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ガチ恋っ!!ってことで  作者: ゆ


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106/169

106. 手紙④ ×××?

 終業後、部屋に戻ったヴィルノアはもう一通のフェリシアからの手紙を開けた。


 今日もお仕事、お疲れさまです。

 大好きなノアへ 

 愛を込めてフェリシアより×××


 P.S. ×××、知ってる?私たちは××だから、今日は三つ目ね。



「知らない。何だろう?」

 ヴィルノアはカードを胸ポケットにしまうと王宮の図書室に向かった。

 学園の入学前に大抵の本は読破していたが、学園に入学してからは本を読むペースが落ちていた。更にテオドールの仕事を手伝うようになってからはそのペースは更に落ちていた。そういった事情もあって、ここ半年くらいの新刊で手紙の書き方や異国の文化を紹介した本を中心にヴィルノアは読み始めた。

 しかしお目当ての物は見つけられなかった。

「ないなぁ。うーん、あっ、もしかして・・・。」

 ヴィルノアは最近女性に人気だという恋愛小説を紹介してもらい読み始めた。フェリシアが恋愛小説を愛読していることを思い出したからだ。二冊目の中ほどでそれを見つけた。その小説の中で、ヒロインが主人公である青年に送った手紙の中にあった。ただ、それをどう読みどんな意味があるのか、説明されることなく、ただ主人公を喜ばせる意味合いのものとしか分からなかった。

 ヴィルノアは図書館の職員にこの意味を知りたいと言うと、スラングについて書かれた本を紹介してくれた。

 幼い頃からヴィルノアを知る年かさの女性職員はヴィルノアを見て呟いた。

「殿下もそういう年頃なんですねぇ。」

「そういう年頃、ですか?」

「ふふ、フェリシア様と仲が良いようで安心致しました。」

「どういう意味でしょう?」

「そういう意味ですわ。本でお確かめください。」

 そう言って楽しそうに本を抱えて事務室の方に歩いて行った。

 ヴィルノアは首を傾げたが、紹介された本を取りあえず読むことにした。読み始めて本の中ほどでそれを見つけた。ヴィルノアは口元を押さえ頬を赤く染めた。


 ×××、読み方ーキスキスキス 意味ー口付け、×はその回数を示すこともある。手紙の結びで使われ、女性が使うことが多い。会えない相手にキスを贈る時にも使う。


「シア・・・かわいい・・・。」

 意味が分かり満足したヴィルノアは部屋の戻り、カードと手紙を枕元に置き眠りについた。


「今日もフェリシアからの手紙があるよ。続くねぇ。いいね、ヴィル君。愛されてるねぇ。」

 テオドールはにこにこと微笑みながら山となった書類をヴィルノアに渡した。

「はい、今日も頑張ろうか。」

「はい、頑張ります。」

 ヴィルノアは書類を受け取り、早速仕事に取り掛かった。

 テオドールとジルベールは顔を見合わせ、苦笑した。

「ヴィル君、気付いていないよね。」

「そうだな。毎日少しずつ仕事量を増やしてるんだが、終わる時間が変わらないんだよなぁ。」

「そうなんだよ。終わらせるまでの時間が変わらないのに、完璧に仕上げてくるんだ。僕の弟、すごくない?あっ、それより、フェリシアがすごいのかなぁ。フェリシア効果かな。」

「ああ、殿下の仕事は正確で速い。フェリの手紙を読みたい一心なんだよな。」

「そうだね。ヴィル君、分かり易いよね。これからもフェリシアには毎日手紙を書いてもらわないとだね。」

「フェリも楽しみにしているから、それは大丈夫だろう。」

「うん、それは良かった。それにしてもすごい集中力だね。」

「明日も少し増やせそうだな。」

「そうだね。」

 二人は黒い笑みを浮かべて、ヴィルノアを見たのだった。


 いつも通り、昼休みより少し早く書類仕事を終え、ヴィルノアはフェリシアからの手紙を受け取ることができた。


 ノアへ


 忙しいのにお手紙を書いてくれてありがとう。すごく嬉しい。


 手紙と一緒にもらったサファイアの欠片、くず石って呼ぶより欠片の方がこの青い石に似合っていると思わない?、は、透明のガラスのコップに入れました。光にかざすとキラキラしてきれいなんだよ。こんなにきれいなのに、捨てられてしまうなんてもったいないね。他の宝石の加工場でも同じようなのかな?欠片でも充分きれいなのに、何かに使えるといいのにね。

 私の元に来た欠片は、私の役に立っているよ。ノアがくれたってこともあるけど、この青い色はノアの瞳の色に似ているから、欠片たちを見るとノアを思い出します。ノアの色だよね。


 庭を散歩していたらこの寒空の下、可憐に咲く白い花を見つけました。庭師に聞いたら、クリスマスローズという名前だと教えてくれました。白いこぶし大の背丈の低い花です。摘んで花瓶に差すことはできないけど、庭に来ればいつでも見れます。もう少ししたらサクラソウが咲くそうです。ピンクの花です。白い花とピンクの花なんてかわいらしい組み合わせだよね。楽しみです。咲いたらノアと一緒に見たいな。


 ノアが大人になりたいというのは理解できます。私が二歳年上だから余計にそう思うのでしょう。でも、私だよ。ちっとも大人っぽくないし、焦ることはないよ。それに私はかわいいノアも、好きなんだ。エリックが『俺との婚約中からヴィルのこと好きになっていただろう、自覚してなかっただけで、さ』って、前に言っていたの。シルビアも同じようなこと言っていたんだ。だからね、そういうことなのです。私はかわいいノアが好き。大人になって、テオ兄様のような格好良くなってもいいと思うけど、ノアらしいかわいらしさは失わないで欲しいというのは、私の我が儘かな?


 世界で一番我が儘なフェリシアより


 P.S. 今日もカードを書いたの。お仕事が終わったら読んでね。


「かわいいのは、シアの方だよね。」

 ぼそっと呟くと何度か読み返した後に、胸ポケットにしまい、手紙を書き始めた。

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