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ガチ恋っ!!ってことで  作者:


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27/65

27. 夏休み⑤ 発表会前半

 夕食後、応接室に全員が集まり、その日に描いた絵を発表することになった。


 一番に絵を披露したのはエリックだった。エリックは湖と周囲の木々や山々を精巧に描いた風景画を見せた。普段のおおらかな性格からは予想できない程、しっかりと細かいところまで描かれ、まるで景色を一部切り取ってきたかのようだった。

「エリックって筋肉馬鹿のように見せかけといて、絵が上手なのよね。ピアノも上手いし。」

 フェリシアはぷくっと頬を膨らました。

「何でもできるってずるいわ。」

「それ褒めてるのか?酷い言い草だな。」

 エリックは苦笑いを浮かべた。

「褒めてるに決まっているでしょう。」

「褒められてる気がしないな。」

「アーウマイウマイ。ステキー。」

「お前なぁ、素直過ぎるにも程があるだろう。」

 エリックは眉間にしわを寄せた。

「・・・だって、羨ましいんだもん。」

 フェリシアの言葉はどんどん小さくなっていった。


「まぁフェリシアのも見せてみろよ。」

 ひょいっとフェリシアからスケッチブックをエリックは取り上げ、そこに描かれた絵を見て、言葉を失った。フェリシアはすぐさまスケッチブックを奪い返し、胸に抱えた。

「~~っだから、言ったでしょう。」

 昼間フェリシアの隣で描いていたヴィルノアはくくっと笑った。

「シアの絵は昔から個性的だよね。」

「見てみたいですわ!」

 エリザベスは目をキラキラと輝かせた。

 シルビアはふぅと小さく息を吐きフェリシアの肩をポンっと叩いた。

「諦めろ。」

 オスカーもシルビアの横で頷いた。

 フェリシアはしばらく目をつむり、深呼吸を一つして目を開けた。

「花冠、です・・・。」

 スケッチブックを広げ、顔を隠すように掲げた。

 そこには様々な色合いの小さな丸いものがドーナツ状の円を形成していた。

 全員無言で絵を見つめた。

「ノアの作ってくれた花冠がかわいかったの・・・。」

 消え入りそうな声でフェリシアは説明した。

「えぇ、確かにあそこの野の花は美しかったですわね。それで作った花冠はとてもきれいだったでしょうね。」

 エリザベスは同意するように言葉を発した。

「うん、きれいだったの。」

「分かりますわ。わたくしも花を描きましたもの。」

 エリザベスはうんうんと首を縦に振った。

「そうだなきれいだったな。」

 シルビアも頷いた。

「だよね。」

 少し気持ちが浮上したフェリシアは顔を見せ微笑んだ。

「花冠って言われればそう見えなくもないよな。」

 エリックはぼそっと呟いた。耳聡くエリックのつぶやきを拾ったフェリシアはぱっと顔を輝かせた。

「どう見ても花冠だよね?」

「あぁ、そう、だな。丸い、もん、な。」

 フェリシアの勢いに押され、エリックは一歩後ろに下がった。

「伝わって良かったぁ。いっぱい描いたかいがあったわ。」

「そんなにいっぱい描いたのか?」

「うん。これ一番よくできたの。」

 フェリシアは満面の笑みをエリックに向けた。エリックは顎に手を当て苦笑いを浮かべた。

「お前のその前向きなとこ好きだな。」

「ふふっ、ありがとう。私も花冠に見えるって言ってくれた優しいエリックが好きよ。」

 二人は顔を見合わせ微笑み合った。


「エリザベスもお花描いたの?」

「えぇ。」

 エリザベスは自身のスケッチブックを開いて見せた。そこには黄色いラッパ上の花が細いラインで精密に描かれていた。まるで植物図鑑に描かれているイラストのようだった。

「うわぁ、素敵ね。」

 フェリシアは自身の口の前で手を合わせた。

「すごい精密ですね。」

 バルトが感心しきりとスケッチブックに顔を近づけた。

「ありがとうございます。」

 エリザベスは恥ずかしそうにスケッチブックで顔を隠した。エリックはその様子を見ながらニヤッと意地悪な笑いを浮かべ言った。

「たくさん描いたかいがあったな。」

「!!言わないでくださいませ。」

 エリザベスは顔を真っ赤にした。

「ははっ、真っ赤だ。かわいいな。」

 エリックは悪戯が成功したかの様ににかっと笑った。

「!?か、かわいいって・・・。」

 更に顔を赤くしてしまったエリザベスはスケッチブックの後ろに顔を押し当てるのだった。


「俺も庭で描いてたんですよ。」

 バルトが自身のスケッチブックを広げた。スケッチブックには小さな黒いものが緩くカーブを描いて鎖のように紙の端から端まで繋がっていた。

「点?」

 エリックは訝し気に絵を見つめた。バルトは首を横に振り、もう一枚スケッチブックを捲った。

「拡大図です。」

「あぁ、アリの行列か。」

「はい、そうです。アリの行列がずっと続いていて、久々にじっくり見ました。」

「絵画というより観察記録だな。」

「そうとも言います。」

「でも見ちゃうよね、アリの行列って。そうそうこんな感じだよね。上手だね。」

 フェリシアは絵をじっくり見て言った。

「フェリシア様の足元にも及びませんよ。」

 バルトはにっこり笑う。

「俺には絵心がありません。」

「そうだな、フェリシアのは絵心たっぷりだったな。」

 エリックは楽しそうに笑った。

「ふふっ、きれいだったでしょう。」

 フェリシアも楽しそうに笑った。


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