129. ソルティア㉒ 一旦解決で
ヴィルノアとアゼリアが応接室に入って行くとソルティアはぱあっと明るく笑った。
「お姉様、ヴィルノア様、助けに来てくだっさたのね!聞いてください。酷いのですのよ、テオドール様は。わたくしに牢屋に入れって言うのです。罪人だって言いますのよ。酷いと思いませんこと。」
ソルティアの言いように、アゼリアは怒りをあらわにして言った。
「お黙りなさい!!あなたは自分のしたことがまだ分かっていないのですか!全部聞いていましたが、テオドール様が正しいと分からないのですか。あなたは罪人です!この国の法に従い反省しなさい。国には全部報告しておきます。」
ヴィルノアは冷ややかな目でソルティアを見てい言った。
「君は罪人だよ。君は僕の一番大切なシアに危害を加えたんだ。そして僕の宝物になるはずだったシアの手紙を盗み取り、捨てた。そんな最低なことをした君を、どうして僕が助けると思うんだ。全く分からないよ。今回の件は絶対うやむやなんかにしないから。」
ソルティアは唇を震わせ、目を吊り上げた。
「わたくしは王女ですのよ。そんなこと許されませんわ!!」
アゼリアはソルティアのすぐ前に来て言った。
「もうお黙りなさい!!あなたは我が国の恥をこれ以上さらすのですか!」
ソルティアはうっと口を閉じた。
アゼリアはふぅと小さく息を吐くと振り向き、ヴィルノアとテオドールを見て、頭を下げた。
「愚妹がご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。愚妹の処遇については国とも相談いたしますが、基本的にはこの国の法に従うように進言します。お手数をお掛けしますがよろしくお願いします。」
テオドールはうむっと頷き言った。
「国として正式に抗議をさせてもらうよ。アゼリア嬢のこともあるから内々に解決したかったんだけど、ここまで酷い行いとなるとそれも無理だ。それに彼女の侍女の家族の身の安全を考えるとうやむやにしない方がいいよね。」
「はい。私もそう思います。お手を煩わせてしまいますが、よろしくお願いします。」
アゼリアは深々と頭を下げた。
「ヴィル君もいいね。」
ヴィルノアは静かに頷いた。
ソルティアはプルプルと怒りに震えながら、その場にしゃがみこんだ。
テオドールはジルベールに目配せをすると、ジルベールは頷き、衛兵たちにソルティアを連れて行くよう指示した。そして両脇を衛兵に抱えられるように掴まれたソルティアは、何かをわめいていたが、聞き入れられることはなく、引きずられるようにして部屋を出て行った。
ひと段落着いたところでテオドールは言った。
「フェリシアとエリックはどうした?」
ヴィルノアは無表情で答えた。
「シアをアレに会わせたくありません。エリック兄上に頼んでシアを続き部屋に置いてきました。」
「んー、まぁ、気持ちは分かるね。これほどとはね。」
「テオドール様、ヴィルノア様、愚妹が本当に申し訳ありません。ここまで身勝手だとは姉なのに知りませんでした。姉失格です。本当に申し訳ありません。」
「私は君に同情しているよ。大変だね。あれではね。」
「・・・はい。」
「兄上、あの王女の部屋へ行って手紙を回収してもいいですか?それと王女の侍女にシアの手紙について聞きたいのですがいいですか?」
ヴィルノアはテオドールに許可を求めた。
「んー、アゼリア嬢、いいかな?」
「もちろんです。私も手伝います。」
「ヴィル君、アゼリア嬢と一緒にソルティア王女の部屋に行っておいで。」
「はい、行きましょう、ヴィルノア殿下。」
「はい。お願いします。」
二人は足早に部屋を出て行った。
テオドールはメイドに新しくお茶を用意させ、フェリシアとエリックを呼んで、ジルベールと共にソファーに腰かけた。
「ひとまず解決ということでいいかな。まだ問題は残っているけど、今日はここまでかな。残念だけどフェリシアの手紙は捨てられちゃったみたいだね。」
テオドールは悲し気に微笑んだ。
フェリシアは穏やかな表情で首を横に振った。
「いいんです。ノア 以外に読まれるくらいなら捨てられた方がましです。テオ兄様、気を使っていただいてありがとうございます。」
「んー、それはそうだろうけど、ヴィル君は残念がるだろうね。」
「ふふ、また書きます。」
「うん。そうしてあげて。冬休みもフェリシアの手紙はヴィル君の働く原動力になっていたからね。それに新規事業もフェリシアを喜ばせたくて考えたみたいだよ。」
「兄上、これ見ました?フェリシア、さっきのブレスレット出せ。」
エリックに言われて、フェリシアは左手首につけられたブレスレットをテオドールの前に出した。
「兄様、ノアにもらいました。かわいいでしょう。これに使っている石はみんな処分されるはずの物だったんですよ。サファイアって青くてきれいですね。もったいないって言ったら、こんなにかわいいの作ってくれました。」
テオドールとジルベールは顔を見合わせて、苦笑いをした。
「確かにかわいいね。フェリシアに似合っているよ。ヴィル君らしいよね。」
「はい。ノアがデザインして、自分で作ってくれたんです。石もノアが自分で選んだって言っていました。」
「ん-。そうだろうね。」
「独占欲丸出しじゃないか。」
ジルベールは呆れた声で言った。
「ですよね。」
エリックもうんうんと頷いた。
三人の男性たちは顔を見合わせ、ふぅっと大きく息を吐いた。




