タイトル未定2026/09/25 23:52
杉から三島、芦の海間の地形を詳細に聞くと孝江は迎撃の策を思案した、関所に千近い兵が布陣したとして永倉のいる箱根口に百五十近い兵を預けており大久保の手元には五十あまり、大砲は既に関所に向けられてはいるが千の兵を相手にするにはあまりにもろい、孝江はせめて半数、五百程まで減らしておきたいと案じていた。
孝江は箱根峠にて増援軍を分断し箱根関所に入った者達を大久保が討つ段取りで事を進めた、東海道でも最大の難所と言われる箱根峠、越えるだけでも難儀を強いられる処に要所要所罠を仕掛け身魂ともに挫き戦意を喪失させ乾同様、退いていただければこの地も最小の守備兵の配置で事が済み、孝江は残る北陸道を進軍する敵を川越辺りで迎え撃つ算段迄想い描いていた。
明け六つ、沼津宿から進軍開始をした東海道軍増援は一刻で三島宿を通過、小憩をとると半刻程で箱根西坂に到着、先鋒が箱根峠を登り始め一刻、先鋒が尾根筋迄到着すると西坂で待つ本隊に合図を送り本隊も箱根峠に入ると間を取りつつ中軍、後揃、輜重と続けて箱根峠へと入って行った。
「宗盛様っ」
「まだだ、あれは先鋒、本隊を待つんだ本隊が最も兵が多い筈だ」
尾根筋へ現れた先鋒に慌てて爆薬を点火しそうになった孝江を宗盛が制止した、孝江はゆっくり仕掛けから指を離し宗盛に聞いた。
「士官はその本隊にいるのですか」
「いや、いるとすれば本隊の次に来る中軍だ」
「では本隊後方で起爆すれば中軍は尾根筋で足止めですね」
西郷は中軍最後尾にいた、西郷は改めて乾から聞き及んだ事思い出していた、乾曰く「彼奴等は幕府方ではあるが幕府にあらず、武力はまさに一騎当千、到底我らが敵う相手ではないもし戦場で出逢うたらすぐ逃げた方がいい」
「西郷様如何なされましたか」
西郷はその憂いに足並みが遅くなり側近が案じて声を掛けてきた、西郷は否とは答えたが憂いを拭える筈もなく只々出逢わぬ事を願っていた、先鋒が尾根筋を越え下に差し掛かったと報せが届くと西郷は杞憂であったかと少々気分が晴れると顔を上げ周りの景色を眺める余裕が出てきた、先鋒が下に入り本隊が尾根筋を通過し始めると中軍は輜重が遅れていると小憩を挟み再度進軍を開始、中軍先頭が尾根筋に達すると平坦な道となり安堵の声が上がった、遅れ西郷も平坦な道にやれやれと疲れを吐露し顔をあげた、その時であった先をゆく本隊の中間辺りが眩い光に包まれた晴れ渡る空に雷光、青天の霹靂とはこの事で西郷の前後にいた者は姿勢を低くしていた、ところがであった雷光に包まれた場所から爆発音と共に土砂が舞い上がっているのだ土砂どころではない兵達も空へ舞い上がり尾根から谷へ落ちていった、そして雷光は二発、三発と続き西郷の方へ近付いて来るのだ恐怖に慄き尾根筋から滑落してゆく者が続出すると西郷の側近も尾根筋からさも山道が続いてるが如く宙へ脚を踏み出すのだ西郷はその者の襟首を掴み尾根筋へ引き戻した。
「何をしちょっ」




