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ガチ恋っ!!ってことで  作者:


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17/62

17. 学園祭⑥ カフェですか?

「シア!」

 ヴィルノアは休憩のために出し物が行われている教室から出てきたフェリシアとシルビアに声を掛けた。

「あっノア。お待たせ。」

 フェリシアは手を振って小走りでヴィルノアの元にやってきた。

 ヴィルノアはフェリシアをじっと見つめた。フェリシアは黒いフリフリのミニスカートに白い短いエプロンをつけ、膝までの縞々ソックス、黒いヒールの高い靴を履いている。胸元は胸の大きさを強調するようなデザインで首に小さな鈴のついたチョーカーをしている。髪は高い位置で結わかれ、ふさふさの猫耳がつけられている。お尻には長いしっぽが先端がくるりと巻かれて付いていた。事前に聞いてはいたし、フェリシアに似合っていてかわいいが…。

 ヴィルノアははぁと大きくため息をついた。

「どうしたの?」

「・・・いや、すごい人気だなって思って。」

 フェリシア達の出し物『猫ちゃんカフェ』の前には長蛇の列ができていた。

「本当だぁ。すごい列だね。」

「これのおかげだろうな。」

 追いついたシルビアが一枚の紙をヴィルノアに渡した。


 紙にはカフェの概要が書かれていた。


 猫ちゃん姿の給仕がサービスをいたします。

 猫ちゃんなので普通のカフェとは違うのでご注意ください。

 メニューは紅茶とクッキーのセットのみです。

 ご利用時間は40分で入れ替え制です。

 一回につき20名様がご利用できます。

 10時、12時、14時は女の子猫ちゃん、11時、13時、15時は男の子猫ちゃんが給仕します。

 入り口でくじを引き、当たりが出たら『あーん』の権利が与えられます。

             (誰からあーんされたいかは指名できます。)

 はずれを引いた方は『じゃんけん』イベントに参加できます。(プチギフトをプレゼント!)


 ヴィルノアはサッと読んで顔を上げ、シルビアを見た。その表情から察したシルビアはニヤッと笑った。

「じゃんけんイベントが気になるか?」

「・・・何やるの?」

「順を追って説明しようか。まず当たりを引くと中央にある東屋風に作った席に案内される。そこでサービスしてほしい猫を選ぶ。他の客が数名ずつ東屋の周りに設置されたテーブルに着くと、お茶とクッキーが提供される。最後に指名された猫が紅茶とクッキーを当たり客に持っていく。で、司会の合図でイベントが始まる。まぁ、今まで100%フェリシアが指名されていたが、フェリシアが当たり客の隣に座って『あーん』とクッキーを差し出す。でいつものやり取りが繰り広げられる。最後に当たり券にフェリシアが猫の絵を描いて淡いピンクの口紅を塗って、ちゅってキスマークを猫の絵の横に付けて『幸運が続きますように』って言って当たり客に渡すんだ。」

「口紅を一回ごとに塗らないときれいなキスマークがつかないんだよね~。」

フェリシアはエプロンのポケットから細い口紅を取り出した。

「一回一回塗り直すからちょっと大変。」

「一回一回って…。」

「気付いたか?じゃんけんイベントは指名した猫とじゃんけんして客が負けると猫の絵の横にキスマークを付けて『次は幸運を掴めますように』ってカードを渡してもらえるんだ。客が勝つと猫マークだけ書いて『運が向いてきましたね』ってカードを渡されるんだ。」

「へぇぇ、すごい奇抜な企画だね…。」

 ヴィルノアの顔が引きつっていた。

「うん、変わっているからなのかお客さん楽しそうだよ。みんな嬉しそうだから頑張るよ!」

フェリシアはぐっと握りこぶしを作り力を込めた。

「ハズレ券の指名一位はフェリシアとエリックだ。」

「エリザベスやシルビアも多かったよね。あとオスカーも結構人気。」

 エリザベスは王女に猫耳という意外性とじゃんけんに勝ってキスマークを付ける度に真っ赤になる初心な反応が受けているらしい。シルビアは実家が代々優秀な騎士を輩出する名門ということとシルビア自体中々の腕前ということもあり将来騎士職を希望するものに人気とのこと。オスカーはエリック程の華やかさはないものの整った顔立ちに頭脳明晰、たまに見せる笑顔が素敵、と隠れファンが多いとのこと。

