159.姿絵コンテスト㉒ 二人は仲良し
「あらっ、あっちもやきもちさんだ。」
フェリシアは苦笑いを浮かべると、エリザベスから離れ、ヴィルノアの前に立った。そして両腕を広げ、フェリシアは言った。
「ノア、おいで。」
ヴィルノアは顔を顰めつつも、少しフェリシアに近づいた。
フェリシアはヴィルノアの首に腕を回すとぐっと引っ張り、ヴィルノアの頬にキスをした。
「機嫌直して、ねっ。」
フェリシアがヴィルノアの首に腕を回したまま、首を横に傾げながらにっこり微笑むと、ヴィルノアは困ったように微笑んで、フェリシアを抱き締めた。
「・・・シアには勝てないよ。」
「ふふ、機嫌直ったのよね。良かった。」
「・・・うん。大好き、シア。」
「うん、知ってる。」
ヴィルノアはフェリシアの肩口に自身の頭を乗せた。
「・・・エリザベス王女には大好きって返していたのに、僕には言ってくれないの?」
「ふふっ、それで妬いちゃったんだ。」
「・・・うん。」
フェリシアはヴィルノアの頭を撫でた。
「ふふ、やきもち嬉しい。」
「・・・意地悪だね、シア。」
フェリシアはヴィルノアの背中に腕を回し、頬をヴィルノアの胸元に摺り寄せ、ぎゅっと抱きついた。
「意地悪かな?」
「・・・違います。世界で一番素敵な女性です。・・・僕の負けです。」
「ふふ、勝ち負けではないよ。」
「・・・シアには勝てないよ。」
ヴィルノアは自身の頬をフェリシアの頭に摺り寄せた。
エリックはフェリシアから解放されたエリザベスの手を取って言った。
「もう話は終わったのか、エリザベス。それにしてもフェリシアが随分怖がっていたな。」
思い出してくくっと笑いながら言うエリックに、エリザベスは鉄壁の王女スマイルを浮かべて言った。
「ええ、マリア様の弟君達にはしっかりご理解いただきましたわ。ねぇ、そうですわよね?」
エリザベスが視線を弟二人に向けると、青ざめた二人はこくこくと頷いた。
エリックは楽しそうに笑って言った。
「美しいな、エリザベス。そういう顔のエリザベスもきれいでいいな。ゾクゾクする。」
エリザベスは一瞬で微笑みが崩れオタオタし始めた。
「ま、まぁ・・・ありがとうございます。」
頬に手を当て、真っ赤に顔を染めあげたエリザベスの腰を抱き、エリックはエリザベスの体を引き寄せた。そして耳元に顔を近づけエリックは囁くように言った。
「照れるエリザベスはとてもかわいいな。」
「!!」
エリザベスは両手で頬を覆った。
「はは、いいな。」
エリックはははっと楽しそうに笑うと、エリザベスのこめかみに一つ、ちゅっとリップ音を立て、口付けを落とした。
アゼリアは弟二人の前に立ち、言った。
「はい、見ていましたね。あの美しくも恐ろしいエリザベス様でさえ、エリック殿下の言葉一つで恋するかわいい乙女になるんですよ。あなた方は知るべきです。あなた方の行いがいかに愚かだったかを。」
王女然とした微笑みを浮かべ、冷めた目で話すアゼリアも、なかなかの迫力があった。
ぽーっと呆けたように頬を赤らめエリザベスとフェリシアを見ていた弟二人は、はっと我に返りこくこくと頷いた。
「ちょっとノア、一旦離してくれる?あの二人に言っておきたいことがあるの。」
ヴィルノアが腕を離すと、フェリシアは弟二人の前に腰に手を当て仁王立ちをした。
「二人とも、チャンスをあげる。今度のパーティに二人でいらっしゃい。その時に今までのことを反省して、正しい振る舞いができたのなら、許してあげましょう。もし、一言でも認めることのできない言葉を発したら、今度はアゼリア様に教育的指導をしていただくから、覚悟しておいてね。いいですよね、アゼリア様?」
アゼリアはにっこりと美しい微笑みで答えた。
「ええ、もちろんです。きっちりお分かりになるまでお話しさせていただきますわ。」
弟二人は青ざめ、プルプルと小刻みに震え始めた。
フェリシアは満足気に微笑んだ。
「はいっ、今日は以上です。よぉく考えるのよ。いいですね。」
「「はいっ!!」」
勢いよく返事をすると、弟二人は忙しくこくこくと首を縦に振った。そして、立ち上がると一礼をして、足早に去って行った。
フェリシアは二人の後ろ姿が見えなくなると、ほっとした様子で言った。
「ふぅ、今日はありがとう、エリザベス。やっぱりエリザベスだよね。アゼリア様、お付き合いいただきありがとうございます。」
フェリシアがぺこんと頭を下げると、アゼリアは楽しそうに笑って言った。
「ふふ、とても楽しかったわ。フェリシアといると面白いことがいっぱいね。」
エリザベスもエリックもこくんと頷いた。
「トラブルが向こうからやってくるもんなぁ。」
エリックが揶揄うようににかっと笑って言うと、フェリシアはむぅっと頬を膨らました。
「なに、それ!」
ヴィルノアはフェリシアの腰を抱き寄せ、楽しそうに言った。
「そんなシアも大好きだから、大丈夫。」
「大丈夫って、何?」
フェリシアがむぅとした顔でヴィルノアを見ると、ヴィルノアはフェリシアの頬を撫でた。
「全部。何があって大丈夫。シアはシアの思うようにすればいいよ。何かあったら僕が何とでもするから。僕がいつもいるから、ね。」
「うん。ありがとう。頼もしいね。」
「うん、頼りにしていいよ。」
フェリシアはにっこりと微笑んだ。
「ふふ、大好き、ノア。」
「えっ・・・うん、知ってる、って返すとこかな。いや、違うね。大好き、シア、だね。」
「ふふ、うん、知ってる。」
二人は顔を見合わせ笑った。
「ああ、いつものだ、な。」
エリックはやれやれといった様子で言った。
「ええ、いつものですわ。」
エリザベスはほんのり赤らめた頬に手を当てた。
「素敵!!」
アゼリアは両手を胸の前で組んで、目をキラキラさせた。




