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ガチ恋っ!!ってことで  作者:


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19/61

19. 学園祭⑧ 後夜祭

「今年の一位は観客を笑いの渦に陥れた5年B組です!」


 わぁぁっと歓声が起き、大きな拍手で会場はいっぱいになっていた。


 学園祭の次の日、片づけを終え、夕方から生徒会主催の後夜祭という名の夜会がホールで催うされていた。立食形式でダンスができるように楽団が音楽を奏でていた。会場にはドレスアップした生徒たちが思い思いに過ごしていた。


 ちょうど学園祭の人気投票の発表が生徒会からあり、フェリシア達のクラスは5位に入った。

「あぁ、残念。一位だと思ったのにな。」

 濃紺に金色の刺繍とレースが施されたドレスを着たフェリシアは肩を落とす。

 落ち着いた赤色のマーメイドラインのドレスを着たシルビアは苦笑いを浮かべた。

「あの企画では無理だろう。かなり偏っていたからな。利用できる人数も限られるしな。」

「そうですわね。フェリシアの猫姿は皆様喜んでいましたけれど。」

 藤色のシンプルなドレスを着たエリザベスは頬に手を当てて言う。

「一番猫耳が似合っていたのはエリザベスだよ。ペルシャ猫みたいできれいだったもの。」

「確かに。」

 フェリシアとシルビアは顔を見合わせ頷く。

「まぁ、ありがとうございます。」

 エリザベスは顔を赤らめた。

「…かわい過ぎ。」

 フェリシアは両手で自身の頬を押さえ、ほぅっと息を吐いた。


「お疲れさま!はいっ、これつけてね。パーティーが三倍楽しめるからね!」

 黄色のかわいらしいドレスをまとった委員長クララが猫耳カチューシャをフェリシア達に渡した。クララも猫耳をつけている。

「クラスのみんなもつけてるの。上手くいったら…うふふふ、期待してね!」

 クララはニヤッと笑うと他のクラスメイトの元へ行ってしまった。

「はいっ。」

 フェリシアはシルビアに猫耳を付けた。

「シルビアもクールな美猫よねぇ」

「そうか?」

 シルビアは首を傾げた。


「ほらっ。フェリシアもつけるんだろう?」

 フェリシアの頭にもふさふさの耳が付いていた。

 声の方に振り向くと猫耳を付けたエリックがにかっと笑っていた。

「ありがとう。似合うかな?」

 フェリシアはくるりと回り、ドレスもふんわりと広がった。

「あぁ、いい感じだ。」

「ふふ、エリックも猫の王子様みたいで素敵よ。」

「そうか?王子様か。うん、一曲いかがですか猫姫。」

 キラキラの王子スマイルを浮かべたエリックは、胸に片方の手を当て、もう片方をフェリシアに差し出した。フェリシアはふんわりと微笑み、エリックの手に自身の手を乗せた。

「猫王子にお誘いいただけるなんて光栄ですわ。喜んで。」


 二人はホールの中央に立つと優雅にお辞儀をした。楽団は二人の実力を知ってか、難易度の高い曲を演奏し始めた。

「私この曲好き。」

「あぁ、俺もだ。」

 二人は難易度の高いステップを優雅に踏んでいく。最初は何組も踊っていたが、フェリシア達の美しいダンスを前に一組、二組と足を止め、二人を見る輪に加わっていった。曲の中盤にはフェリシアとエリックの二人だけが踊っていた。猫耳を付けた二人は何かを耳元で話しては微笑み合っていた。


