4 両親の冤罪
ポチする前にバランがやってきた。なんだか癪に触ったから、見つからないように隠れて、バランの様子を覗き見している。
バランは執務室やお父様のお部屋を中心に、探し物をしているようだ。重要なものはすべて押収されたはずなのに、おかしい。見つからなかったのか、お母様の寝室まで調べている。それでも見つからなかったようで、悪態をついて家具に八つ当たりをしている。ヤンにも八つ当たりしている。
「伯爵から預かったものはないのか。いずれ私のものになるのだから、隠し立てすると罪になるぞ。」
とか言っている。散々、絵画とかタペストリーを外したり破いたりして、気が済んだのか帰っていった。なにやら足を引きずっている。家具と格闘した時にでも痛めたのだろうか。それを私は2階からそうっと覗いている。
「いい気味だわ。」
ヤンがまたもや生活用品を持って来てくれた。箱庭へポチする前にヤンに聞く。
「お父様とお母様の容疑は、まだ晴れないの。」
「はい。ただお館様の罪のみ公にされて、弁明もできない状態です。」
「ねえ、さっきバランが言ってたわよねえ。いずれここは自分のものになるって。もしかして…。」
「私も同じ疑問を持ちました。バラン様の探しているものとは、もしかしたら…。」
「この鍵かしらね。でも私たちの疑念が本当なら冤罪よね。それになんだか通常の捜査方法とは違うわよね。もしかして、これってバランだけじゃなく他の貴族も関与してるわよね。」
「そう思います。」
「そうなると無罪を主張してもだめよね。冤罪の証拠を探さないと。」
取り合えず、屋敷内ね。バランが探しているものを先に探すことだ。でも、それがなんだかわからない。
「屋敷を探すにしても軟禁されている使用人が邪魔よね。この家を空にできないのかしらね。」
「私に考えがあります。明日また相談致しましょう。」
「では、行ってきます。」
「行ってらっしゃいませ。」
私は4度目のポチをしました。気が付くと、なんと!なんと!広くなっています。
「やったー。」
お父様とお母様のことは心配ですが、ニヤリが止まらない。だって寝室がある。お風呂とトイレも独立している。これでゆっくりお風呂に入れる。キッチンだって広くなっている。冷蔵庫もある。ゆっくり我が家を堪能したいのですがそうもいかない。ヤンが待っている。仕方なく屋敷へポチです。
屋敷にポチしたのですが、外が明るい。丸一日意識がなく眠っているはずがどうしてだろう。そ~と2階から1階へ降りる。誰もいない厨房に向かう。この前もヤンは厨房にいたし、私お腹減っている。そ~とドアを開けようとしたが、また尻餅をつくのは勘弁だ。
そ~うと少しずつドアを開ける。誰もいない。なので、すぐ食べられるフルーツやパンを物色する。
自分の家なのに泥棒になった気分だわ。
泥棒した物でお腹を満たした。夜になるのを音を立てないようひたすら自室で過ごした。やっとヤンが顔を出した。それで箱庭で意識を失っている期間が短くなっていることを相談する。もちろん広くなったことも。
「時間が読めないのは不安ですね。広くなったのはお嬢様が快適にお過ごしになれるようですから良かったです。」
と言われ、今後は箱庭への出入りはクローゼットの中で行うことになった。さらに私が戻った時には目印としてドアを少し開けておくことになった。
鍵関係の家探しは、ヤンがバランに
「使用人たちは伯爵のやったこととは無関係であり、このまま軟禁状態では給料も支払わなければならなくなります。そこで最低限の人数にして解雇してはいかがですか。」
と持ちかけたら即OKだったらしい。それで明日にはほとんどの使用人が館を出て行く手筈になっている。
「退職金は出せないのでそれに代わるものとして、なくても困らない食器や上のお嬢様達のドレスとかを見繕って渡します。だから、着替えとか装飾品とかお手元に置いておきたいものはすべて持って行ってください。」
だって。やっと着たきり雀から解放される、嬉しい。
それから各部屋を回って荷物を確保。ベッドもオッケーらしく大荷物になった。でも、私の手に触れているものは箱庭へ転移できるようになったいた。なので、ベッドの上にシーツで荷物をまとめて大の字に両手を広げて
「行ってきます。」
「行ってらっしゃいませ。今回はゆっくりしていて大丈夫です。」
有能な家令で心強い。ありがとう。
箱庭で目が覚めたらベッドは自分が考えていた場所に、ドレスはクローゼットに、どの荷物もここが定位置です、みたいに片付いていた。前に持ち込んだ茶器は使用済みの汚れたままで私がなんとか洗って片付けた。だが、今回の荷物は自分で片付けた記憶がない。4回目で片付け機能が発生していたみたいだ。なんとなんと優れた箱庭だ。でも広くなってなかった。なので、ちょっと思い出してみた。
1回目:箱庭発見。ワンルーム。シャワー付きトイレ。ミニキッチン。
ミニクローゼット。庭は馬車2台分くらい。
2回目:ワンルーム。浴槽付き。庭が馬車2台分ぐらい広くなった。
3回目:変化なし
4回目:かなり広くなったワンルーム。広いキッチンに冷蔵庫。
浴室トイレ別。広いクローゼット。代意識不明が短くなった
5回目:変化なし
1回から2回目、4回目で箱庭が成長ていた。これはプラス2回で広くなるのか?2倍の回数が必要なのか?または別の条件があるのか?わからないが、次回で変化がなかったら、残念だが2倍の回数が必要かもだ。だから8回目に期待しよう。
今回は着替えを持ってきたのでお風呂でゆったりして、きれいな服に着替えた。もちろん下着もだ。でも、この汚れ物はどうしたらよいのだろう。私自慢じゃないけど一応貴族令嬢だ。洗濯掃除などしたことがない。
お茶だってどこでも飲めるのに美味しい入れ方が分からず頂いてない。
仕方なく汚れ物はその辺の隅に放した。
私は家出するつもりだったはず。準備万端と思っていたけど、物を用意するだけでは駄目なんだと反省した。あのまま家出していたら、どうなっていたことやら。
今回はゆっくりできるので外へ出てみた。相変わらず草ぼうぼうだが、かなり広くなっている。名も知らない木も大きくなっているし、井戸はつるべ式からポンプ式に進化していた。
今度お花や野菜の種とか果物の木とか持ってきて植えてみよう。と思うも、手入れなど知らない。ものは試しだ。そうすればお腹がすいても泥棒のような気分にならなくて済むからね。
そうそうスターテスを忘れてた。庭のいつもテーブルにつき、座り心地もちょっと良くなっている椅子に座り、スターテスレベルの確認だ。
箱庭は、レベルが上がっている。これって箱庭発見でレベル1。ちょっと広くなってレベル2。かなり広くなってレベル3かしら。箱庭5は箱庭に来たのが5回目ってことだろうか。なんかすっごく単純だ。ありがたいけど、私の頭に合わせているかのようだ。
座りごこちもよくなったのでティータイムと思ったが、お茶を美味しく入れる自信がないなのでボーっとすることしばし。何もなくても、ここに居るとリフレッシュできるようだ。
でも、お父様やお母様のことが心配だから現実世界へポチだ。
読んでいただいて、ありがとうございます。




