139. 姿絵コンテスト② イベントしましょう
クララがたたき台として提案した姿絵コンテストの話に教室内はどよめき立った。
「はい、皆様、よろしいでしょうか。このイベント開催に賛成の方は拍手をお願いします。」
わぁっという歓声とともに大きな拍手が起きた。クララはうんと頷くとパンっと手を叩いた。
「賛成多数ということで前回同様にある程度企画の骨子を決めましたら企画書を持って生徒会と交渉したいと思います。さて企画する際に何か意見がありましたら発言してください。」
一人の男子生徒が手を挙げて立ち上がった。
「あの一つ提案です。絵を描いてみたい方や描いている方の中には実名が出ることを嫌う方も少なからずいらっしゃるかと思います。それに作者名だけで投票するものも出てくるかと思うのです。例えばエリック殿下の名が作者名に会ったら思わず絵の出来栄え云々関係なく投票するものも出てくるかと思うのです。ですから応募者には全員、ペンネームを付けてもらい展示するというのはどうでしょうか?本名は明かしたいものだけがコンテスト終了時に公表すればいいかと思うのです。」
すると女生徒の一人が立ち上がり発言した、
「私も賛成です。本名だと心無いものからの陰口や中傷もあるかと思います。ペンネームならそれらも防げます。」
ざわざわとクラス内がざわめいた。クララはパンっと手を叩き言った。
「素晴らしい提案です。そうですね。ペンネームにすれば応募のハードルもぐっと下がりますね。確かにヴィルノア殿下が描かれたフェリシア様の姿絵って分かったら思わず投票して、姿絵も買って、恋愛成就のお守りにしてしまいそうです。こういった邪な投票を防げますよね。」
クララが冗談交じりに言うと、ははは、ふふふとあちこちから笑い声が聞こえた。
「あっ、因みに冬花祭で売ったフェリシア様の姿絵のうち注文数第一位はヴィルノア殿下の描かれた物でした。しかもそれは全体の第三位です。作者を明らかにしていないのにこの結果ですから、殿下のお名前を出していたらどんなことになっていたか、恐ろしいですねぇ。」
「「「おおぉぉぉ!」」」
「それでは他に意見がないようであれば今日はここで終わりにしたいと思います。最後に二つ、お付き合いください。一つは作画料の支払いに皆さまの同意が得られましたので、ヴィルノア殿下からの伝言があります。『僕の姿絵の作画料で、クララのクラス全員に姿絵を入れるカードケースを買って冬花祭準備のお礼として下さい。足りなければ僕が出すから。』だそうです。いやぁ、多分充分足りますね。という訳で前に紙を置いておきますので希望のデザインのところにお名前を書いておいてください。後日お持ちします。殿下、ありがとうございます!ってことで、これが一件目です。
もう一つは冬花祭同様中心となって働いてくださる方を募集します。ご希望の方はこの後、私のところまでよろしくお願いします。以上です。」
クララが言い終わると小さな拍手が起き、クラス会議は終わった。
フェリシアはエリザベスのところに行き声を掛けた。
「ねぇ、一緒に企画に参加してみない?」
エリザベスは頬に手を当て首を傾げた。
「わたくしでお役に立てますかしら?」
「大丈夫。エリザベスは優秀だもの。それに他国の文化とか風習とか知っているエリザベスの感性は貴重だよ。私みたいにこの国しか知らないものでは気付かないことに気付いたりできるんじゃないかな。面白い意見も出せるかもしれないでしょう。」
「そう、フェリシアが言うのでしたら、やってみたいですわね。」
「嬉しい!頑張ろうね。」
「ええ。」
二人はクララの元に行き企画に参加したい旨を伝えた。
クララはにっこり笑って言った。
「まぁ、ありがとうございます。あっフェリシア様が参加ならヴィルノア殿下も参加されますか?もし参加なら最初からお呼びしたいのですが・・・。」
「ん-、どうだろう?ノア、来るかなぁ?」
「昼休みも話し合いがございますの?」
エリザベスが頬に手を当て首を傾げた。
「もちろんです。準備期間が短いですからねぇ。」
「それなら参加ですわ。」
「えっ、何でエリザベスが答えてるの?」
フェリシアが驚いて横にいるエリザベスを見た。
「大丈夫です。私には分かります。間違いなく参加ですわ。」
「私もそう思いますね。フェリシア様、ヴィルノア殿下ですよ。来ますね。」
クララも腕を組み、うんうんと頷いた。
「ええ、来るに決まっていますわ。あぁ、この際、同じく一年生のバルトも参加させてはいかがですか?殿下と行動を共にされていますし、何かあった時に殿下を止めて下さいますわ。」
「ええ、いいですね。」
「わたくしから話しておきますわ。」
「はい、お願いします。」
クララとエリザベスは顔を見合わせ頷き合った。
「うわぁ、二人だけで話を進んで行くぅ。私も入れてぇ。」
フェリシアはエリザベスの抱きついた。
「はい、はい、ヴィルノア殿下とバルトを誘いに行きましょう。」
「うん。」
フェリシア達がヴィルノア達にイベントのことを話すと、快く中心メンバーとなって働くことを受け入れてくれた。
「エリックは誘わなくて良かったの?」
「ええ。エリックはテオドール殿下から少しずつ公務などのお仕事を任されているので、お忙しいのです。」
「ああ、言ってたね。じゃあ、オスカーも忙しいね。」
「ええ。」
「それなら仕方がないね。シルビアも放課後は忙しいし、二人で頑張ろう。」
「はい、よろしくお願いいたしますわ。」
二人は顔を見合わせ微笑みあった。




