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ガチ恋っ!!ってことで  作者: ゆ


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165/169

165. 姿絵コンテスト㉘ バルトの闘い

ここまでお読みいただきありがとうございます。

この話を含め、あと五話で完結予定です。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

 光の中、バルトはふぅっと小さく息を吐くとマリアの手を握りしめながら、マリアの前の跪いた。そして、マリアの手の甲に口付けを落とし、マリアをまっすぐ見て言った。

「マリアさん、いつもかわいいけど、今日は一段とかわいいよね。こんなんじゃ、マリアさんの魅力に気付く男が大勢現れるんじゃないかって、俺は心配なんになるんだ。他の男にマリアさんを盗られるんじゃないかって。」

 マリアは苦笑いを浮かべて言った。

「過大評価っていうものよ、バルト君。」

 バルトは首を横に振った。

「そんなことない。会う度にマリアさんのいい所を見つけて、俺はとても嬉しく思うと同時に、焦りもするんだ。マリアさんより年下だし。

 俺は本気でマリアさんが好きです。婚約を前提に付き合ってくれませんか?」

 バルトはそう言うとにぎっていたマリアの手を自身の額に当てた。

 マリアは空いていた手を自身の口元に持っていくと、瞳をウルウルとうるませた。

 そして一度目を閉じ、ふぅっと小さく息を吐くと、目を開け、緊張した声で言った。

「よろしくお願いします。」

 バルトはぱっと顔を上げ、立ち上がると、必死な様子で言った。

「ねぇ、それってOKってこと?」

「・・・はい。わたしもバルト君の隣にいたいです。・・・いいかな?」

 マリアははにかんだ笑顔で答えた。

「か、かわいい・・・。いいに決まっているよ!えっ、これって夢?マリアさんが俺の彼女になってくれるって言っているんだよね。本当?夢ならこのまま醒めないでいいよ。」

 バルトは混乱した様子で言った後、自身の頬を強く引っ張った。

「痛い・・・夢じゃない。夢じゃないよ、マリアさん!!」

 満面の笑みを讃えて言うバルトを、マリアは最初驚いたように見ていた。その後マリアは、ふふっとふんわり微笑んで、バルトの赤くなった頬を撫でた。

「赤くなっているわ。夢なんかにしないで。私もバルト君が好きよ。返事を待ってくれてありがとう。これから、よろしくね。」

 バルトはぽぉっとマリアを見つめていた。


 クララは静かにバルトに近づくと、トレーに乗せた蝶の形をしたヘアピンを差し出した。

 バルトははっと我に返り、クララを見てこくんと頷いた。そして、ヘアピンを受け取ると、入場用のブローチについた自身の瞳の色の石のついたしずく型のチャームを取り、蝶のヘアピンに取り付けた。蝶は今まさに飛んでいるかのような形で、チャームを取り付けるとキラキラとその蝶の軌跡を示すかのように見えた。

「マリアさん、ぜひ、この俺の瞳の色の石のついたヘアピンをマリアさんの髪につけさせてくれない?」

「ええ。」

 マリアははにかんだ笑顔で応えた。

「か、かわいいぃぃ・・・あっ、いやっ、えっと・・・ありがとう。つけるね。」

 バルトはマリアの右耳の上にヘアピンを付けると、少し離れてじっとマリアを見つめた後、嬉しそうに言った。

「思った以上に嬉しいものだね。俺の色を付けた、マリアさん。いいね。俺のマリアさんって感じがする。」

 頬を赤らめ言うバルトにつられるかのように、マリアの頬もほんのり赤く染まった。


 フェリシアはマリアの側に寄り、トレーに乗ったタイピンを差し出した。タイピンは蝶の形のもので、ヘアピンと対になるように作られていた。

「マリア、これタイピンなんだけど、バルトの想いを受け取れるなら、ぜひマリアのチャームを付けてマリアの想いを返してあげて。」

 マリアはこくんと頷くと、自身のチャームを取り外し、タイピンに取り付けた。

「バルト君、私からも受け取ってくれるかな?」

 バルトにタイピンを見せてマリアが言うと、バルトは満面の笑みで答えた。

「嬉しい。マリアさんがつけてくれる?」

「ええ、つけさせて。」

 マリアは震える手でタイピンを付けると、嬉しそうに微笑んだ。

「本当ね。私の色を着けてもらうのってとても嬉しいことなのね。」

 バルトはマリアの手を両手で包んだ。

「マリアさん、俺ずっと大事にする。俺の一生の宝物だよ。」

「ふふっ、大げさね。でも、私もこのヘアピンは宝物だわ。」

 バルトとマリアが二人の世界の住人になっている間に、会場には明かりが戻っていた。


 クララは壇上から再びアナウンスを始めた。

「皆様、温かく見守っていただきありがとうございます。場を提供しました私たちも上手くまとまるのかふたを開けて見ないと分からない、というドキドキの企画でした。いやぁ、上手くいって良かった。ここに誕生しました初々しい恋人たちに、改めて拍手を頂けますでしょうか。」

 わぁという歓声とともに、大きな拍手が起き、すっかり見世物になっていたバルト達は二人の世界から戻ってきて、顔を真っ赤に染め上げた。

「ありがとうございます。さて、皆様に見て頂いた通り、今回入場券代わりに使用しましたブローチには、それぞれの瞳の色の石が付いたチャームが付いているかと思います。このしずく型のチャームは取り外し、蝶の形のヘアピン、タイピンに取り付けることができます。これからこちらの二種を持ったスタッフが会場内を回りますので、必要な方を受け取ってください。こちらは先程のように、ガチの告白に使うもよし、お相手がいらっしゃる方は、お相手との仲を深めるのに使うのも良しです。また、残念ながら気になる異性が見つからなかった方は友人と交換するもよしです。お好きにお使いください。

はい、因みに私は冬花祭でお付き合いすることとなったベンジャミン様と交換します。ねっ、ベン。」

 クララがそう言って横を向くと、嬉しそうに微笑んだベンジャミンが忠犬のごとく立っていた。ベンジャミンはヘアピンをそっとクララの髪につけると、目を細めた。

「似合っているよ、クララ。かわいい。」

「あら、ありがとう。私はこれを。」

 クララはポケットから、タイピンを取り出しベンジャミンのネクタイにつけた。

「素敵よ、ベン。」

 ベンジャミンはクシャっと顔を緩め笑った。

 クララにはやっぱり、ベンジャミンの頭にピンと立った耳と、後ろにブルンブルンと振られたしっぽが見えていたのだった。




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