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ガチ恋っ!!ってことで  作者:


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32. 夏休み⑩ にっこりクッキー

「ねぇ、ノア居る?今時間ある?」

 フェリシアはヴィルノアの部屋を訪ねて扉をノックした。

「待って。今開ける。」

 ヴィルノアの少し焦った声が中から聞こえてきた。ガチャリという音がした後、扉を開けたヴィルノアはフェリシアを見てにこっと微笑んだ。

「どうしたの?」

「今からクッキーを作ろうと思っているの。暇なら手伝ってほしいんだけど。ダメかな?」

「分かった。手伝うよ。」

 ヴィルノアは嬉しそうに笑った。


「焼けたぁ!完璧!」

 フェリシアはオーブンから取り出したクッキーを一つ摘まみ上げ、満足そうに笑った。今回フェリシアが作ったものは型抜きクッキーで、全て直径5㎝くらいの円形だ。


「さぁ、お絵描きするわよ。」

 フェリシアはチョコレートの入った小さい円錐型の袋をヴィルノアに渡した。

「先端を切ったこの袋を少しずつ力を入れて握ってね。こうやって、お顔描いてね。今切るから。」

 フェリシアはヴィルノアの手の中の袋の先端を小さく切った。

「半円、その隣にもう一つ半円、半円の間に直線、その下に半月型っと。ねっ、にっこりさん。」

 出来上がったクッキーをフェリシアは親指と人差し指で挟んでヴィルノアに見せた。

「簡単でかわいいでしょう?」

「うん、かわいいね。」

 ヴィルノアは目を細めて微笑んだ。

「さあ、やってみて。全部にお顔描こう!」

 フェリシアは顔を描きながらニコニコとしていた。ヴィルノアもその様子を眺めた。

「ノア、手が止まっているよ。はい、頑張って。」

 腰に手を当て仁王立ちで起こるフェリシアに、ヴィルノアはくすっと笑った。

「ごめん。シア見てた。あんまりにも楽しそうだから、いいなって思って。はい、頑張るね。」

 ヴィルノアも少しずつクッキーに顔を描きこんでいった。


「ねぇ、これシアに似ていない?」

 ヴィルノアは口を開けてにっこり笑った顔のクッキーを指さした。

「そう?あっ、そんなこと言ったら、これなんかノアに似ていない?」

 フェリシアは目が黒点で緩い弓状の口が描かれたクッキーを指した。

「そうかな?にっこり笑顔っていっても色々だね。」

「うん、いろいろあって楽しいよね。しかもどれも笑顔なんだよ。幸せいっぱいだね。」

 フェリシアはにっこりと笑った。

「そうだね。本当に幸せそうだ。」

 ヴィルノアは眩しいものでも見たかのように目を細めた。

「うん、そうだよね。見ただけで私も笑顔になるもの。」

 二人は顔を見合わせにっこり笑った。


「チョコレート余っちゃった。よしほっぺにハートも描いちゃえ!あっ、もっとかわいくなった。ねぇ、見て!見て!」

 フェリシアはにこっり笑顔に頬にハートが描かれたクッキーを指で挟みヴィルノアに見せた。

「本当だ。かわいい。」

「もっと描いちゃおう。ノアも描いて。」

「うん、描くよ。」

 二人はチョコレートがある限り描き続けた。


「できたぁ、お茶にしよう。あっ、その前に、はいっ、手伝ってくれたご褒美。あーん。」

フェリシアは出来上がったクッキーを一つ摘まみ上げヴィルノアに差し出した。フェリシアが摘まみ上げたクッキーが先程フェリシアに似ているといったクッキーであることにヴィルノアは気付いた。

「・・・なんかこれって・・・。」

 ヴィルノアは口元を押さえた。

「どうしたの?食べないの?はいっ、あーん。」

 フェリシアは首を傾げつつもクッキーを差し出した。ヴィルノアが口を開けると、フェリシアはひょいっとクッキーを放り込んだ。

「サクサクで美味しいね。ほら、シアもあーん。」

「わぁ、ありがとう。」

 フェリシアもぱくんとクッキーを食べ、自身の頬を両手で包んだ。

「美味しい。上手にできたね。手伝ってくれてありがとう。」

 フェリシアは嬉しそうに微笑んだ。

「どういたしまして。すっごく美味しそうに食べるね。そんなシアも大好き。」

「うん、知ってる。機嫌も直ったね。良かった。」

 ヴィルノアは少しだけ頬を赤らめにっこり微笑んだ。

「ごめん、上手く感情をコントロールできなかったよね。」

「仕方ないよ。ごめんね、ミーナを止められなくて。ミーナも少しは大人になっているかと思っていたんだけど違ったみたい。ノアへの恋心を余計にこじらせてしまったみたい。恋することは悪いことではないし、応援してあげたいけど、ノアが不機嫌になる程ぐいぐい行くの見ちゃうと何だかね、注意というか説教というかそういったことしたくなっちゃったよ。ノアが好き過ぎたからって言われても、ね。」

「シアが気にすることないよ。ミーナがしたことだ。」

 ヴィルノアはフェリシアの頭にポンっと手を乗せた。

「うん、そう言ってもらえると・・・ありがとう。」

「こちらこそありがとう。気にしてくれてたんだね。」

 フェリシアは首を横に振った。

「当たり前だよ。でもエリックの言った通りだったなぁ。さすがお兄ちゃん。」

「何言ってたの?」

 ヴィルノアが首を傾けた。

「あ~んで機嫌が直るよって。」

 フェリシアはにっこり笑った。ヴィルノアはキョトンとした顔をした後、苦笑いを浮かべた。

「兄上にもお礼を言わなければいけないね。」

「うん、そうしてあげて。」

 フェリシアは嬉しそうに笑った。




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