第22話:勃発するエリアーナ争奪戦
大公城の東翼、陽光が燦々と降り注ぐサンルーム付きのサロンは、穏やかな午後の静寂に包まれていた。
昨日、社交界の頂点たるコンスタンス・フォン・ヴァルハイト公爵令嬢が「親友宣言」という名の熱狂的な求愛(?)を残して去っていった後、サロンにはエリアーナ専用の贅を尽くした調度品がさらに増築されていた。
ふかふかの白羽毛が詰められた長椅子には、肌触りの良い純白のカシミアのショールが掛けられ、卓上にはコンスタンスから早馬で届けられたという帝都最高級菓子店の焼き菓子が、銀の三段スタンドにこれ見よがしに積み上げられている。
エリアーナ・ヴァン・ベルクは、手にした磁器のティーカップをそっとソーサーに戻し、小さく息を吐いた。
「……ふう。なんだか、まだ夢を見ているみたいだわ」
身に纏っているのは、ペールブルーの柔らかなデイドレス。
長年の過労によってやつれ、冷え切っていた身体は、アルジェント帝国に来てからというもの、至高の滋養食とクロードの過保護な甘やかしによって、驚くほど健康的な潤いを取り戻していた。
白磁のように滑らかな肌には桜色の血色が差し、艶やかに波打つ栗色の髪は、陽光を浴びて黄金の粒子を散らしている。
しかし――身体が休まり、周囲からどれほど手厚くもてなされようとも、彼女の根底に刻み込まれた「自己評価の低さ」だけは、そう簡単には塗り替わらなかった。
(ロシュ侯爵領にいた頃は、座ってお茶を飲む時間すら罪悪感でいっぱいだったのに……。こんなに何もしないで、美味しいお菓子をいただいてばかりで、本当にいいのかしら……)
ふと、執務机に山積みになっていたはずの書類の山や、冷え切った真夜中の執務室が脳裏をよぎる。
何か役に立ちたい。誰かの役に立たなければ、いつか「やっぱりお前はいらない」と見捨てられてしまうのではないか――そんな長年のトラウマが、ふとした瞬間に胸の奥をチクリと刺すのだ。
そんな時だった。
コンコン、と。
サロンの重厚な扉から、極めて控えめでありながら、どこか緊張で強張ったノックの音が響いた。
「……あの、エリアーナ様。失礼してもよろしいでしょうか」
扉の向こうから聞こえてきたのは、低く、太く、そして妙に裏返りかけた男の声。
「あら……? どなたかしら。どうぞ、お入りになってください」
エリアーナが声をかけると、扉がギイと静かに開いた。
現れたのは――銀地金の甲冑を寸分の狂いもなく磨き上げ、腰にあの「白銀の神剣」を佩いた屈強な青年。
近衛騎士団長、バスティアン・フォン・ハイゼンであった。
普段の彼であれば、訓練場で数百の騎士たちを前に鬼のような形相で号令を飛ばしているはずの猛将である。
だが、今のバスティアンはといえば、彫りの深い端正な顔立ちを耳の先まで真っ赤に染め上げ、なぜか両手で銀のトレイを恭しく捧げ持っていた。トレイの上には、湯気を立てる真新しいポットが載せられている。
「し、失礼いたします、エリアーナ様……!」
バスティアンは定規を当てたように直立不動の姿勢を取ると、ぎこちない足取りで絨毯の上を進んできた。甲冑の擦れ合う音がカチャカチャとやけに大きく響く。
「あ、バスティアン様。ごきげんよう。……そのトレイは、一体?」
「は、はっ! 騎士団の厨房において、最高品質の『紅雪茶』が納品されたと聞き及びまして……! エリアーナ様が午後のティータイムをお過ごしであると伺い、その……毒味、いえ! お茶の『警護』を志願して参った次第であります!」
「お茶の……警護、ですか……?」
エリアーナは小首を傾げた。
お茶を警護するとは、一体どういう任務なのだろうか。
