ヘルドッグフレンズ
決め台詞でも言おうと思ったら変な声出ちゃったからもういいや
「もう良いか?流石に……うんっ、くすぐったくて……止めてもらえる?」
二人に語り掛けるが……駄目だ完全に目に光が無い
「フフフ……クロガネが困ってます、もっとやらないと……」
「この感触……素晴らしいです」
耳を掴まれてるから逃げようものなら耳を引き千切られるんじゃないかな?黙って満足していただけるまで待つしか無いか……
耳を弄ばれる事数十分
「そろそろ帰りたいんですが……」
「まだまだ……もうちょっと」
「私は日が落ちても構いませんが?」
「俺は構わなくないんだが?」
目の前に居るとは言え、今は夕方だ。弁当箱を届けに来る時間だという事を覚えているんだろうか?
「俺も忙しいんだよそろそろ帰らないといけなくてな?」
「あ!私も弁当箱を届けなければならないんでした!」
「はっ!?来週またもらえるんですよね?どうぞアルタイルさん行ってください!」
やっと解放されたので挨拶だけして退散する
「無茶だけはすんなよ?じゃあな!」
「無茶苦茶な貴女に言われたくないです。でも貴女の事は信用してますから、さようなら!」
アルタイルが手を振ってくれる。一時はどうなるかと思ったけど友好関係は問題無さそうだ。
アルタイルが弁当箱を持って来るまでに家に着いていなければならない。ここから家までタイムアタックだ!
(シルエッタ先生!お願いします!)
(任された)
シルエッタ先生が
影の魔人に任せて家に戻る。相変わらず障害物なんざ関係ねぇと言わんばかりのルートで家までの道のりを突き進む
「いやぁ、流石先生!タイム更新したんじゃないですか?」
(ふふん)
ゴマすりしたら得意げな声が聞こえた。やっぱ褒められると嬉しいんだな
家の中に入り居間で変身を解除する
「変身解除」
ヴァイス、シルエッタ、そしてケルベートが目の前に現れた
「それが人間体かっ……って!?」
そこに居たのはメイド服を着た少女。女の子の声だったので少女かな?とは思っていたがまさかメイド姿だとは……蘇るモールの悪夢、着せ替え人形と化したあの日を思い出す姿に言葉が詰まった。
「ケルはケルベートなの!その姿が本当のクロトなのー?」
メイド姿、髪の色は三つ首の時の毛色と一緒の艶やかな黒、そして頭部左側に赤い稲妻模様のメッシュ?が入っているショートボブっぽい髪型はとても似合っている。
「おう、改めて遊馬玄斗だ。よろしく」
握手でもしようと手を差し出すと
「ちょっと待ってー今もう一人に変わるのー」
もう一人に変わる?どういう事だ?
するとケルベートの頭部左側にあったメッシュが消え、頭部右側に青いメッシュが現れる
「ど、どうも、ケルベートのもう一つの人格のベルです……」
雰囲気が変わった。というかこの少し恥ずかしそうな感じ……もしかして?
「もしかして男?」
「あぁ!分かってくれますか!流石です!」
俺の差し出していた手を両手で握る男の娘。何故だろうすごくシンパシーを感じる。
「メイド姿は男には辛かろう……せめてこの毛布でも羽織っておくと良い」
優しい声で毛布をそっと掛ける。一概には言えないが女装させられるって結構辛い物だからね。
「もしかしてクロトさんもメイド服を着せられた事があるのです?」
「あぁ」
死んだ目同士のアイコンタクトですべてを察する二人
「今日からここが君の家だ!一緒に頑張ろう!」
シンパシーを感じるベルにハグすると
「は、はいです……」
顔を赤くするベル。なんだ?
「ケルベートは元気なケルと内気なベル、そして魔物状態の時は二人合わせてケルベートとなるのだ。」
ヴァイスが解説してくれるが、要するに姿まで変わっちゃう多重人格みたいなものか
「因みに記憶はすべて共有しているのでな?ベルにした事でもケルが反応してしまう事もある」
あぁひょっとして今のハグは女の子の人格であるケルの方にまで伝わってるから赤くなってるって事なのか
「まぁ、今のは普通にクロトが可愛いと思っていたのだろうな!」
「ちょ、ちょっとご主人様!それは秘密です!」
oh……その反応でもう全部言っちゃってる様な物だぜぇ?ベル君。っていうかマジか……男の娘を赤くしてしまうってマジか俺……
自分の事なのに他人事にしたかったが、もうじき彼女がやってくるだろう迎える準備をしなくては