160. 姿絵コンテスト㉓ パーティ開始です
「姿絵コンテスト結果発表の場にお集まりいただきありがとうございます。結果発表もさることながら、ささやかながらですが余興を用意しました。そちらも合わせてお楽しみいただけますと幸いです。結果発表の前にまずは軽い余興をお楽しみください。
お手元に三つの数字の書かれたカードはございますでしょうか。入場の際にお一人様につき一枚ずつお渡ししているかと思います。お手元にない方は仰ってくださいね。
さてルールを説明いたします。カードには1から100までの数字がランダムに三つずつ書かれています。今からこの箱の中から紙を一枚ずつ、あるお方に引いて頂きます。紙には1から100までの数字が一つずつ書いてあります。読み上げますので、お手元のカードに同じ数字がありましたら、カードには切込みが入っておりますので、その数字の部分を押して折り曲げて下さい。三つ数字を揃えることができましたら大きな声でお知らせください。
運任せのゲームです。今日の運の良し悪しをお試しくださいね!」
クララが茶目っ気たっぷりに言うと、会場から笑いが起きた。
「さて、気になるのは賞品かと思います。皆さんに喜んでいただくために実行委員会も頑張りました。
まずは三名様にお好きな絵師による姿絵を描いてもらえる権利券です。これは今回応募していただいた作家の皆様の中からお好きな方を一名指名していただき、スケッチブックサイズの姿絵を描いてもらえます。お一人、もしくはお二人まで描いてもらうことが可能です。パートナーがいらっしゃる方は是非パートナーの方との思い出作りにどうぞ。
続いて、こちらは五名様に、今回応募していただいた姿絵の中からお好きな絵の原画を、こちらの額に入れてお渡しいたします。
さて最後に十名様に、今回の姿絵コンテストにご応募いただきました絵の全てが載っております図録と、 一年生の間で大人気の恋愛小説、三冊をセットにしてお渡しいたします。この小冊子は個人で製作、個人で流通の物の為、一年生の女子の間でだけで回っております。そんな流通経路のものなのでなかなか入手が困難なものです。さて気になる内容ですが、某人気カップルがモデルのいちゃいちゃ度高めのものです。ふふ、かなり楽しめる本ですよ。今回は特別に十セット用意いたしました。」
クララは各種権利券とリボンでまとめられた本の束をパーティに参加者に見せた。
「さて、カードは全員お持ちですね。それではここで数字を引いてくださいますスペシャルゲストをご紹介いたします。殿下、お願いします!!」
クララが笑顔でそう言うと、テオドールが笑顔で壇上に現れた。
女子生徒からきゃぁっと歓声が上がった。
「卒業前に、こうして皆さんとの交流ができましたこと嬉しく思います。今から、紙を引いてきますが、皆様の運を左右するかと思うと緊張しますね。私の引いた数字がお手元のカードになくても私を睨まないでくださいね。」
にこやかに王子然とした笑顔を浮かべたテオドールが茶目っ気のあることを言うと、会場内はくすくすという笑い声がそこかしこで聞こえ、和やかな雰囲気となった。
「殿下、今日はよろしくお願いします。」
そう言ってクララは30㎝四方の箱をテオドールの前に持ってきた。
「では、早速行きましょう。最初の一枚をお願いします。」
「ああ。」
テオドールは一枚紙を引き出すと、広げて読み上げた。
「33。」
きゃぁ、わぁと喜びの声と、落胆の声があちこちから上がった。
「ふふ、まだ一枚目ですよ。どんどん行きましょう。」
五個目の数字をテオドールが読み上げると、会場の中央辺りから、きゃぁぁぁっと悲鳴のような声が上がり、一人の女生徒が足早にクララの元にやってきた。
「揃いましたわ!」
満面の笑みを浮かべているのは二年生の女子生徒だった。
「ええ、確認できました。おめでとうございます。壇上にお上がり下さい。」
女子生徒は喜々として壇上に上がってきた。
「賞品は何をお望みでしょうか?」
「もちろん『お好きな絵師様に絵を描いてもらう権利』ですわ!私、冬花祭の時に販売された花冠を付けたフェリシア様の絵が大好きなんです。今回の横顔バージョンも素敵でした。あの方にお願いしたいんです。ああ、夢みたい・・・。」
女子生徒は両手を胸の前に組み、うっとりした表情で言った。
クララはにやっと笑って言った。
「おお、それは、それは。あれはフェリシア様を愛してやまない方の作品ですから、ね。」
「えっ、それってまさか・・・。」
「お呼びしましょう。ヴィルノア殿下、よろしくお願いします。」
きゃぁっという歓声と共にヴィルノアは、フェリシアと手を繋いで壇上に上がってきた。
壇上の女子生徒は驚いて目を見開いていた。
「僕の絵を気に入ってくれてありがとうございます。」
王子スマイルを浮かべ胸の前に手を当てヴィルノアが言うと、フェリシアは横でほっとした顔をした。
女子生徒はプルプルと震えて言った。
「あれは殿下の作品でしたか。あの絵のフェリシア様がすごい素敵で大好きなんです。殿下とフェリシア様の仲睦まじいお姿も大好きなんです。えっ、えっ、本当に殿下に描いて頂けるのですか?えっ、王子様が描いてくださるんですか?」
クララは圧のある笑顔でヴィルノアに言った。
「もちろんですよね。いいですよね、殿下?」
フェリシアはぎゅうっとヴィルノアとつないだ手に力を込めた。
ヴィルノアはふぅっと小さく息を吐いた後、再び王子スマイルを浮かべた。
「もちろんです。精一杯描かせていただきます。」
「ありがとうございます!家宝に致します!!」
女子生徒が感激のあまりプルプルと震えていると、テオドールが彼女の手を取って、その手の甲に口付けをした。
「おめでとう。良かったね。ヴィル君に描いてもらえることになって。今日一番の強運の持ち主は君だね。これが賞品の引換券だよ。」
テオドールが笑顔で券を渡すと、きゃぁぁぁっと歓声が上がった。
女子生徒は顔を真っ赤に染め上げ、その場にへたり込んで言った。。
「幸せぇ~。」
女子生徒は友人たちに支えられ、壇上を後にした。