だが、女性恐怖症のはずの堅物騎士団長が、額に大粒の汗を浮かべながら必死にトレイを捧げ持っている姿は、どこか微笑ましく、健気に見えた。
「わざわざ持ってきてくださったのですね。ありがとうございます、バスティアン様。どうぞ、そちらに置いてくださいな」
「は、ははっ! ありがたき幸せに存じます!」
バスティアンは緊張のあまり息を止めながら、細心の注意を払ってトレイを卓上へと下ろした。
そして、彼は鉄の手甲を外すと、武骨な素手でポットを傾け、震える手でエリアーナのカップへとお茶を注いだのだ。
シャラシャラと注がれる深紅の液体。
高山地帯の霊草から採れる希少な茶葉であり、身体を芯から温める滋養に満ちた銘茶である。
「……あ、あの、エリアーナ様。熱すぎはしませんでしょうか……? もし渋みが強ければ、すぐに蜂蜜をお持ちいたしますが……!」
「いいえ、とても芳醇で、温かくて美味しいですわ。……バスティアン様も、お立ちになっていないで、そちらの椅子にお掛けになってはいかがですか? お菓子もたくさんありますし」
「め、滅相もございません! 騎士が貴女様の御前で腰掛けるなど……!」
バスティアンは直立したまま、腰の神剣の柄にそっと手を添えた。
先日、エリアーナが素手で触れ、【万物最適化】を施して国宝級の神剣へと昇華させた、彼の魂の半身。
その神剣を見つめるバスティアンの瞳には、狂おしいほどの忠誠と、不器用な情愛が揺らめいていた。
「私は……ただ、ここで貴女様のお姿をお守りできるだけで、身に余る光栄にございます。……もし、風の吹き込みなどで肌寒さを覚えられましたら、即座にこの身を盾として風を遮りますので、何なりとお申し付けください!」
「ふふ、風を遮る盾だなんて……バスティアン様は、本当にご親切で優しい騎士様ですね」
エリアーナがふわりと春の陽だまりのように微笑む。
その瞬間、バスティアンの心臓がドキンと跳ね上がり、彼の顔面は茹でダコのように真っ赤に沸騰した。
女性を恐れていたはずの堅物武官の理性が、彼女の純粋な一言によって、音を立てて蕩け去っていく。
――しかし!
その甘やかな空気を、容赦なくぶち壊す怒声が響いたのは、まさにその時であった。
「――ちょっとぉぉぉッ!! 筋肉ダルマ、抜け駆けするなよぉぉぉッ!!」
バァァァンッ!!
蹴破らんばかりの勢いでサロンの扉が開け放たれた。
飛び込んできたのは、濃紫の魔導ローブの裾をバタバタと翻した小柄な少年――宮廷筆頭魔導士、ニコラであった。
「なっ……ニコラ!? 貴様、エリアーナ様のサロンに騒々しく乱入するとは何事だ!」
バスティアンが眉を吊り上げて怒鳴る。
「うるさい、うるさい! お前こそ、お茶の警護とかわけのわからない口実を作って、お姉さまを独占しようとしてたくせに!」
ニコラはバスティアンをキッと睨みつけると、手にした樫の杖を放り出し、パタパタと軽やかな足取りでエリアーナの元へと駆け寄ってきた。
そして――先ほどの生意気な態度はどこへやら、大きな碧眼を潤ませ、子犬のように甘えた表情でエリアーナの膝元へとすがりついたのだ。
「お姉さまぁ〜! 会いたかったよぉ!」
「まあ、ニコラ様。こんにちは」
エリアーナが微笑み、その紫がかった銀の癖毛をそっと撫でてあげる。
撫でられた瞬間、ニコラは「ふにゃあ……」と蕩けた声を漏らし、エリアーナのドレスの膝の上に頭をすりすりと擦り付けた。
昨日、結界術式の欠陥を優しく添削され、大号泣の末に抱きしめられて以来、この天才魔導士は完全にエリアーナの熱烈な信徒と化していたのだ。
