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ガチ恋っ!!ってことで  作者:


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55/61

55. カミラ① うわさ

 王宮での婚約についての話し合いの後、その公表については約一か月後に行われると決まった。それはエリックとエリザベスの婚約については、両国の公式文書にしてからが望ましかったからだった。公表までの間当事者とその家族、外交官といった関係部署の者達、学園で当事者たちが懇意にしている者達以外には知らせないことも決められた。

 だが当事者たちは既に気持ちは新しい関係へと動いていた。そのため今まで食堂からの教室へと向かう時、エリックの隣を歩くことが多かったフェリシアは少し後ろをヴィルノアやシルビアと歩き、エリックの隣にはエリザベスが歩くようになった。また、いつの間にか無くなったエリックとフェリシアの好きの言い合いや、事あるごとにフェリシアを抱き締めているヴィルノア、それを見ても何も言わないエリックなどの変化は周囲の何も知らない学生たちの気付くことになった。

 フェリシア達は誤解も何もかも公表されれば分かることと知らん顔を決め込んでいた。


 そんな日々が二週間くらい経った頃、異変が次々とフェリシアの周りで起こるようになった。

「このところ変なんだよね。」

 フェリシアはいつもの昼休みの食堂でいつものメンバーに切り出した。

「すごく知らない男の子達に声を掛けられるの。『俺と遊びませんか?』とか『遊びの相手に僕はどうです?後腐れないですよ。』とか『夜、俺とどうですか?』みたいなこと言ってくるんだよね。しかも所かまわずに声を掛けられるんだよ。」

「何、それ!?僕聞いてないんだけど。」

 ヴィルノアは焦った様子でフェリシアの肩を掴んだ。

「うん、今言った。で、どうも変な噂が原因らしいんだ。私がエリザベスに心変わりしたエリックに愛想をつかして、男遊びをしてる、とか、男あさりをしてるとか・・・。」

「男あさりをしてるのか?」

 からかうようにエリックがにやにやしながら言った。

「シアがそんなことするわけないよ!」

 ヴィルノアはフェリシアを抱き締めた。

「シアには僕がいるっ。ねっ、シア。」

 フェリシアはこくんと頷いた。

「フェリシアが男遊びできるほど器用な奴ではないと、フェリシアを知るものなら分かると思うが、本当に所かまわず、私が隣にいても言い寄る男は後を絶たないな。」

 シルビアはふぅっと小さく息を吐き出した。

「それに、抗議に来る女も多い。」

「抗議?」

 エリックは首を傾げた。

「ああ。『ヴィルノア殿下をたぶらかさないで!』的な奴だ。」

「そうなんだよね。私がノアを女の武器を使って篭絡している、とか、ノアの心をもてあそんで楽しんでいる、とか、うわさが流れているらしいの。特にノアの学年の子達に、ね。」

 フェリシアがシルビアに目線を送るとシルビアはこくんと頷いた。


「それにね、こんなのまで来てるの。」

 フェリシアはテーブルの上に何通かの手紙とカードを広げた。

  ―男を手玉に取るなんて女の敵!そんな女は王族の婚約者にふさわしくない。今すぐ学園から去れ!