「美しいですわ。」

「猫耳もいいですわ。」

「物語のようですわ。」

 ギャラリーからほぉっとため息が漏れ聞こえた。

 曲が終わり二人が礼をすると、大きな拍手が二人に送られた。


「エリックと踊るのは楽しいわ。好きよ。」

「あぁ、俺も楽しかった。息の合うやつとのダンスは楽しいな。俺も好きだ。」

 エリックはにかっと笑い、フェリシアをシルビア達の立つ壁際へとエスコートした。

「相変わらずダンスが上手いな。」

 シルビアは果実水の入ったグラスを二人に渡した。

「お二人共素敵でしたわ。」

 エリザベスは頬に手を当てうっとりとした。

「ありがとう。俺もフェリシアも体動かすことが好きだったから、よく一緒に練習したんだ。」

 エリックはくいっとグラスを空にした。

「美味いな。」


「シア!」

 ヴィルノアは小さく手を振り、フェリシア達に近づいてきた。

「耳かわいいね。入り口で買ったの?」

「えっと、売っているの?」

「うん、シア達のクラスの子が売ってたよ。」

「そうなんだ。だからつけてね、なんだ。さっき委員長がクラスの子に配っていったの。つけてねって。だからうちのクラスの子みんなつけてるよ。」

「あぁ、アイコンってことかな。中々やるねぇ委員長さん。」

「あぁ、クララ嬢は商魂たくましいからな。ほらっ。」

 シルビアは自身の猫耳を外し、ヴィルノアにつけた。

「中々似合うじゃないか。お揃いだな。」

 ヴィルノアは少し目を開いた後、小さく微笑んだ。

「いつもありがとう。シルビア。」

 シルビアはふっと口角を挙げた。


 ヴィルノアはフェリシアに体を向け、胸に手を当てた。

「猫の姫君、僕と一曲踊っていただけませんか?」

 フェリシアはふふふと軽く笑い自身の手をヴィルノアに差し出した。

「えぇ喜んで、猫の王子さま。」


「あぁ、エリザベス。俺達も一曲どうだ。」

 エリックはエリザベスに手を差し出した。

 エリザベスは優雅に微笑んで自身の手をエリックの手に乗せた。

「喜んで。」


 二人の王子が踊るというので、今度は最初からこの二組のみが踊ることとなった。

 スローテンポな曲が奏でられる。


 エリックとエリザベスはさすが王族といった気品溢れるダンスを披露した。

「さすがだな。」

「エリックのリードがお上手なだけですわ。」

「そんなことないさ。踊りやすい。」

「ふふっ、ありがとうございます。」

 取り止めのないことを話す二人は終始微笑みを称え、とても美しかった。


「ノアの猫耳姿かわいいね。」

「そんなに似合うかな?」

 ヴィルノアはくるっとフェリシアを回した。

「うん、後で頭なでなでしたいな。」

「うわぁ、本当に猫扱いなの?」

「ふふっ、すっごくかわいいんだもの。」

「シアの方がかわいいよ。猫なシアも好き。」

 ヴィルノアは幸せそうに微笑んだ。

「うん、知ってる。」

 フェリシアはくるっと回ってヴィルノアと向き合うと軽く握った手を頬の横にあげて悪戯っ子のような顔をしたかと思うと「にゃぁ。」と言った。

 ヴィルノアは目を見開きぐっと息をのんだ後、目を細めた。

「大好き。」

「うん、知ってるー。」


「見たか?」

「見た。姫かわいい猫だな。」

「あぁ、かわい過ぎだな。猫姫~。」

 フェリシアの猫の真似を見た男子生徒は手で口元を押さえほんのり顔を赤らめた。


「素敵。天使の微笑みですわ。」

「えぇ、美しいですわ。」

 ヴィルノアの微笑みを見た女子生徒は一瞬たりともその微笑みを見逃すまいと瞬きもせずに見つめた。


「はーい、猫耳協力ありがとう!おかげで猫耳完売しましたわ!」

 クララが満面に笑みを讃えてやってきた。

「皆様の頑張りで売上良かったわ。今度使い道を考えましょうね!」

 それだけ言うと他のクラスメイトの元へ行ってしまった。

 会場内を見渡すと猫耳を付けたものが多いことに気付いた。

「ははっ、抜け目ないな。」

 エリックがクララの去っていった方を見ながら言った。

「そうだね。」

 フェリシアも同じ方向を見る。

「まぁそうでしたのね。」

 エリザベスは頬に手を当て首を傾げた。

「かわいいからいいんじゃない?」

 ヴィルノアはフェリシアを見て言った。

「そうだな。」

 シルビアもフェリシアを見た。


「あっ、シルビア耳ないじゃない。はいっ、これっ。」

 フェリシアは自分の猫耳を外しシルビアにつけた。

「オスカーと踊るんでしょう?」

「踊るか?」

 シルビアはオスカーに尋ねた。

「そうだな。一曲踊るか。」

 オスカーはシルビアにっ手を差し出した。

「ああ。」

 シルビアは無表情ながらもほんのり頬を赤らめ、オスカーにエスコートされホールの中央に歩いて行った。

「相変わらずだよね。」

 フェリシアはふふふっと笑う。

「あぁ、いつも通りだな。」

 エリックもくくっと笑う。

「すっごく仲がいいんだよね、ああ見えてさ。」

 ヴィルノアも少し口角を上げて言う。

「まぁ、そうですの?あの二人がお話しされているのを見たことないように思いますわ。」

 エリザベスは頬に手を当て首を傾げた。

「あれっ、言ってなかったかな?あの二人幼い時からの婚約者同士だよ。」

 フェリシアがサラっと言うと、会場中がざわついた。

「き、気が付きませんでしたわ。」

「まぁそう見えないよな。けど休日はほぼ一緒に過ごしているし、学園の行き帰りも一緒だぞ。」

「オスカーが夢中なんだよね。」

「いや、シルビアも負けてないと思う。」

 ヴィルノアが顎に手を当て言う。

「つまり相思相愛ってことね。あの二人、お互い他の人とは踊らないものね。」

「ああ、見たら分かるな。」

 エリックは目で二人を追った。

 シルビアとオスカーは見つめ合い微笑んでいた。時折オスカーがシルビアの耳元に口を寄せ、何かを囁き、シルビアは顔を赤らめ、オスカーは微笑んだ。完全に二人の世界であった。

「まぁ…。」

 エリザベスはほうっと感嘆の声を発した。

「普段からは想像もつかない姿だよね。」

「シルビアは素敵な女性だからね。オスカーが夢中になるのは分かるよ。」

 ヴィルノアはシルビア達を見ながら目を細めた。

「ノアって昔からシルビアと仲良しだものね。オスカーが妬いちゃうよ。」

 フェリシアはからかうように言った。

「ははは、絶対それはないよ。」

 ヴィルノアは猫耳を取ってフェリシアにつけた。

「うん、かわいい。大好き。」

「うん、知ってる。」

 フェリシアは自身の猫耳を触って笑った。







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