夜空を切り取って仕立てたかのような神話の輝きを放っている。
デコルテから伸びる首筋と肩のラインは、白磁の陶器のように透き通り、ドレスの深い群青との鮮烈なコントラストを描き出していた。
長年の過労によってやつれていた身体は、大公城での贅沢な滋養食とクロードの過保護な愛によって完璧な健康を取り戻し、細くしなやかでありながら、女性らしい柔らかな丸みを帯びた完璧なプロポーションへと昇華されている。
艶やかに波打つ栗色の髪は、帝都屈指の結髪師の手によって、繊細な編み込みを交えた優雅なアップスタイルに整えられていた。
サイドには、エリアーナの瞳の色と同じ、極上の琥珀色のトパーズと星彩石をあしらった白銀の髪留めが燦然と輝き、歩くたびに微かな光の飛沫を散らしている。
耳元に揺れるのは、クロードが帝都中の宝飾商から買い集めさせた、国宝級のイエローダイヤモンドの耳飾り。
そして何より――。
鏡の中の少女の顔立ちであった。
かつて目の下に張り付いていた暗い隈は跡形もなく消え去り、白く吸い付くような肌には、林檎のような淡い桜色の血色が差している。
唇には、雪露ベリーの果汁を煮詰めた特製の紅が塗られ、瑞々しい朝露を宿した花びらのように艶やかに濡れていた。
そして――春の夜明けの湖水のようにどこまでも澄み渡り、深い慈愛と、誇り高い凛とした気品を宿した、大きな琥珀色の双眸。
「これ……が……私……?」
エリアーナの震える指先が、ドレスの胸元――母の形見の蒼い星彩石が縫い留められた部分へと、そっと触れた。
信じられなかった。
夢を見ているのではないかと、何度も瞬きを繰り返した。
脳裏をよぎるのは、わずか一ヶ月足らず前の、ロシュ侯爵邸での記憶。
袖口がすり切れ、泥とインクの染みが落ちきらない、あの灰色の木綿ドレス。
手入れもされずにパサついていた髪を小さく後ろで束ね、暖炉の火も入らない冷え切った執務室で、寒さに震えながらペンを握り続けていたあの日々。
父からも、義母からも、妹のティファーヌからも、そして婚約者だったユリウスからも、
『地味で冴えない出来損ない』
『愛嬌のない無能な雑用係』
と罵倒され続け、自らの姿を鏡で見ることすら恐れ、怯えて生きてきた二十年間。
それが、いま。
こんなにも美しいドレスを纏い、こんなにも眩い光に包まれて、世界で最も尊い大公妃として鏡の中に立っている。
「……お母様」
エリアーナの瞳から、ポロリとひとしずくの透明な涙が零れ落ちそうになった。
だが、すかさずミレイユが柔らかなシルクのハンカチを差し出し、目元を優しく押さえた。
「いけませんわ、エリアーナ様。今宵の貴女様は、世界で最も誇り高き大公妃であられます。涙をお流しになるのは、夜会が終わり、閣下の腕の中でお休みになられる時までお預けくださいませ」
「ふふ、ミレイユの言う通りよ」
コンスタンスが優しく微笑み、エリアーナの肩にそっと手を添えた。
「貴女は、ずっとこの輝きを持っていたのよ、エリアーナ。無知で下賎な豚どもが、貴女のその眩しすぎる光に嫉妬し、煤で覆い隠そうとしていただけ。……ご覧なさい。これが、貴女の真の姿よ。誰も貴女を蔑むことなどできない、本物の聖女の姿だわ」
「コンスタンス様……ミレイユさん……」
エリアーナは胸がいっぱいになり、溢れそうになる感謝の想いを抱きしめるように、静かに深く息を吸い込んだ。
――その時であった。
ガシャリ、と。
控室の内扉の脇、護衛のために直立不動で控えていた一人の武官の甲冑が、激しい音を立てて鳴り響いた。
「…………っ!!」
銀地金の重厚な甲冑に身を包み、腰にあの「白銀の神剣」を佩いた青年――近衛騎士団長、バスティアン・フォン・ハイゼンであった。
普段であれば、訓練場で数百の騎士たちを前に一歩も動じず、敵軍を前にしても眉一つ動かさない帝国屈指の猛将。
だが――完成したエリアーナの姿を初めて正面から目撃した瞬間、彼の鍛え上げられた巨躯は、まるで雷撃に打たれたかのように硬直していたのだ。
バスティアンの彫りの深い端正な顔立ちが、瞬く間に耳の先まで、いや、首筋や襟元の奥に至るまで、茹でダコのように真っ赤に鬱血していく。
切れ長の鋭い瞳は限界まで見開かれ、呼吸器が完全に停止したかのように、胸板がピクリとも動かない。
