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【新章・王都編スタート】転生したら孤児院出身。テンション低いけど頑張ります  作者: しぃ太郎
第三章 ルイーズ、再び現る

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番外編 ルイーズのその後

ルイーズの後日談です。


リアクション、ブックマーク、評価が本当に励みになっています。 一つひとつの反応に力をいただいています。


 もう何度、窓の外を見たのかわからない。

 毎日、何時間もずっと見ている気がする。

 ここには話し相手もいない。


 世話をしてくれる使用人は、決して私と目を合わせようとしなかった。

 話しかけても無視をされる。

 それに苛立って暴れたら、彼らが口も利けない事がわかった。


 罪人に刻まれる焼き印と、隷属の首輪がそこに見えたのだ。

 それを見て、驚くほどすとんと腑に落ちてしまった。

 ああ。

 あなた達も同じだったのね。


 ――もう、時間感覚が曖昧だ。


「ヴァルター……これ、落としたわよ」


 ある日、ふいに訪れたヴァルターにハンカチを突き返す。

 洒落た物しか持たない彼には珍しく、そこには歪で不格好な刺繍がされていた。

 黄色い花のように見えたが、下手すぎてよくわからない。


「ああ……娘が誕生日に贈ってくれましてね」

「……こんな不格好なもの、よく持ち歩けるわね」


 ヴァルターの娘。早いものだ。

 もう、こんな刺繍ができる歳になったのね……。


「身につけておかないと、娘に叱られますから」


 少し眉尻を下げ、困ったように微笑んだ。

 そうしていると、本当に父親の顔に見える。

 外の世界では、立派な父親であり、夫なのだろう。


「……酷い父親ね」

「私は悪役ですから。そうでしょう?」

「……そうね。私も、ただの悪役だったわ」


 自嘲するように答える。

 するとヴァルターは首を傾げて、目元を柔らげた。


「では、お揃いですね」


 窓の外に視線を向ける。

 そこに映った私たちは、もうあの頃のままではなかった。


「そういえば、季節が変わったわね」

「そうですね。また新しい季節だ」


 窓の外は明るく……ここは暗い。

 外では小鳥が鳴いて飛び回っている。

 けれど、ここは……。


「今の私は幸せよね……?」

「……私は幸せですよ、ルイーズ」

「でも、私はこのまま――」


 底知れない不安に襲われて、両腕を抱きしめる……。

 あれ……。

 私の腕っていつの間にこんなにも細くなってしまったの?

 ひやりと、心がまた凍っていく気がした。

 それを見ていたヴァルターが笑みを深める。


「私との子どもを望みますか?」

「……そうしたら、私は求められるのかしら」


 わからない。

 どうせ、私に与えるつもりもないくせに、何を思って言っているのだろう。


「私が貴女を求めている。それでは足りませんか?……他の玩具を用意させましょうか」

「……どうせ。みんな演技でしょう」


 それから、幾つ季節が巡ったのか。


 冷ややかな真冬が終わり、また柔らかな風と日差しが戻ってきた。

 狭い窓から黄色い花が見える。


 ――春が、また来た。

 ここは暗くて寒いけれど、庭には白と黄色い花が綺麗に咲き誇っている。


 デイジーかしら。

 それとも違う花?もう、わからない。


 窓に伸ばした手は骨が浮き出て皺がよっていた。

 そこに映る自分の姿は――。


 ガチャリ。

 無遠慮に扉が開かれる。

 銀髪がほぼ白に変わった、年齢を感じさせる男性が入ってくる。


「今日は、息子の成人祝いだったよ。妻が張り切って準備していたから抜け出すのが遅くなった」

「そう……おめでとう……」


 なぜ、こうなったのかしら。

 私はずっとここで一人、窓の外を見ているだけ。

 これが、私の選んだ結果――その、さらに先だった。


「愛していますよ……私の女神」


 ヴァルターの声は昔と変わらず甘く、ただただ溺れさせる毒を含んでいるように思えた。


 溺れた先――そこはきっと、動けなくなって、弱っていって、最後には……。

 そんな場所なんだわ。


 ふふふ。

 早く早く、また新しい季節が来ないかしら……。


 

ヴァルターは、私の中でもかなり強烈なキャラになりました。

お前……ヤンデレ? ヤンデレでいいのか……?

イケメンが気持ち悪くてもいいのか? と、いつも自問しております。

次は平和なSSにしたいと思っています。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

もし物語を楽しんでいただけましたら、

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