第一章(5)
「ああ。司書のことな。」
そう。ここの図書館司書になる話だ。
「まあ、要するにここに客が来たら要望通りの本を出せってことかな。」
「なんと楽な。」
「んまあ楽っちゃ楽か?微妙だがな。あとは本を読み解いてほしい。」
「読み解く?」
読むとは違うのか?
「これはまあ細々した契約とかしなきゃだめだし俺はそこまでお前に強要したくない。だって嫌だろう?わけわからん男に連れられて、騙されて。俺は別にお前の意思を奪う気はないんだ。だからこれは、お前の判断に任せる。亜璃笥がしてくれるというならば俺は契約するし、したくないというならば俺が代わりを務めるさ。」
なんとまあ……ここまでやってきたかなりの悪事(?)のことを考えるとまた押しつけられ、脅されると思ったのだが。
「それで?その行為は私にどのような影響を与えるんですか?」
「特に影響はない。俺に少し自由を奪われるくらいだな。」
「どんな自由ですか?」
「本を読む自由だ。お前は契約すると、俺の許可なしに本を読めない……というか読み解けないというか……」
「神宮君は許可しないつもりですか?」
「聖でいい。あとさっきから言おうと思ってたけど敬語不要。で……無論するつもりはない。人の好きなことを制限するほど落ちぶれちゃいない。」
彼も本を読むことが好きなんだろう。だって、私が読んでいた本を読んでいたのだから。
「そうですか。じゃあお受けします。」
「そうか、引き受けないよなやっぱ……り……は?」
「二度は言いませんよ。」
「引き受ける……って……」
「聖は私の自由を奪う気がないのでしょう?じゃあ別にいいです。それに、聖になら少々制限されてもいい気がしますしね。うん。」
ポカーンとしている聖。なんだか少し面白い。
「そっか……そっか……じゃあ、契約しなきゃな。引き受けてくれてありがとう。亜璃笥。それから、本当に敬語やめてくれね?苦手なんだよ。あといい思い出もないしな。」
敬語にいい思い出がないの意味がよくわからない。にしても、聖の顔が嬉しそうで。少し気分が浮上して。よくわからないこの感情を私は見て見ぬふりをした。




