140. 姿絵コンテスト③ 初会合
「殿下、今回は椅子、どうします?」
クララは姿絵コンテストの打ち合わせの為に教室にやってきたヴィルノアに尋ねた。
「クララ嬢、お気遣いありがとうございます。いつも通りで。」
ヴィルノアは王子スマイルを浮かべて答えた。
「了解です。フェリシア様、ヴィルノア殿下たちいらっしゃいましたよ。」
クララはフェリシアに手を振った。
フェリシアは、はあいと返事をするとクラスメイトとの話を切り上げ、ヴィルノアの元へやってきた。
「ノア。いらっしゃい。」
フェリシアがにっこり笑うと、ヴィルノアは嬉しそうに微笑み返した。そしてフェリシアを抱きかかえ、椅子に腰かけ、フェリシアを膝の上に乗せた。
「うわぁ、また、これ!?恥ずかしいよ。」
「うん。僕は恥ずかしくないよ。このままで、ね。」
「降ろしてほしいよぉ。」
「だぁめ。ね、クララ嬢。」
クララはにたぁっと笑って言った。
「はい、そのままどうぞ。いつも通りですね。」
「ええ、いつも通りです。」
「もぉう、クララ!!人の気も知らないで!そうだ!ベンジャミン様っ、クララをお膝抱っこしてあげてください!!」
急に名前を呼ばれたベンジャミンは、自分を指さし焦った顔をした。
「えっ、俺?」
ビシッとフェリシアはベンジャミンを指さした。
「そうです!ベンジャミン様、お膝抱っこです!!いけぇぇぇ!!」
「はっ、はいっ!!」
ベンジャミンはあっけにとられているクララを抱きかかえ、お膝抱っこで席に着いた。
「うわぁぁぁ、ベンっ。」
クララは慌ててベンジャミンの頭にしがみついた。
「ふふ、これで分かったでしょう、クララ。これ結構恥ずかしいのよ。」
フェリシアは勝ち誇ったように言う。
「そうですねぇ。ねぇ、ベン・・・。」
クララが次の言葉を発しようと顔を向けると、クララはベンジャミンと視線がばちっと合った。するとベンジャミンはクララに回した腕にぎゅうっと力を込めた。真っ赤に染まった顔を隠そうともせず、ベンジャミンは嬉しそうに笑って言った。
「確かに恥ずかしいけど、クララとすごく近づけて…ナイスアシストです、フェリシア様。俺、ヴィルノア殿下の気持ちわかった気がします。これ、いいですねっ!」
きっとクララにはベンジャミンの頭にピンっと立った耳と、ブルンブルン振られたしっぽが見えているのだろう。クララは眉を下げ、力なく微笑んだ。
「もう、仕方ない人ね。ベン、今日だけですよ。」
「うん!」
クララは大型犬?のようなベンジャミンがかわいくて仕方がないらしい。
満面の笑みを浮かべるベンジャミンにすっかり毒気を抜かれ、フェリシアは大人しくヴィルノアの膝の上にいることにした。
「えー、このような状態ですがイベントの打ち合わせを始めたいと思います。さて、今回は姿絵コンテストです。前にもお話ししました通り、冬花祭での姿絵販売は好評でいまだ問い合わせがちらほらございます。姿絵は一枚を除き、全て学園在籍の生徒が描いたものでした。絵が上手い方多いですよね。そこで折角ですからもっと姿絵を楽しみたいな、と今回の企画に至りました。商機です。ふふっ。頑張りましょうね。まぁ、それは置いといて、概要なのですが、応募者には三枚の姿絵を描いてもらいます。それを一定期間掲示して、生徒達に投票してもらい順位を決定する。そして上位入賞者の姿絵を販売する。と、まぁ、こんな感じなのですが・・・ぱっとしないんですよ。ぱぁっと盛り上がる企画にしたいのですよ。ぱぁっと、そう、こうぱぁっとです。で、がばっと儲けて、次のイベント予算に充てていきたいんですよねぇ。何かいいアイディアはありませんか?」
クララはなぜかベンジャミンの頭を撫でている。
フェリシアはそんなクララたちをじっと見ていた。
その視線に気付いたクララは首を傾げた。
「どうしました?フェリシア様。」
「あのね。クララってベンジャミン様と随分上手くいっているよね。」
「まぁ、見ての通りです。それがどうかしましたか?」
「あのね、冬花祭で声を掛けられたけど結局上手くいかなかったって子たちがいて、まだ婚活中なんだって。その子たちは上手くいかなかったけど、クララたちは上手くいっているよね。ベンジャミン様、幸せそうだし。今回も何か婚活中の子たちが頑張れる企画ができないかなって思ったんだけど・・・何も思いつかないんだよね。」
ベンジャミンは自分の名前が出て、ニコッと笑った。周囲は、あぁぁぁっと生温かい目でベンジャミン達を見た。集まったメンバーの一人が言った。
「見ると、いちゃついてんじゃないよって、見せつけてんじゃないよっとか思うんだけど、かなり羨ましいんだよな。俺も彼女、お膝抱っこしたいよ。彼女がいないんだけどさ。へへ。」
「分かる。見せつけんなよ、とか思うんだけど、羨ましいよな。俺もやってみたいんだよなぁ。まずは、彼女見つけることからだよな。」
男二人でうんうんと頷き合った。
ヴィルノアがその様子を横目で見た後、フェリシアの頬を撫でながら言った。
「それなら、結果発表をするためのパーティを催して、出会いの場となるようにゲームとかダンスとかしてみてはどうでしょう。また冬花祭みたいに婚活中だと分かるようにしておけばいいですよね。ああ、この機会にこの学園では婚活中の者は白い薔薇、相手のいる者は赤い薔薇って定着させちゃうといいですね。次からのイベントが企画しやすいですよね。」
クララは目をキラキラとさせて言った。
「おおっ、それ頂きです、殿下。結果発表パーティ、いいです。入場券とか薔薇とか、姿絵だけではなく、いけますね!ふふっ、好物です。さぁ、皆様。生徒会に交渉して、会場押さえて、うんっ、やることいっぱいです。ちゃっちゃと企画を詰めちゃいましょう!」
クララはベンジャミンに支えられて腕をぶんぶん楽しそうに振り回した。