「お姉さま、これ見て! ぼく、お姉さまのために徹夜で作ってきたんだ!」
ニコラはローブのポケットから、手のひらサイズの小さな銀細工の小箱を取り出した。
蓋を開けると、中から精緻なクリスタルで作られた、一羽の小さな「青い小鳥」が現れた。
「こ、これは……? 硝子の小鳥かしら?」
「ただの飾りじゃないよ! ぼくの特製『自動魔導オルゴール鳥』だよ!」
ニコラが得意満面に胸を張る。
「ネジを巻かなくても、部屋の余剰魔力を吸って勝手に動くんだ。お姉さまの気分に合わせて、一番心が落ち着く周波数の子守唄を奏でてくれるし……それだけじゃないよ! お姉さまの周囲半径三メートルの気温と湿度を常に完璧に感知して、結界を微調整してくれるんだ! これで、お姉さまは絶対に寒い思いをしなくて済むよ!」
「まあ……! そんな凄いものを、私なんかのために作ってくださったの?」
エリアーナが目を輝かせると、クリスタルの小鳥がパタパタと羽ばたき、清らかな鈴の音のような子守唄を奏で始めた。同時に、ふわりと温かな微風がエリアーナの周囲を包み込む。
宮廷筆頭魔導士の超絶技巧が、惜しげもなく「一人の少女を快適にするためだけ」に注ぎ込まれた究極の魔導玩具。
「凄い……! 本当に可愛らしくて、温かいわ。ありがとう、ニコラ様。大切にするわね」
エリアーナがもう一度、両手でニコラの頬を優しく包み込んで微笑むと、ニコラは嬉しさのあまり耳まで真っ赤にし、蕩けきった笑顔を浮かべた。
「えへへ……お姉さまに喜んでもらえるなら、ぼく、何個だって作るよ! あの筋肉ダルマのお茶なんかより、ぼくの魔法の方がずっと役に立つでしょ!?」
「貴様ぁぁッ! 私の淹れた紅雪茶を侮辱するかッ!」
バスティアンの額に青筋が浮かぶ。
「事実じゃないか! ただお湯を注ぐだけの筋肉と、特注の魔導具を作れる天才と、どっちがお姉さまにふさわしいか明白だもんねーだ!」
「ええい、口の減らない小僧め! 表へ出ろ、剣の錆にしてくれる!」
「わーい、野蛮人だー! お姉さま、助けてぇ!」
ニコラがエリアーナの背後に隠れ、バスティアンが長剣の鞘を握りしめて歯噛みする。
一触即発の喧嘩が勃発しかけた、その時――。
「――おやおや。相変わらず、暑苦しい筋肉と五月蝿いガキの組み合わせだねぇ」
パチン、と。
軽やかな指を鳴らす音とともに、サロンのバルコニー側の窓から、涼やかな声が滑り込んできた。
振り返った全員の視線の先。
開け放たれたテラスの手すりに、片足を優雅に乗せて腰掛けていたのは――蜂蜜色の金髪を風になびかせた美青年、諜報部隊長のロヴェルであった。
「ロ、ロヴェル……!? 貴様、なぜ窓から入ってくる!」
バスティアンが眉根を寄せる。
「扉から入ったら、君たちの低レベルな小競り合いに巻き込まれるじゃないか。……それに、美しい花に会いに行くのに、正面からノックなんて無粋だろう?」
ロヴェルは手すりから音もなく軽やかに飛び降りると、外套の裾を翻してエリアーナの元へと歩み寄った。
その琥珀色の瞳には、大人の男特有の色気と、隠しきれない熱烈な知的好奇心がギラギラと渦巻いている。
昨日、王国の最新鋭暗号を一瞬で解読されて以来、ロヴェルの魂は完全にこの少女の虜になっていたのだ。
「ごきげんよう、私の至高のミューズ(知性の女神)。今日も一段と、透き通るような美しさだね」
ロヴェルはエリアーナの前に流麗な動作で跪くと、彼女の手の甲を取り、空中で唇を寄せる寸前で止めるという、完璧な紳士の口づけ(キスマーク)の仕草を披露した。
「ひゃっ……!? ロ、ロヴェル様……!」
あまりの色男ムーブに、エリアーナが顔を赤らめて身を引く。
