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タイトル未定2026/09/13 23:15

「動けぬ者は置いて行かれて結構です、手当を施し平癒した者からお国へ戻ってもらいます」


「真か、して我々の処遇は如何に致す我は元より覚悟の上だが⋯」


 孝江は乾の言葉を遮り言った、横目で宗盛を確認しつつ。


「乾様は五体満足で御座いましょう、馬でもなんでも乗ってお帰り下さい、配下の方々も同じです、お急ぎ下さい『打首じゃぁ』と騒ぎ出す者が今にも来ぬとも限りません故」


 宗盛は笑っていた、孝江はそれを見て安堵の息を漏らした。


 

 乾は馬の背に跨ると従者を引連れ大手門を抜けて行き場外に待ち構えていた兵達が通り過ぎる乾の後を追従していった。


「さぁ泰夫さん宗盛様、本陣に戻りましょうか、それともここで大久保様の到着を待ちますか」


 すると砂塵を巻き上げ大手門へ戻ってくる馬が一頭、馬上には乾、孝江の鼻先で手綱を引くと転回し乾が言った。


「重々承知とは思うが我らが退いたとて儂の上申程度で戦は終わらん、それは肝に銘じておれ孝江」


「わかっております、ただ乾様はここで起こった事を上申されれば宜しいのです我等も江戸に戻りますが又、この地へと軍をお進めになる様であればここ甲府の地は地獄とかすでしょう」


 それを聞き乾は一瞬何かを告げようと口を開きかけたがただ頷くと頭を垂れた、孝江、宗盛、そして斎藤はそれに気付いていた何を言おうとしたか皆目検討はつかなかったが乾が再度我々と相まみえる事はないだろうと孝江は思っていた、乾は手綱を引くと馬の横腹を蹴り大手門を駆け抜けていった、孝江はその背に視線を送っていると背後から軍神が斎藤の口を借り言ってきた。


「おい女子、泰夫を借りていいか、乾の最後どうも気になる」


「構いませんが我々も頃合いをみて江戸に戻ります故、それまでにどうかお戻りを」


 斎藤は黙って頷いた、泰夫は自分抜きで話を進められ双方の顔を見返していたが孝江に妙案でもあるのであろうと反論もせず一度本陣へ戻り装備の補充を孝江に頼んだ、孝江は斎藤に戻ったついでにこの状況を大久保へ伝えてくれと言伝を頼んだ。


「気を付けて下さいね、この若さで後家は嫌ですよ泰夫さん」


 泰夫はそっと優しく孝江を抱いた、今にも接吻する勢いに三郎太はおどおどしていたが庄之助は今にも泰夫に銃口を向けそうな憤怒の表情、泰夫は孝江から離れると男の顔になり行ってくると告げ斎藤と大手門を抜けて行った。


「して孝江、我々はこれからどうする」


「そうですね、先づは人手です蔵の米を城下のもの達に分け与え色々助力して貰いましょう、それと医者を集めて助かりそうなもの達から手当をして貰い、後は大久保様の指示で」



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