「ははは、シルビアも大変だったんだね。」

「まぁな。フェリシア程じゃないし、一度も勝ってないから口紅も使ってないしな。」

「じゃんけん弱いんだね、意外!」

 フェリシアは驚いたように言った。

「コツさえ掴めば勝つことはないな。」

「・・・さすがシルビアだね。」

 ヴィルノアはニヤッと笑った。

「だろう。オスカーが嫌がるからな。」

「だよね。」

「フェリシアも弱いよな。」

「うん、まだ四人位しか勝っていないよ。」

 悔しそうにフェリシアは言った。

「それは指名したお客は残念だったね。」

 ヴィルノアは複雑な気持ちを抱えつつも思った以上に口紅の出番がなかったことにほっとしていた。

 シルビアはそんな様子のヴィルノアを見て意地の悪い笑みを浮かべた。

「そうでもないぞ。フェリシアは負けるとふゃって笑って『負けちゃいましたぁ。お強いんですね。』って上目遣いで言うんだ。それが殿方にはグッとくるらしく、勝って上目遣いの笑顔を独り占めするか、負けてキスマーク入りカードをもらうか迷いどころらしい。」

 シルビアは淡々と説明をした。


「・・・僕はどうしたらいいのかな?これってカフェ?」

 ヴィルノアは頭を抱えた。

「こんな企画ぶっ潰したいんだけど。」

「まぁ無理だな。委員長含めクラス全員ノリノリで運営しているし、何よりフェリシアが楽しんでるからな。」

「楽しんでる?」

「あぁ、さっきも言っていたろう?みんな楽しそうで喜んでくれて嬉しいって。」

「うん、言ってたね。シアらしいよね。」

 ヴィルノアは苦笑いを浮かべた。


「そうだな。あぁ少しだけヴィルの辛さを緩和してやるかな。フェリシア。」

 シルビアは学園祭のパンフレットを見て、何を食べるか考えているフェリシアに声を掛けた。フェリシアは顔を上げシルビアを見た。

「んっなに?」

「なぁフェリシアの衣装せっかくあれに似ているんだから、同じポーズしてみてくれないか?」

シルビアはカフェの看板を指さした。看板には猫メイドが頬の横で軽く握った手をクルリと曲げ、首を傾げている。片足を膝から曲げ、つま先を後ろに上げている。そして『にゃんっ』という吹き出しが付いていた。

「ええっ恥ずかしいよう。」

 フェリシアは看板のイラストを見て眉を寄せた。

「何もみんなの前でやれとは言わないよ。ここは私とヴィルとフェリシアの三人だけだろ。私達だけに見せてくれないか?絶対かわいい、なっ、ヴィル?」

「シアは何してもかわいいよ。」

「そうだよな。見せて。」

 いつになく強く推すシルビアにフェリシアは押されていた。

「分かった。やってみる。」

 看板を見ながらフェリシアは似たポーズをとった。

「にゃ、にゃぁ。」

 シルビアもヴィルノアも小柄なフェリシアからは見上げる形になり、上目遣いになり、恥ずかしさからか頬はうっすら赤らんでいた。

「もうっ恥ずかしい!」

 フェリシアは両手で顔を覆い、しゃがみこんだ。

「こ、これは危険だね、シルビア。閉じ込めておく籠が必要じゃない?」

「確かに危険物だな。だが籠はやめとけ。少しは気がまぎれたかい?」

「うん、かわいすぎ。ありがとう、シルビア。」

 シルビアはふっと笑った。


 しゃがんでもだえるフェリシアの頭をヴィルノアはポンポンと叩いた。

「シア、すっごいかわいい猫だった。」

「もうっ忘れてぇ~。」

 フェリシアはぶんぶんと首を振った。ヴィルノアはフェリシアの前に同じようにしゃがんでフェリシアの頭を撫でた。

「猫のシア、すごくかわいいよ。大好き。」

「ん~知ってる。」

「さぁ屋台に行こう。さっきとっても美味しそうなパンケーキのにおいがしていたんだ。」

「パンケーキ!食べる!」

 フェリシアは勢いよく顔を上げ立ち上がった。

「行こう!」

 フェリシアはヴィルノアとシルビアの腕を引いた。




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