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ガチ恋っ!!ってことで  作者:


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61. カミラ⑦ 罠

 シルビアとエリザベスはフェリシアと共に行動した。

 それでも、ある時は上から植木鉢が落ちてきたり、大量の水が降ってきたりした。また机の中に虫の死骸が入れられたこともあった。中傷する手紙は相変わらずフェリシアの元に届いていた。ただ嫌がらせは続くものの、犯人を特定することはできなかった。いつも誰も植木鉢を落とした者も、水をぶちまけた者も見ていなかった。


 そんな中、いつものように食堂に集まったフェリシア達は重苦しい空気の中にいた。

「なぁ、このままじゃあラチが明かなくないか?それに誰かがケガするんじゃないか?」

 エリックはテーブルに肘をつき組んだ両手に顎を乗せた。

「このままだと嫌がらせはエスカレートするんじゃないか?今はまだフェリシアは無事だけど、一歩間違えれば、というのもあったよな。これ以上エスカレートする前に犯人を捕まえた方がいいんじゃないか?」

「そうですねぇ。一緒にいるシルビィやエリザベス様にも危害が加えられないとも限りませんしね。ちょっと罠でもはりますか?」

 オスカーが眼鏡を押さえた後、フェリシアを見た。

「敢えてフェリシアが一人になる状況を作るんです。直接フェリシアに接触してきたのは、階段の時だけですよね。やっていることは大胆なのに、誰も犯人を見れていないんです。意外と慎重な犯人なので、犯行がしやすいように誘導してみませんか。」

「私が囮になるってこと?」

 フェリシアは自分を指さした。

 オスカーはこくりと頷いた。

「前に階段で叩かれたって言っていたでしょう。押されたんじゃなくて叩かれたと感じるほどだったんですよね。それはもうちょっとした殺意です。そんな犯人ならまた同じことをしてきてもおかしくないでしょう。だからあの時と同じ状況をもう一度作って、犯人にもう一度犯行に及んでもらいましょう。」

「現行犯逮捕だね。」

「ええ。フェリシアに犯人が触れる前に取り押さえましょう。」

「それはダメだよね。シアが危険だよ。」

 ヴィルノアはフェリシアを後ろから抱き締めた。

「シアが危険なのはダメ。」

 フェリシアはヴィルノアの腕を抱き締めるように両手で掴んだ。

「落とされる前に捕まえるんだから大丈夫だよ。私は前みたいに落ちないよ。それよりも私以外に被害が及ぶことの方が心配だよ。嫌がらせに飽きてくれればって思っていたけど、そんな気配はないよね。早期解決の為なら囮になってもいいよ。」

「分かるけどダメ。」

「この前植木鉢が落ちてきた時、ちょっとタイミングがずれてたら一緒に歩いていたシルビアに当たっていたかもしれなかったんだ。危ないの私だけじゃないんだよ。」

「あぁ、あれは驚いたな。」

「えぇ、シルビアの目の前で植木鉢は割れていましたわ。」

 シルビアとエリザベスは顔を見合わせ頷いた。

「シルビィの安全を確保しましょう。ついでにフェリシア達も。」

 オスカーは眼鏡を押さえ、 ぐっと身を乗り出した。

「やっぱり早く解決しよう。ヴィルもそう思わないか?」

 エリックはフェリシアに引っ付いてるヴィルノアに言った。

「私もこのままじゃ嫌だよ。囮でも何でもするよ。」

 フェリシアはトントンとヴィルノアの腕を叩いた。

「ね、ノアやってみよう。」

「・・・分かった。嫌だけど、分かりたくないけど、分かった。」

 ヴィルノアはフェリシアの肩に頭を乗せた。

 フェリシアはポンポンとヴィルノアの頭を優しく叩いた。

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」

「絶対守るから。シアには指一本触れさせないから。」

 ヴィルノアはフェリシアに回した腕に力を込めた。



「そこまでだ!」

 エリックとオスカーは今まさにフェリシアの背を押そうとしていた女生徒の腕を両サイドから掴んだ。

「!!離してっ!何するのよ!!」

 女生徒は暴れ出したが、二人の腕を解くことができないと分かると、項垂れその場にしゃがみこんだ。

「・・・何でフェリシア様ばかり・・・。」

 ぶつぶつと呟いている犯人は、カミラだった。


 女生徒、カミラが捕まえられる少し前。フェリシアは一人で二階の廊下を歩いていた。そして階段に差し掛かろうとした時、どこからか現れたカミラがものすごい勢いで近づいてフェリシアを押し飛ばそうと両手を伸ばした。そこを近くの教室に隠れていたエリックとオスカーが飛び出て、カミラを押さえたのだった。フェリシアは振り向こうとしてふらつき、あっと思った時にはヴィルノアの腕の中にいた。

「ふぅ、危ないよ!!階段の上でふらつかないで!」

 ヴィルノアはぎゅっとフェリシアを抱き寄せた。

「あ、ありがとう、ノア。」

 フェリシアは懸命に笑顔を作ろうとしたが、ぎこちないものしか作れなかった。そしてフェリシアの体は小さく震えていた。

「もう大丈夫だよ。」

 ヴィルノアは優しくフェリシアの背中を叩いた。

 こわばっていたフェリシアの体からふっと力が抜け、フェリシアはヴィルノアに体重を預けた。そしてフェリシアはヴィルノアのシャツをぎゅっと掴んで、顔を摺り寄せた。

「うん、ありがとう。」

「守るって言ったでしょう。」

 ヴィルノアはフェリシアを優しく抱きしめた。



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