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ガチ恋っ!!ってことで  作者: ゆ


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155/169

155. 姿絵コンテスト⑱ 聞いて

 フリーズが解けたヴィルノアはフェリシアにぎゅうっと抱きついていた。


 抱きしめられつつフェリシアは一連のイーサン達のやり取りを、ヴィルノアの頭を撫でながら見ていた。

 フェリシアの視線に気付いたイーサンとフェリシアは目が合った。

 優しく微笑んだフェリシアは口を『良かったね』とパクパクと音は出ないように動かした。

 キュッと顔を引き締めたイーサンは胸に手を当て、軽く頭を下げた後、『ありがとうございます』と同じように口だけを動かした。

 フェリシアはこくんと頷いた後、顔の前に握り拳を作り『頑張れ』と口を動かすと、イーサンは軽く微笑んで握り拳を作り、こくんと頷いた。そして作業し終えた図録を抱え、シールの残りを持ったサリナと共に歩いて行った。


 イーサン達と入れ替わりに、思いつめた表情でマリアがやってきた。

「ヴィルノア殿下、フェリシアを貸してください。」

「あっ、マリア・・・何かあったの?」

「・・・ええ、どうしてもフェリシアに相談したいことがあって・・・。ちょっと急ぎで・・・。今いいかな?」

「うん、大丈夫だよ。ノア、いいよね。」

「うん。今、とっても気分がいいんだ。・・・いい子で待っているよ。」

「ふふ、ありがとう。ちょっと待ってね、マリア。」

 フェリシアはヴィルノアの膝から降りると、きょろきょろと辺りを見渡した。

「ええっと、バルトぉ。こっち来てぇ。」

 フェリシアが教室の隅に立っていたバルトに手を振って、声を掛けた。

 びくっとマリアの肩が動き、瞳が揺れた。

 バルトは軽く頷くとフェリシア達のところにやってきた。

「どうしました、フェリシア様?」

「ノアの相手をして欲しいんだ。いいかな?」

「大丈夫ですよ。フェリシア様はどちらへ?」

「ふふ、マリアと女子会よ。」

 フェリシアはマリアの腕に手を絡めて、にっこり笑った。

「いいでしょう?」

「いいですね。次は誘ってください。」

「無理よ。女子会だもん。バルトが女の子になったら考えてあげるよ。」

「うーん、それは、ちょっと。残念です。」

「ふふ、男の子でいてね。マリアと女子会してくるから、ノアをお願いね。」

「・・・分かりました。」

 フェリシアはヴィルノアの頭を一撫でして言った。

「いい子で待っていてね、ノア。行ってきます。」

 ヴィルノアは目を細め応えた。

「待ってる。行ってらっしゃい。楽しんできて。」

「ん、そうだね。」

 フェリシアはマリアと途中誘ったクララと連れ立って教室を出て行った。


 三人は裏庭のベンチにやってきた。

 ベンチに腰掛けるなり、フェリシアは言った。

「ねぇ、バルトと何かあった?」

 マリアはびくっと肩を揺らし俯いてしまった。

 フェリシアは優しくマリアの背中を撫でた。

「クララも何となく事情は察しているから連れてきたの。私一人よりも、クララがいた方がきっといいアドバイスができると思うの。だから・・・話してもらえるかな?」

 顔をあげたマリアと目が合ったクララは優しく微笑んで、こくんと頷いた。

 マリアは小さく息を吐いて、話し始めた。

「あのね、実は先日バルト君から婚約を前提で交際してほしいって申し込まれたの。」

 フェリシアとクララはおおっと声をあげた。

「うん、それでマリアはどう答えたの?」

「・・・返事は待って欲しいって、考えさせてほしいって言ったの。」

「うん。それでマリアはどうしたいの?」

「・・・私にはもったいないくらいの方だと思うの。ヴィルノア殿下の側近で、将来が約束されているでしょう。私の家は弟が継ぐから、いつかは家を出てどこかに嫁がなければならないわ。家に迷惑を掛けたくないから、それなりに堅実な家の方に嫁ぎたいとは思っていたの。だから、バルト君はそういった意味では理想的なのね。でも、純粋に私を、そのぅ、好きになってくれたみたいなの。それなのに私のような結婚に対して打算的な考え方を持つ者が、彼の申し出に『はい』と答えるのは違う気がして・・・。それにね、昨日バルト君が、一年の子かな、かわいらしい女の子と話しているのを見たの。ああ、ああ言ったかわいい子の方がバルト君に似合うなって思ったの。ほら、私ってかわいくないじゃない・・・。」

 だんだん声が小さくなり、再びマリアは俯いてしまった。

 フェリシアはマリアの背中を優しく撫でた。

「マリア、家のことは貴族なら誰もが考えることだわ。気にすることないよ。それより、マリアはバルトのことをどう思っているの?」

 マリアは横に首を振って言った。

「・・・嫌いではないわ。一緒にお仕事をしたけど、とても気さくで、私を気遣ってくれる優しい方。弟と同じ年なのにしっかりしていているわ。一緒にお話ししていても楽しいし、素敵な方だと思う。だからね、私みたいなかわいげのない女が隣に立ってはいけないと思うの。こんな、かわいくない女・・・バルト君には似合わないもの。」

「ねぇ、私、前にも言ったよね?マリアはかわいいって。それなのになんで、かわいくないなんて言うの?」

「ふふ、私のことかわいいなんて言うのはフェリシアと・・・バルト君ぐらいよ。いつも小うるさくて、かわいくないとか、かわいげがないから男が寄ってこないんだ、とかよく言われるもの。」

 自嘲気味にマリアは笑った。

 フェリシアは目を鋭く細めきれいな笑顔で聞いた。

「んー、誰がそんなことを、私のかわいいマリアに言うのか、教えてくれるかな?」

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