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タイトル未定2026/06/30 18:35

 若干不貞腐れた庄之助、眠たそうに目を擦る三郎太、吾平は用済と帰ろうとするが孝江は三人に伝える事があると呼び止められると今度は吾平の舌打ちが聞こえてきた、しかし孝江は気にする事もなく三人を祠の前に座らせ大きく息を吸い込むと語り出した。


「貴方達、泰夫さんと一緒に幕府軍でしょ?」


「ああ⋯」


 庄之助がそっぽを向き愛想なく答えた、孝江は続ける。


「戦争には行きたいの?」


「⋯そんな訳ないだろ、けど⋯けど親父(おやじ)殿がなぁ」


 庄之助が正直な気持ちを吐露すると三者三様であったが残る二人も概ね庄之助と同じ反応、孝江は頷きながらも今更従軍を断る事は無理であろうと前置きした上で続きを話す、従軍した百姓にも鉄砲は与えられるだろう今や刀から鉄砲の時代、百姓でも戦力にはなるが最前線に立たされ農兵風情はお武家さんの弾除けになるのが落ちであろうと続いて恐怖心を煽った、お前達の命は風前の灯であると、では無事村に帰るにはとどうすれば良いのか孝江は三人へ問いかけた。


「わからんないよそんな事」


「運任せだな俺達は?」


「聞いたところ腕や脚に怪我を負うか病に伏せれば兵から外れると聞いたぞ」


 庄之助が噂の範疇を出ない知識を語ると孝江は間髪入れずにそれを否定する。


「確かに、しかし庄之助それでは名主の息子は卑しい従軍逃れ等と陰口叩かれますよ、名主様がそれを許されますかね?」


 庄之助の沈黙を待って孝江はここで漸く(ようやく)自分の思い描く構想を語たりだしたが三人には終始内容は入らず呆気に取られ一拍置いて嘲り笑った。


「はっはは、たかちゃんそれじゃ俺達が最初に死んじゃうよ」


「そうだな、それでこうなって五人で帰ってくるか、はっははは」


 吾平が手をだらりと垂らし幽霊の真似をすると皆で笑っていたが孝江はこの反応を予想していたのか顔は真剣そのもの崩さない、それをみた皆の嘲笑は次第に萎れてゆき沈黙が辺りを包むとそれを確認し至る所以を孝江は語った、三人の表情は泰夫へ語った刻と同じくまるで異人の言葉を聞いてる様で何一つ理解できずただ黙って孝江が話終わるのを待つしか術はなかった。


「まぁ言うよりも見るが易しですね」


 孝江は石段へ座る三人を洞穴へと誘った、祠の前で軽く一礼をくべ慣れた感じで裏に回ると三人もそれに習い頭を下げて孝江について行った、すると孝江は洞穴を塞ぐ板を外しているではないか三人は驚き庄之助は慌ててそれを止めに入るが孝江は構わず板を剥がし洞穴へ入って行った、入り口では三人が顔を見合わせ臆していると孝江が顔を出し急かすように三人を手招きした、庄之助と三郎太は顔を見合わせ如何したものかと無言で思案していると吾平は後退りして手と首を振る、それを見た二人は頷くと嫌がる吾平を捕まえ無理やり洞穴へ押し込み後に続いた。


 親からは神隠しに合うと脅され近付く事すら避けていたが入ってみるとなんて事のないただに洞穴、神隠しに遭いそうな禍々しさは微塵も感じられない、三人はこんな形で自分達の年輪を噛み締める事となった、しかし洞穴自体に禍々しさは感じられなかったが孝江の足元にうず高く積み上げられた品々は初めて目にする物であったが得も言われぬ禍々しさを纏っており三人の身体は無自覚に近づく事を避けていた。


「これがあなた方の魔除よ、手にとってみて」


 孝江は笑顔で一挺取り上げるとそれを庄之助に渡した、想像以上の目方に一瞬腕が下がるがその目方はどこか孝江の言う事を納得させる説得力があった、庄之助は自分の腕に収まる鉄砲を眺めると妖しく黒く無骨なそれに徐々に引き込まれてゆく、それを確認した孝江はすかさず構え方を庄之助に教えた、孝江があれやこれや言ってはいるが庄之助の心は鉄砲に奪われたままで、それに気付いた孝江は庄之助のこめかみ辺りを軽く小突くと我に返った庄之助は改めて説明を受け面白い事を言い出すのだ。


「たかちゃん、これは何だ?」


「⋯プッ、えっ何かわからず持ってたの?」


 形から何となく汲んでくれるかと思っていたが自分はこれらと長く過ごし麻痺しているのだと反省してこれらが何であるかを三人へ改めて説明した、気の小さい吾平は一歩退き反対に三郎太は一歩前に出た、庄之助と言えば銃を抱えたまま固まっていた、孝江は庄之助から銃を取り上げると庄之助は吾平に習い後ずさった。


「やめてくれ⋯恐ろしい」


 庄之助は少し声を荒げて孝江を責めたが孝江は諭す、従軍すれば否応なしに鉄砲を持たされ敵を倒す事になり、それは当然倒される事にもなる、しかしこれらは後者の確率をかなり落としてくれるのだと解いたが益々訳の分からない話に庄之助と吾平は昔の事を思い出していた。


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