「どれも似たようなことが書かれているんだよ。」

「僕、それ知らない。」

「うん、今初めて出した。」

「なんでもっと早く言ってくれないの?明らかな嫌がらせだよね?」

 ヴィルノアが低い声で黒い空気をまとわせ言った。

「さっさと、消していいよね?」

 フェリシアは自身に回された腕をポンポンと叩き言った。

「消すのはダメだよね。落ち着いて、ノア。私の為に怒ってくれるのは嬉しいけど、消したって根本的な解決にならないよ。」

「・・・分かった。消さない。」

「それにしても急だな。それにフェリシアに対してだけ悪い噂になっているのも妙だよな。この場合だったら俺やエリザベスの悪いうわさが出回ってもおかしくないだろう?」

 エリックは口元に軽く握った手を当て言った。

「そうだな。浮気王子とか女好き王子とかだな。」

 シルビアがうんうんと頷きながら言うと、エリックは眉を顰めた。

「シルビア、酷くないか?まぁ、そんなとこなうわさが出てもおかしくないよな。」

「そう、私に関するうわさだけで、ただ手紙が来たり、妙なこと言われるだけなら放っておこうと思っての思って言ってなかったんだけど、ね、シルビア。」

シルビアはフェリシアの視線を受けこくんと頷いた。


「上から植木鉢が落ちてきた。」

「そうなんだ。当たらなかったからよかったけどね。」

「それも3回。」

「他にも机の中に入っていた手紙に刃物が仕込まれていたり、水が降ってきたり・・・それも一度っきりではなく、何回かあってね。さすがにこのままじゃあいけないかなって。」

 フェリシアはぽんぽんとヴィルノアの腕を再度叩いた。

「落ち着いてね、ノア。私は大丈夫だから、ね。」

 話を聞きながらヴィルノアはフェリシアに回した腕に力が籠っていっていた。それと同時に負のオーラを漂わせていた。

「シア!大丈夫じゃないよね?もっと早くこういったことは話して。僕じゃ頼りなかった?」

辛そうなヴィルノアの顔と声にフェリシアははっとした。

「ごめん。心配かけたくなかったんだ。」

「シアのことならいくらでも心配するし、それを話されて迷惑だなんて思わないよ!話してくれない方が嫌だ。信用されていないみたいで、頼りなく思われているようで・・・僕はそんなに頼りないかな?」

 ヴィルノアのしゅんとした声に驚き、フェリシアはヴィルノアの頭を優しく撫でた。

「ごめんね。不安にさせたね。ノアを頼りないって思ったことは一度もないよ。いつも私以上に私のことで怒ってくれるし心配もしてくれるでしょう。だから今回の事話したら、すごく心配されそうだなって思って、余計な心配かけたくないなって思ったんだ。」

「これからは些細なことでも話してくれる?」

「うん、話すよ。」

「約束だよ。」

「うん、約束ね。」

 フェリシアはヴィルノアの腕の中でヴィルノアの胸に顔を摺り寄せた。


「あ~まとまったな。話を戻すぞ。どうもフェリシアを対象とした嫌がらせが起きている。それが悪意のあるうわさだけでなく、身に危険を感じる物理的な攻撃って言っていいな、がある、と。で、原因に心当たりは?」

 エリックが話を進めた。

「ん~、ないんだよね。だってほとんどがこのメンバーとの付き合いしかなくて、クラスの子達とも仲は悪くないし、他に付き合いないしね。」

「そうだな。ただ物理的な嫌がらせは一歩間違えればケガもするし、近くにいた者まで巻き込まれる可能性もあるよな。早めに犯人を捕まえたいな。」

「そこでね、今日はこんなのも来てたんだ。」

 フェリシアはポケットから一枚のカードを取り出した。

「お呼び出しされちゃった。今回の件につながりそうだから、行ってみようと思うの。」

 そのカードには話したいことがあるから放課後裏庭に来るようにと書かれてあり、最後にEとだけ書かれてあった。

「一人でか?危なくないか?」

「僕が行くよ。」

「ノアはダメかな。これ、女の子の字でしょう。もしかしたらノアのファンの子かもしれないでしょう。そうだったら何も話してくれないと思うんだ。」

「俺もヴィルはいかない方がいいと思う。シルビア一緒に行ってやってくれないか?」

 シルビアはこくんと頷いた。

「僕が行ってシアを守りたいけど、シルビアに任せる。でも話が終わるまで近くで待ってる。」

 ヴィルノアはぎゅっとフェリシアを抱き締める腕に力を込めた。

「うん、いい子でお留守番していて。」

「うん。」

 フェリシアはヴィルノアの頭をそっと撫でた。

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