162. 姿絵コンテスト㉕ 結果発表
パーティは中盤に差し掛かり、いよいよ姿絵コンテストの結果が発表される時間となった。
「お待たせいたしました。姿絵コンテストの結果を発表したいと思います。今回30名ほどの方のご応募がありました。ご応募いただきました作品は、どれも素晴らしく、甲乙つけがたい物でした。その為、投票していただき、集計しましたそれぞれの点数も大きな点差はできませんでした。今日は事前に発表していました概要通り、上位五位の方を発表させていただきます。また、それらの作品については後日、受注販売をさせて頂きます。詳細はお帰りの際に出入り口にて、スタッフがパンフレットを配っておりますので、そちらをご覧ください。また、全作品を載せましたこちらの図録も併せて出入口にて販売いたします。ご興味のある方はそちらもどうぞ。
前置きが長くなりました。
自由部門第五位はこちらです。」
クララがそう言って片腕をばっと広げると、壇上のスタッフたちが一枚の大きな紙を広げた。応募された原画をコピーして引き延ばしたそれには、ヴィルノアにお膝抱っこされるフェリシアの頬に手を当てるヴィルノアが描かれていた。
「はい、こちら。顔出し不可の、ペンネーム夜空の星様の作品です。顔を出す代わりにコメントを頂いております。読み上げますね。
『お二人の仲睦まじい姿が大好きです。訳あって顔出し不可とさせていただきましたこと、申し訳なく思っております。投票してくださった方、ありがとうございます。とっても嬉しいです。これからも細々と絵を描き続けていきたいです。ありがとうございました。』
以上です。おめでとうございます!」
クララはこんな調子で次々と発表をしていった。
ヴィルノアのフェリシアを描いた作品は三位に入っていた。そして、かわいいシアが描いた、かわいいシアの絵が評価されて嬉しいです、とのコメントに、クララが、ブレない殿下は素敵です、との返しをしていた。何だか予定調和なやり取りをしていて、軽快なクララの相槌に会場から笑いが起きた。
「’ソニアもノアもすごいね。二人とも上手だものね。」
フェリシアはヴィルノアを見て言った。
「シアがかわいいかったからだね。」
ヴィルノアはにっこり微笑んだ。
「いやいや違うよね。確かにノアはいつも私をかわいく描いてくれるよ。でも、ノアの絵が上手いから、評価されているんだよ。」
「ううん、違わないよ。花冠を乗せて微笑むシアはとてもかわいいかった。それをそのまま描いたらかわいいシアの絵になるのは当然の結果だよね。」
フェリシアは頬を少し赤くして、はにかんだ笑顔で言った。
「ありがとう、ノア。」
「うん。この顔のシアもかわいい。大好き、シア。」
「うん、知ってる。」
ヴィルノアは優しくフェリシアの頬を撫でた。
「さていよいよ一位の発表です。一位の作品はこちらです。」
そう言って広げられた紙には、爽やかに屈託なく笑うヴィルノアが描かれていた。
「はい、こちらの作品は一年生のケーン・シリル様が描かれたものです。ケーン様は冬花祭での姿絵も描いてくださった方です。どうぞ壇上へお越しください。」
クララがそう言うと、スケッチブックとペンを持ったガタイのいい男子生徒が壇上に上がってきた。どよっと会場内が不思議な雰囲気に包まれた。というのも、姿絵の繊細な雰囲気、描かれているのがヴィルノアであることから多くの者が作者は女性だと思い込んでいたのだ。ガタイも良く、どちらかといえばペンより剣を振っていそうなケーンはほんのり頬を染めながら、挨拶をした。
「今回は私の作品に多くの方が投票してくださったと聞き、感激に堪えません。また、私の敬愛するヴィルノア殿下の絵であったことも嬉しく思います。私の敬愛する気持ちが皆様に伝わったのだと思っております。ありがとうございました。」
ケーンは一年生で、ヴィルノアとは同じクラスだという。特にヴィルノアと親しいこともなく、話したこともないそうだが、ヴィルノアの功績や、フェリシアへの態度に好感を持ち、すっかりヴィルノアファンになったという。しかも熱狂的なファンだという。だが、本人曰く隠れ激熱ファンなので表立って騒いだりはしていないらしい。
「ノアって男の子にもモテモテなんだね。」
フェリシアがふふっと揶揄うように言うと、ヴィルノアははぁっと小さく息を吐いた。
「男だよ、彼は。」
「男にモテるのが本当にモテる男だって何かの本にあったよ。」
「僕はシアにモテればいいよ。」
「ふふ、嬉しい。大丈夫。モテモテだよ。」
フェリシアがにっこり微笑むと、ヴィルノアは眩しいものを見るかのように目を細めた。
「良かった。シア、大好き。」
「うん、知ってる。」
「はい、私も知っておりますし、多分会場にお集まりの皆様、全員ご存じかと。絵の題材となったヴィルノア殿下からコメントして頂こうと来ましたが、いちゃいちゃタイムでしたね。おじゃまします。さて、どうですか、ケーン様、こんなお二人は?」
クララは茶目っ気たっぷりにケーンに話を振った。




