141. 姿絵コンテスト④ 決定事項
話し合いの結果、姿絵コンテストについては以下のように決まった。
姿絵のコンテストには、二つの部門を設けることにした。一つは自由部門。もう一つは創作部門。自由部門は文字通り、自由に描いてもらう。創作部門はテーマに沿って製作してもらう。今回は、学祭での猫耳が好評だったので『ケモミミ』に決まった。どちらも学園の生徒を描くこと、公序良俗に反しないこと、が共通の条件だ。
それぞれ一人三枚まで応募できる。更に応募の際にはペンネームを付けてもらい、ペンネームで作品は展示される。発表される前に、題材となった生徒には事前に許可をもらってからの展示となる。応募受付期間は三日間。用紙はイベント実行委員会指定の物のみ。
コンテストの投票は学園の生徒によって行われる。投票用紙は、コンテストの結果発表パーティの入場券を購入するとついてくる。投票用紙には一位から五位まで選んで記入できる。一位には五点、以下、二位には四点、三位には三点、四位には二点、五位には一点が加算される。合計得点で順位を決めていく。 順位の高い姿絵は希望者に後日販売される。
結果発表パーティは婚活イベントも兼ねる。相手のいる者は赤い薔薇を、婚活中の者は白い薔薇を付ける。パーティは制服で参加とする。
「大枠はこんな感じで行こうと思っています。細かいところはその都度、詰めていきましょう。ここまでを企画書にして生徒会と学園とに交渉してみます。多分通せますので、引き続きよろしくお願いします。さぁ、商機ですよ。今回もコサージュ販売しましょう。冬花祭と同じように赤い薔薇と白い薔薇を使いたいと思います。そして、できればそれぞれの薔薇の意味を定着させていきたいと思っています。この先、他のイベントでも使えそうなので。前回の冬花祭のコサージュと髪飾りはとても好評でした。なので、またヴィルノア殿下とフェリシア様にデザインをお願いしたいんですが、よろしいでしょうか。」
クララがざっとまとめに入った。
「うん、いいよね、ノア。」
「シアがいいなら、僕もいい。」
「それではお願いします。今回から中心となって企画運営するメンバー、実行委員ですね、に一年生も参加しています。あまり多くなってはとは思うのですが、あと何人かお手伝いしてくれる心当たりがある方は私の方までお声がけください。できれば他学年の子にも運営について知ってもらえると後々よいかと思うのです。また、今回も準備期間が短いので人手がもう少し欲しいとこなのです。よろしくお願いしますね。」
クララがそう言って、初会合は終わった。
「ねぇ、ノア。これからもこうやって座るの?」
放課後の教室の隅の席。ヴィルノアはフェリシアをお膝抱っこして座り、机に向かっている。
フェリシアはむぅっと頬を膨らませ、ヴィルノアに言った。ヴィルノアの膝の上、不機嫌さをあらわにしたフェリシアとは対照的に、ヴィルノアはにこにこ顔だ。
「嫌?」
「うん。恥ずかしい。」
「本当に嫌?僕の膝の上は嫌?」
眉を下げ、しゅんっとした顔でヴィルノアは聞いた。
フェリシアはうっと声を詰まらせた。
「・・・嫌じゃないけど、恥ずかしい。」
「僕はシアがすごく近くに感じられて嬉しいよ。だめ?」
「・・・ノア、ずるいよ。私がそんな顔したノアに嫌って言えないの分かっていて言っているよね。」
「そんな顔?」
「うん。しゅんっとした顔。ノアには笑っていて欲しいんだよ。」
「シアを抱っこしていれば、自然と笑顔になるよ。幸せだもん。」
「・・・やっぱり、ノア、ずるい。」
「ずるくてもいいよ。シアがこうして僕の側にいてくれるなら。さて、今回のデザインはどうする?」
ヴィルノアはスケッチブックを広げた。
フェリシアはふぅっと小さく息を吐いた。
「・・・もういいや。コサージュのデザインだよね。姿絵のコンテストだから芸術的なのとか?」
諦めたフェリシアが首を傾げた。
「芸術的かぁ。コサージュじゃなくてブローチにしてみる?抽象的な薔薇の形にしてみるとか、素材にこだわってみるとか。そうだな、エナメルとか発色もいいしどうかな。」
「うん、きれいでいいね。赤い薔薇と白い薔薇だよね。冬花祭でも分かり易くて良かったよね。冬花祭の時みたいにちょっと細工があるといいよね。・・・ねぇ、ノア。このブローチにチャームってつけれないかな?」
「チャームってどんなの?」
「あのね、前に欠片を使ったアクセサリーとかをデザインしてみないかって話をノアがくれたでしょう。あの後、エリザベス達と色々案を出してみたんだ。でね、小さめのチャームにあの欠片を使ったら面白いかなって、話がまとまりつつあるの。ほら、例えばブレスレットに一つずつチャームを付けていくの。最初から全部を揃えるんじゃなくて、一つずつ何かの記念日とかに増やしていくの。一つずつなら一回にかかるお金もそんなに高くないでしょう。まるでお花を育てるみたいに、ブレスレットを自分好みに育てていくの。
それに、ブレスレットじゃなくても蟹爪金具を付ければカードケースにもつけれるでしょう。その時に好きな人の瞳の色のチャームとかつけれたら、女の子的に気持ちが盛り上がるかなって思うの。
今回お試しで欠片、使えないかなぁ。」
フェリシアの説明を聞き、ヴィルノアは顎に手を当て考え込み始めた。時折首を傾げたり、宙に瞳を彷徨わせたり、ヴィルノアはしばらく黙り込んだ。




