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箱庭  作者: 田舎娘
第一章 アネットの箱庭

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3/17

  3 箱庭が成長してる

 急いで現状把握だ。


 ヤンによると、

 突然、長女バネットの婚約者のターラン子爵家令息バランが近衛やら騎士団やら兵士やらを引き連れ来訪。脱税やらなんやらの咎を高らかに告げ、両親と姉2人を連行して行ったらしい。

 ターラン子爵家令息バランとは、バートン伯爵家の分家の次男坊で、バートン家に婿入りする事が決まっていた。そのバランが

「証拠は執務室の机の中だ。」

 と騒いでいたとか。机の中にあった書類は証拠として没収。私を除く家族がお縄になり、現在貴族牢に入っているそうだ。ヤンの差し入れなどの要望は聞き入れてもらえず、使用人たちも軟禁状態で外へ出ることもできない。

 そして三女の私の行方が要としてわからず、捜査中なんだそうだ。ただ家出するつもりで書いた下書きを発見して、家出中となっているんだとか。


「お嬢様どこにいらしたんですか。」

 両親の逮捕から丸一日経っているらしい。

 はい。正直に話しました。

 ヤンは

「箱庭のスキルは知りませんが、きっと時空魔法でしょう。過去に時空魔法師は数人現れましたが、詳しいことはわかっていません。ただ国に潰されたんだろうと思います。聞いたことのないスキルですので、どんな魔法が使えるようになるかわかりませんから、秘密にした方が良いでしょう。」

 と言われてしまった。


 試しにヤンと一緒に箱庭に入ろうとしたが、入れなかった。残念だ。ヤンも残念がっていた。そこで、箱庭に行くと気を失うので、どのくらい気を失うのか実験することにした。


 ポチっとする前に、箱庭の家は、ミニキッチンは付いているが、家具等何もなく食器類もない。なので、

「ちょっとした物を持っていきたいんだけど。」

「大きいものを持って行くと兵にバレてしまいそうです。だから今食べて飲んだ食器を持って行ったらどうですか。」

 ヤンに提案され、それを片手にポチ。やっぱり意識を失った。気がついたら食器は流しの中だった。


 でも、私の家が変わっている。ちょっと広くなっている。シャワーとトイレだけだったのに浴槽がある。相変わらずのワンルームだが、広くなっている。ドアを開け外へ。外も広くなっていた。馬車2台分が4台分ぐらいになっていた。草ぼうぼうは変わらずだが、でも大きな木がちょっと育っているような気がする。箱庭って成長するの?


 スターテス確認。レベル2、スキル箱庭2になっている。レベルもスキルも上がっている。もしかすると箱庭に出入りするとレベルもスキルも上がるの?残念なことに、前回箱庭に来た時は、ステータスのレベルは焦っていて確認していない。これは絶対検証が必要だ。ウキウキしながら、持ち込んだものを洗って、出口へポチ。


 ヤンはいない。でも時計は箱庭と同じ時間だ。しばらくヤン登場を待った。ヤンによれば、丸一日立っているそうだ。それで、これから役人やら兵士やらが屋敷の中を再確認に来るんだとか。めぼしい書類と金目の物はすでに国が没収済みなので何も無いんだけど、何しに来るの。でも、私がいると不都合なので再度箱庭にポチだ。その時、ヤンが食料やリンネ類を少し持たせてくれた。気が付く執事だ。着替えももっていきたいんだが、細かくチェックされていたらまずいので、泣く泣く諦めた。


 意識が遠のく。でもなんだか心地よい睡眠って感じだ。目が覚めたときには気分爽快だった。慣れたのだろうか。ヤンに持たされた物も、すべて無事だ。でも、お家が広くなっていることを期待していたのだが、広くなっていなかった。



 ヤンのお出迎えを受けて箱庭のことを相談する。

「きっと出入りすることで成長するスキルでしょう。どんどん行き来して確認した方がよろしいでしょう。」

 と勧めらた。その都度、必要品を箱庭に持ち込むことにした。ただ、まだ父の容疑は晴れていないし、バランが頻繁に来ているらしい。明るいうちは箱庭へ避難することにして、箱庭へポチだ。


 そして、『では』と、差し出された一つの鍵。

 ヤンがお父様から何かあった時のためと預かったそうだ。この鍵がどこの鍵なのかわからないそうだ。

「ですが、私が持っていたら確実に見つかります。お嬢様なら箱庭に置いておいても、ご自分でお持ちになっても、見つかりづらいでしょう。落ち着いたらどこの鍵なのか探してみましょう。」

 いつ落ち着くんだろう。




読んでいただいて、ありがとうございます。

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