「おい貴様ッ! 気安くエリアーナ様に触れるな!」
バスティアンが一歩踏み出し、
「そうだぞ、女たらし! お姉さまから離れろ!」
ニコラが杖を構える。
だが、ロヴェルは二人の殺気配など柳に風と受け流すと、背中に隠していた硝子の小籠を、卓上へと優雅に差し出した。
「騒ぐんじゃないよ、野蛮人たち。……エリアーナ様、君のような素晴らしい女性に、ただの茶や子供騙しの玩具など相応しくない。……これをどうぞ」
小籠の蓋が開けられた瞬間、サロンの中に、目も眩むような濃厚で甘美な南国の芳香が爆発的に広がった。
籠の中に鎮座していたのは、透き通るような瑠璃色の薄皮に包まれた、拳大の果実の房だった。
表面には細かな果汁の露が宝石のように輝き、冷涼な大公城の空気の中で、まるで自ら淡い光を放っているかのように瑞々しい。
「こ、これは……?」
エリアーナが息を呑んだ。
「南方の秘境にしか自生しない、幻の『星露葡萄』ですよ」
ロヴェルが甘く囁く。
「一粒口に含めば、極上の甘みが脳を覚醒させ、疲れた神経を瞬時に癒やすと言われる至宝の果実です。……王国の貴族たちが密輸しようとしていた極秘ルートから、我が諜報部の総力を挙げて、今朝方、空輸させて手に入れてきました」
「空輸……!? そんな貴重なものを、私なんかのために……?」
「君のためだからこそ、ですよ」
ロヴェルは至近距離でエリアーナの琥珀色の瞳を見つめ、蕩けるような笑みを深めた。
「君が昨日見せてくれたあの神業の知性に比べれば、この程度の果実など安いものです。……さあ、私が一粒、剥いて差し上げましょうか? 君の愛らしい唇に、直接運んで差し上げたいな」
「なっ……! 貴様、不敬にも程があるぞッ!!」
バスティアンの怒声が轟く。
「絶対にだめ! お姉さまに変なもの食べさせないで!」
ニコラが金切り声を上げる。
「おやおや、嫉妬かい? 見苦しいねぇ。選ぶのはエリアーナ様ご自身だよ」
ロヴェルが涼しい顔で肩をすくめる。
「「「エリアーナ様!!」」」
三者三様の、熱烈極まりない視線。
忠誠と不器用な愛を捧げる堅物騎士団長。
独占欲を剥き出しにして甘える天才ショタ魔導士。
知性に狂い、大人の色香で口説き落とそうとする敏腕諜報部隊長。
帝国の最高中枢を担う三人の極上美男子たちが、一人の少女の気を引こうと、我先にと群がり、火花を散らしている。
傍から見れば、これ以上ないほど贅沢で、鼻血が出そうなほどの「超弩級の逆ハーレム状態」であった。
――しかし。
その中心に立たされた当のエリアーナはといえば。
「…………」
彼女は、並べられた深紅の紅雪茶、クリスタルのオルゴール鳥、そして瑠璃色に輝く星露葡萄を、順番に見つめていた。
そして――その琥珀色の瞳に、じわりと温かな涙の膜を浮かべたのだ。
(ああ……)
胸の奥底から、信じられないほどの感謝と、感動が込み上げてきていた。
ロシュ侯爵領にいた頃の自分を思い出す。
どんなに働いても「お前のような地味な女は愛せない」と罵倒され、
お茶を淹れれば「手際が悪い」と机を叩かれ、
果物どころか、冷えた残飯のような食事しか与えられず、
誰からも顧みられず、冷たい石壁の中で、孤独に震えていたあの日々。
それなのに、このアルジェント帝国に来てからは、どうだろう。
大公閣下はもちろんのこと、この立派で優秀な帝国の要人の方々までが――。
自分のためにわざわざ温かいお茶を運んでくださり、
徹夜で可愛らしい玩具を作ってくださり、
遠い南国から珍しい果物を届けてくださっている。
(なんて……なんて、お優しい方たちなのかしら……!)
