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妖精貴族 ~生まれ変わりの妖精無双~  作者:


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外へ

旅路は遠く、そして夢は近く


シャールによるギルドマスターの足凍結などという事件はあったが、その場はなんとか抑える事ができた。

その後、シャナシィさんに頼み、冒険者であれば全ての人が持つギルドカードを発行してもらう。

職業は勿論「エレメンタルマスター」と。


——————————————————————————


「なぁリーリアお嬢」

「なんですか?モルセさん」


ギルドでの登録を終え、私は早速一つの依頼を受けた。

「スライム」と呼ばれるファンタジーな世界ではかなりお決まりな魔物を三体倒す事です。

それと同時に私はこの国を離れ、少し離れた所にある「嘆きの森」と呼ばれる場所の一歩手前にある町「ユパリ」の冒険者ギルドまで向かう事にしたのだ。

モルドーさんが門まで送ると言ってくれたのでお言葉に甘えて、一緒に城下町を歩いてるのだが...


「リーリアお嬢が精霊使いなのは分かったがいくら何でも冒険者成り立てじゃ危ない事も多い。だから兄貴も呼ぶから暫くは私たちが手伝おうか?」

「え?」


こう提案してきたのだ。

相変わらずモルセさんは優しいなと思いつつ、私はその提案を拒否する。


「一人でどこまでやれるか知りたいんですよ」

「いやでも...」

「マスターがこう言ってるのです。それに私は序列で言えば精霊の中で最も上に存在するのですから安心しなさい」


シャールがモルセさんを安心させるように声をかける。

ちなみにシャールは色々とあって人を驚かすかもということでちっちゃくなって私の肩に乗っています。

そんな事も出来たんだとちょっと驚きました。


「んでもやっぱり私は心配なんだよ。つい最近まで足も動かせずに不自由な生活をしていたリーリアお嬢が精霊使いとして生きていけるのかって」

「それは...」


暫しの沈黙。

確かにモルセさんが心配する理由は分かる。

でもやっぱり一人で行けるところまで挑戦してみたい。

私がそんな感情になりうんうん唸ってると今日はまだ聞いてなかった男性の声が聞こえた。


「リーリアお嬢ー。何処ですかー」

「兄貴?」


声の主はウルドーさんだった。


「おう。居た居た。ギルドに行ったら何故か両足凍って冒険者に助けてもらってる豚が見えたんで何があったか聞いたら精霊使いになってるとはなぁ」

「おかげさまでこの通りです」

「マジで歩けるようになったんだなぁ...んでもって肩の小さいのがシャールって精霊か」

「モルセの兄ですか」

「まぁな」


どうやら私を見送りに来たらしい。

そのまま共に門まで行く途中、ウルドーさんはモルセさんが話していた内容を聞いた。

反応は...


「ま、良いんじゃあないか?」

「良いのか?私は不安何だけどよ」

「リーリアお嬢が決めた道だし俺らがそれに関与しているもんなんだ。笑顔で見送るってのが筋だろ?」


ウルドーさんはそう言ってのけた。


「が、せっかくリーリアお嬢が街の外に行くんだ。土産話で一つ教えておこうか」

「何をだ?」

「センドールの酒場」


ウルドーさんの酒場の言葉を聞き、一瞬「お酒飲める場所」を教えるつもりかと思ったが違うらしい。


「センドール...あ!アレか!ううぐふぉ!!??」

「大声で言うな」


唐突にモルセさんに腹パンを決めたウルドーさんが私の耳に顔を近づけて小声で行った。


「センドールって国にハクランヨウカっつう酒場がある。そこで「スタライクウィークの水切り揚げ大焼き」を注文してみてくれ。メニューな無い品だが、今のリーリアお嬢だったら行く価値はある」

「あ、え、分かりました」


(秘密の暗号だーーーーーーー!!!!)


一瞬、前世で読むことが多かった本であった一コマを思い出した。

確か、裏通りにある店に入るときに店の前に居る見張りが「暗号は?」と聞いて、主人公が暗号を言うと通されるあのシーン。

アレとは若干違うがまさにそれだった。


「んじゃリーリアお嬢、暫くの間お別れだな」

「そうですね。ウルドーさんはこの後どうするんですか?」

「とりあえずあの豚が煩いから氷から削り出した後にミョンゼンのギルドに腰を据えるつもりだ」


ミョンゼンのギルド…確かユパリとは真逆の町ですね。


「だが、どこかで会えたら、そんときゃあ、その町の旨い飯を奢ってやるよ」

「本当ですか!楽しみです!」

「私達も何処かで会えるのを楽しみに待ってるよ」


お二人とのお話はそこまでで終わりました。門に着いてしまったからです。


——————————————————————————


「主様」

「なーにシャール?」


門を抜けてから数分後、私の暮していた町がもはや遠くにある建物の集まりにしか見えなくなってしまった所でシャールが私に声を掛けた。


「本当にあんなお別れで良かったのでしょうか?」

「…なんで気づいたの?」

「精霊は主の感情に敏感です。どのような状況か、遠くからでも分かるので」

「そっか」


…本音を言えば二人にも来て欲しかった。

二人と旅もしてみたかった。

でも…


「それは私の身勝手で我がままな願いです」

「…」

「二人にだって行きたい場所や冒険、まだ見ぬ世界があります。それを私の身勝手で縛るなんてとんでもないです」


かつて、前世で願った願い。

喋りたくても、喋れない。歩きたくても、歩けない。

居なくなる親を、留める事だって出来なかった。

そんな悲しい過去を、消し去ってくれたのが、この世界だった。

足だけは動かなかったけど、喋って、手を動かして、見聞き出来るこの世界。

遠くに行けない私に夢の冒険を教えてくれたモルセさんとウルドーさん。

私のためだけに家を魔改造したお父様。スロープが家中にあります。

優しい姉さまと兄さま。

そして…町の皆と使用人の皆。


「ありがとう」


私にたった一つの夢と希望をくれて。


——————————————————————————


そうして、私の大冒険は始まった

夢にも思わない出会い、旅、そして未来

それらを知らずに知りに行く


次回、スライムが酷い目にあいます


【悲報】スライム全員液体&水

【朗報】シャールは氷の冠位精霊


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