手にした兜を取り落としそうになるのを辛うじて指先で堪え、背筋を定規以上にピンと張り詰めて、完全に石像と化していた。
「……あら、バスティアン様」
エリアーナが小首を傾げ、ふわりとドレスの裾を揺らしながら彼の方へと向き直った。
「いかがでしょうか……? その……おかしなところは、ございませんでしょうか……?」
不安そうに上目遣いで見つめるエリアーナ。
その至近距離からの破壊的な眼差しを正面から浴びた瞬間、バスティアンの脳内で、理性の警報がけたたましく乱打された。
「……ぐ、は……ッ!?」
バスティアンの喉から、空気の抜けるような悲鳴が漏れた。
彼は顔を真っ赤にしたまま、目を丸くして直立不動の姿勢を崩さず、引き攣った声を絞り出した。
「お、おかしなところなど……め、滅相もございませんッ!! な、なんという……なんという神々しさ……! あ、あまりにも眩しすぎて……視界が、視界が白く焼き切れそうでありますッ!!」
「まあ、大袈裟ですわ、バスティアン様ったら」
エリアーナがクスクスと笑う。
その無邪気な笑顔の眩しさに、バスティアンはさらに一段と直立の姿勢を固くし、天を仰ぐようにして叫んだ。
「大袈裟などではありませぬッ! 神剣の加護をもってしても、この胸の動悸を抑えきれませぬ! え、エリアーナ様……今宵、貴女様に不敬な視線を向ける不届き者がいれば、我が神剣にて即座に両断し、灰にして差し上げますッ!!」
「こら、バスティアン」
コンスタンスが呆れたように扇で彼の甲冑の肩をペシッと叩いた。
「夜会の前から物騒なことを口走るんじゃないわよ。貴方のその暑苦しい筋肉のせいで、エリアーナのドレスに汗が飛び散ったらどうするつもり?」
「ぐっ……申し訳ありませぬ、コンスタンス閣下……!」
赤面したまま直立不動で頭を下げる騎士団長。
そのあまりの不器用さと純粋さに、控室の中に温かな笑い声が満ちあふれた。
――しかし。
その和やかな空気が、ふっと一瞬にして、甘美で濃密な静寂へと塗り替えられたのは、まさにその直後であった。
カツン、カツン、と。
控室の外の廊下から響いてくる、規則正しい軍靴の足音。
一歩、また一歩と近づくにつれて、室内の空気が心地よい緊張感と、微かな冷涼な魔力の気配に満たされていく。
バスティアンが即座に表情を引き締め、神剣の柄から手を離して最敬礼の姿勢を取る。
ミレイユとコンスタンスもスッと背筋を伸ばし、扉の方へと優雅に頭を垂れた。
重厚な彫刻が施された控室の扉が、音もなく滑らかに内側へと開かれた。
現れたのは――アルジェント帝国の大公、クロード・ディス・アルジェントその人であった。
彼が今宵身に纏っていたのは、帝国の最高格式を示す、深藍色の布地に豪奢な純銀のモール刺繍が施された大公専用の正礼装であった。
肩からは純白の毛皮をあしらった重厚なマントが翻り、胸元には帝室の至宝たる白銀の巨竜の勲章が燦然と輝いている。
冷涼な白銀の短髪は完璧に撫で付けられ、刃物のように鋭く整った美貌は、他国の王侯貴族の誰もが平伏するであろう絶対強者の覇気を立ち上らせていた。
だが――。
部屋へと足を踏み入れ、台座の上に佇むエリアーナの姿をその氷青色の瞳に捉えた、まさにその瞬間。
ピタリと。
クロードの足が、完全に静止した。
「…………っ」
息を呑む微かな音が、大公の薄い唇から漏れた。
彫刻のように完璧だった彼の表情が、音を立てて崩れ去る。
切れ長の氷青色の双眸が、かつてないほど大きく見開かれ、その瞳の奥底で、言葉を失うほどの驚愕と、魂のすべてを奪われたかのような狂おしい情熱の光が爆発的に燃え上がった。
呼吸が、止まっていた。
戦場で数万の敵軍に囲まれようと、致死性の魔毒に侵されようと、決して乱れることのなかった大陸最強の男の心臓が、いま、早鐘のように激しく、早く、高鳴っていた。
彼の眼前に立つ少女。
夜空の星々をそのまま縫い留めた群青のドレス。
白磁の如きデコルテの輝き。
陽光を宿した艶やかな栗色の髪。
そして――自分を迎えて、はにかむように頬を淡い桜色に染め、恥ずかしそうに視線を伏せる、あの無垢で至高の琥珀色の瞳。
「あ……クロード様……」
エリアーナはおずおずとドレスの裾に手を添え、台座の上から見つめ返した。
消え入りそうな、不安げな声。
「あの……いかがでしょうか……? その……大公妃として、お恥ずかしくない姿に、なれておりますでしょうか……?」