男たちの下心や、自分を巡る争奪戦のドロドロとした熱気など、エリアーナの清らかな脳内には一ミリたりとも存在しなかった。
彼女の目には、彼らの行動のすべてが、傷ついた他国の哀れな客人を気遣う「純粋無垢な親切」にしか見えていなかったのだ。
エリアーナは胸の前で両手を合わせると、春の雪解け水のように澄み渡った、満面の極上の笑顔を三人へ向けて咲かせた。
「バスティアン様、ニコラ様、ロヴェル様……。ありがとうございます……!」
天使の如き微笑み。
「私のような、何の取り柄もない他国の者に……皆様、どうしてこれほどまでに親切にしてくださるのですか? 温かいお茶も、可愛らしい小鳥さんも、甘い果実も……私、生まれて初めてこんなに温かいお心遣いをいただきました。……本当に、本当に嬉しいですわ!」
「「「…………っ!!」」」
ドッキュゥゥゥゥンッ!!
三人の男たちの胸を、目に見えない神話級の矢が同時に撃ち抜いた。
純度百パーセントの、無邪気で無自覚な感謝の笑顔。
打算も駆け引きもない、己の存在を丸ごと肯定されたような圧倒的な多幸感の波動に、バスティアンも、ニコラも、ロヴェルも、揃って息を呑み、胸を押さえてノックアウトされた。
(か……可愛すぎる……ッ!!)
(お姉さま……! 一生ついていくよぉぉぉっ!!)
(参ったな……これは、命を賭ける価値がある……!)
男たちの瞳に、さらに一段と狂おしいまでの熱狂と独占欲の炎が燃え盛った、その瞬間――。
――パキン。
サロンの窓ガラスに、鋭利な亀裂が走るような硬質な音が響いた。
「……ん?」
ロヴェルが最初に異変に気づき、眉を跳ね上げた。
空気が、重い。
いや、重いのではない。
先ほどまで春の陽気のように暖かかったサロンの室温が、信じられない速度で――急降下していたのだ。
ヒュゥゥゥゥ……。
どこからともなく吹き込んできた、絶対零度の冷気。
卓上の銀のトレイが、みるみるうちに白銀の霜に覆われていく。
ニコラが作ったクリスタルの小鳥がカチカチと凍結して動きを止め、注がれたばかりの紅雪茶の水面に、ピキピキと氷の膜が張り始めた。
吐き出す息が、一瞬にして真っ白に濁る。
「な……んだ、この寒気は……!?」
バスティアンが青ざめて神剣の柄を握り直す。
「ひぃっ!? ぼ、ぼくの結界が……外側から凍らされてる……!?」
ニコラが悲鳴を上げて震え上がる。
部屋の温度が、一瞬にして氷点下を突破し、極北の吹雪の只中へと叩き落とされていた。
そして――。
軋む音を立てて凍りついたサロンの扉の向こうから、地獄の底から響くような、甘く、冷徹で、殺気配に満ち満ちた足音が近づいてくる。
――カツン。カツン。カツン。
扉の隙間から吹き出す白銀の冷気。
それは、最愛の宝物に群がる害虫どもを、塵一つ残さず氷砕するために現れた――「絶対強者」の降臨を告げる前触れであった。




