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ガチ恋っ!!ってことで  作者: ゆ


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127/169

127. ソルティア⑳ ソルティア

 俯いて謝罪を繰り返す侍女にテオドールは言った。

「それはどういうことかな?話せないってこと?もし誰かに脅されているなら脅されている内容にもよるけど・・・君の場合、うーん、話すと多分家族の身に何か起こるのかな、それなら守ってあげられると思うよ。」

 侍女はくっと顔を上げ、驚きの表情でテオドールを見た。

「ほ、本当ですか?私はどうなっても構いません。どうか父と妹を守ってください。」

 両手を祈るように胸の前で組んで侍女は懇願した。

 テオドールはにっこり微笑んで言った。

「ああ、大丈夫だ。話してくれるね。」


 侍女は俯いて何回か深呼吸をした後、顔を上げ言った。

「手紙を受け取るようにソルティア様から命令されました。その際、私に手紙を渡すのは第三王子の意向だと門番の方に伝えるよう言われました。受け取った手紙はソルティア様にお渡ししました。そこの侍女の方がソルティア様の部屋に来た時も、ソルティア様が誰か部屋を訪ねてきたら第三王子殿下とお会いしていると伝えるようにと言われておりましたので、そのように伝えました。」

「何を、嘘ばかり言うのです!!お下がりなさい!」


 ソルティアは顔を真っ赤にして目を吊り上げた。侍女が動かないのを見ると更に眉までも吊り上げ、手を振り上げた。

「わたくしの言うことが聞けませんの!」

 ソルティアがそう言って手を振り下ろそうとしたが、テオドールがソルティアの手首を掴んで阻止した。

「ソルティア王女、暴力はいけません。」

「暴力だなんて人聞きの悪い。これは躾ですわ!主人が使用人の躾をするのは当然のことでございましょう!放してくださいませ!!」

「暴力を伴う躾などありませんよ。あなたは、使用人ではない第三王子の婚約者にも暴力をふるっていますね。」

「あれは、あの女に自分の立場を分からせるために必要でしたのよ。生意気にもわたくしに口答えしただけではなく、まるでヴィルノア様が自分の物のように言ったのですわ。叩かれて当然ですわ。」

「随分偏った考えをお持ちのようだ。その件は今は後にしましょう。話を元に戻しましょう。ああ、ソルティア王女、侍女を叩くことは私が許しません。叩いた時点で、暴力行為とみなしこの国の法に則って処罰します。王女でも、です。お分かりになりますね。」

 そう言ってテオドールが手を離すと、ソルティアは忌々しそうな顔で侍女を睨みつけた。


「さて、君にはもう少し聞きたいことがある。なぜ王女がフェリシアの手紙が届けられたことを知っていたか分かるかい?」

「はい。たまたまですが、門番と使いの者とのやり取りを通りがかったソルティア様が見たそうです。」

「そう。次にフェリシアの手紙を王女はどうしていたのか、知っているか。」

「手紙はすぐにゴミ箱へと放り投げていました。」

「そう。それでは最後に、君は何で王女の理不尽な命令に従ったんだい?」

「私には文官として王宮に勤める父と来年から学園に通います妹がおります。ソルティア様は父が不正をしていると虚偽の告発をし、犯罪者として処罰すると言いました。そして犯罪者の娘が学園に通う未来はない、とおっしゃいました。そんなことはできるわけない、と言ったのですが何度も何度も叩かれ、聞かないとすぐに父を貶めるよう、手を打つと言われました。もう、怖くて・・・恐ろしくて、従わざるおえないと思いました。父は実直な人ですし、妹はとても賢い子で学園で学んだあとは文官の採用試験を受け、文官になるのが夢なのです。それを・・・それをこんなことで・・・。」

 侍女はその場に泣き崩れた。

「家族のことは私が責任もって守ろう。よく話してくれたね。ジル、頼む。」

 ジルベールはこくんと頷き、侍女を別室に連れて行った。


「ハンナ・・・気付いてあげられなくてごめんなさい・・・。」

 アゼリアは呟き、膝に肘を立て両手で顔を覆って俯いた。


 テオドールは真っ直ぐにソルティアを見た。

「さて、ソルティア王女。君が侍女を使ってフェリシアの手紙を手にしていたことは分かった。先程君の同級生の令嬢からの証言で第三王子の手紙も君に渡っていたことが分かっている。なぜ、そのようなことをしたのか話してもらえるね。」

 ソルティアは少し青ざめてはいたが堂々とした態度で言った。

「何のことでしょう。何を言っているのか分かりかねますわ。なぜ、わたくしがそのようなことをしなければなりませんの?わたくし宛てではない手紙を受け取るなんて訳が分かりません。」

「そうだね。人の手紙を勝手に受け取り、勝手に読むなんて、どう考えても常軌を逸しているよね。君は勝手に読んでいるよね。君の同級生からの証言は取れているよ。これ、国家機密だったら絞首刑ものだよね。国家機密ではないにしろ、第三王子の手紙を勝手に読んだだけではなく、その手紙を自身のポケットに収めたそうだね。なぜそんなことをしたのか、説明してくれるかな。」

 言葉は穏やかだが、冷たい目でテオドールは質問を続けた。

「あれは、わたくし宛の物ですわ。」

「それは無理があるでしょう。それにね、第三王子が言うには毎日返事の手紙の代わりに婚約者からの伝言があったらしいね。悪質なのだけど君は知っているよね?君に婚約者からの伝言だと言って伝えるよう強制されていたと証言している者達がいるんだ。」

「何か勘違いされているのではなくって。わたくしからの伝言ですのに。」

「それはおかしいね。伝言は『おやすみ、ノア』とか『大好き、ノア』だったらしい。第三王子が自身を『ノア』と呼ばせているのは彼の婚約者であるフェリシアだけなんだよ。学園で知らない者はいないからね。君からの伝言に使われることはないね。君は分かっているのかな。君が何と言い訳しようが証拠はたくさん揃っている。君が手紙を盗んだ犯人であり、虚偽の伝言を伝えさせた犯人でもあることははっきりしているんだ。そろそろ本当のことを話してくれないかな。」

 テオドールは呆れたように言った。

 ソルティアはぐっと唇をかみしめ、顔を背けた。






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