その愛らしく、健気で、あまりにも尊い問いかけ。
その声を聞いた瞬間、クロードの胸の奥で、張り詰めていた理性の糸が完全に千切れ飛んだ。
――ザッ、ザッ。
クロードは大股で歩み寄った。
迷いのない、獲物に惹き寄せられる獣のような、切迫した足取り。
台座のわずか一段下まで詰め寄ると、彼は周囲に居並ぶコンスタンスやミレイユ、バスティアンの視線など、ただの一ミリたりとも気に留めることなく――。
トン、と。
大理石の床の上へ、何のためらいもなく、自らの右膝を折り曲げてついたのだ。
「え……っ!?」
エリアーナが息を呑んだ。
最高格式の軍礼装を纏った帝国の大公が、一国の最高権力者が、控室の床の上で、一人の少女の足元へと深く傅いている。
それは臣従の礼であり、神仏への祈りであり、そして――生涯のすべてを捧げる男が、唯一無二の伴侶に対してのみ捧げる、最上級の求愛の姿勢であった。
クロードはゆっくりと素手を持ち上げると、エリアーナの白く滑らかな右手を、壊れやすい硝子細工を慈しむように、自らの両手でそっと包み込んだ。
彼の掌は、熱かった。
冷酷無比と恐れられる男の肌が、目の前の少女への熱情によって、火傷しそうなほどの熱を帯びていた。
そして――クロードは、彼女の琥珀色の瞳を至近距離から見上げながら、その白磁の手の甲へと、深く、熱く、息が詰まるほどの口づけを落としたのだ。
ちゅ、と。
静寂の控室に、甘美な吸音が響き渡る。
唇を離したクロードは、彼女の指先を自らの胸元――深藍色の礼装の奥で激しく脈打つ心臓の真上へと強く引き寄せた。
至近距離で交錯する視線。
見上げるクロードの顔立ちは、歓喜と畏敬に震えていた。
その氷青色の瞳に宿る熱量は、見る者の魂を芯まで焼き尽くしてしまうほどに濃密であった。
「……恥ずかしくない姿、だと?」
低く、甘く、胸の奥底を直接震わせるようなバリトンの声。
クロードは愛おしげに彼女の指先を自らの頬へと押し当て、蕩けるような極上の笑みを浮かべた。
「お前は本当に……どこまで私を狂わせれば気が済むのだろうね、エリアーナ」
「クロード様……」
「恥ずかしいなどという生易しい次元ではない。……世界中のいかなる言葉を尽くしても、今の君の美しさを言い表すことなどできはしないよ。神話の女神すら、君のその気高き輝きの前には嫉妬に狂って平伏するだろう」
クロードの大きな手が、彼女の細い指先を一本ずつ確かめるように愛撫した。
その瞳の奥底で、暗く、熱く、狂おしいほどの独占欲の炎が、ギラギラと音を立てて燃え盛る。
「美しい……。世界中の誰よりも美しい、私の奇跡だ」
震える声で紡がれた、魂の底からの賛辞。
「君をこの私の妃として世界にお披露目できることが、私の人生における最大の栄光だ。……だが、同時に耐え難いほどの独占欲で胸が張り裂けそうだ。今すぐにでも君を抱き上げ、寝室の奥深くへ連れ去って、誰の目にも触れさせずに閉じ込めてしまいたい」
「ひゃぅっ……クロード様……!」
エリアーナの顔が、耳の先まで真っ赤に染まり上がる。
跪いたまま、彼女の手の甲に再び熱い口づけを落とし、蕩けるように見つめてくる絶対零度の大公。
その狂おしいまでの愛の質量に、エリアーナの胸の奥底は、心地よい痺れと、溢れんばかりの幸福感で満たされていた。
もう、何も恐れることはない。
どんな過去の亡霊が立ち塞がろうと、どんな悪意が牙を剥こうと。
この男の愛がある限り、自分は世界で一番強く、世界で一番幸せな大公妃として、前を向いて歩いていける。
コンスタンスが満足げに扇を鳴らし、ミレイユが静かに頭を垂れ、バスティアンが熱烈な敬礼を捧げるなかで。
クロードはゆっくりと立ち上がり、エリアーナの華奢な腰へと、自らの逞しい腕をそっと添えた。
「さあ、行こうか、私の愛しい人」
クロードが優雅に微笑み、大夜会ホールへと続く重厚な扉を示した。
「君を苦しめた過去のすべてを終わらせ、君の真の輝きを世界に知らしめる――最高の宴の始まりだ」
扉の向こうから、建国祭大夜会の開幕を告げる、壮大なファンファーレの轟音が響き渡った。
光の階段の先で待ち受ける、完璧なるカタルシスと公開断罪の舞台へ向かって、奇跡の聖女と冷酷公爵が、いま、堂々たる第一歩を踏み出したのである。




