最終話 強さよりカッコよさ
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四章、最終話です
キリやん達と感動的な別れの最中に突如戻った痛み、そして動かなくなる体。
ウィッチが真っ赤な顔をしながら僕を治癒神の元まで運んでくれた。欲が薄れゆく中、必死に手を動かそうとしたが動かず、目の前で揺れ動くスイカを眺める事しか出来なかったのが悔やまれる。
「マジウケる~、破壊神が破壊されてちゃ世話ねぇっての! マジ卍だし、ぴえんだし」
おかしい。治癒の神なんだよね? 連れてこられた所にいた神は、とてもじゃないが白衣の天使とは言えん。
容姿やプロポーションは素晴らしいと思うが、服装が少しだらしない。あの服洗ってんの? って感じだし、喋り方もなんか変。
あとよく分からん小さいモニターを見ててこっちには目も合わせようとしない。無礼な上位神だ。
「神ッターに呟いとこ…………破壊神、破壊される……マジ爆笑なう…………ほらマジ終わったし! 金置いてさっさと帰れよ」
有無を言わせぬ圧に屈した僕は、なけなしの緑貨数枚を置いて逃げるようにその場を去った。後ろから、足りねぇしいぃぃぃぃ!! と言う声が聞こえる。聞こえなかった事にしよう。
くそ……実は楽しみにしていたのに、白衣の天使……。
「ご、ごめんなさいオルクス様! 近かったのが治癒の神だったので……再生の神の元に連れて行けば良かったですね」
「……再生の神は、白衣の天使なの……?」
「い、いえ、白衣は着ているかどうか……それに天使ではなく神ですので……」
『そもそも今って白衣の天使はいないんじゃないのか? 患者の事より効率重視の時代よ』
そうなのか……まぁとりあえず、今度ケガした時は再生神に行こう。
今度ケガしたら……か。あの痛み、出来ればもう経験したくないけどね。
『今後、人間の体では限界があるかもな。神体であれば苦戦する事もなかった、痛みはただの感覚となる。……神体、申請しに行くか?』
「ダ、ダメだよ! この体でないとビッチや勇者に会っても僕と分かってもらえないじゃないか! せめてそれまでは……」
本音では体が変わってしまう事を恐れている自分がいる。まだそんなに長く生きてはいないけど、この体であるから僕なんだ。他の体になると言うのは、他人を操っているみたいで少し嫌だし。
「望んだ容姿にするにも時間が掛かるんでしょ? と、とりあえずこのままで行こうよ!」
『……分かった。では身を護る術を学ぼうではないか。剣術や武術、抵抗破壊を生かした戦いをマスターするのも悪くない』
えェェェェ……修行するん? 破壊神が剣術やら武術習ってどうすんのさ……それなら破壊の力を強化した方がいい気がするけど。
『この体では強大な神力を放つのにも限度がある。それにずっと思っていたのだが、オルは人や神を壊すのを躊躇うであろう? しかし基本的に破壊は一かゼロ、壊れるか壊れないかだ。力を見せびらかしたり、相手に致命傷を与えるだけに留めるには難しい力なのだぞ?』
確かにヴァルの言う通り、少しだけ傷を与える、行動を阻害する、治療すれば治せる怪我……などを破壊の力で与えるのは難しい。
一かゼロ、生か死、消滅か存在か。圧倒的な力を誇示する前に相手は壊れてしまう、それではつまらないと思っていた。
しかし破壊神が破壊の力を使わずってのはどうなのよ?
『例えば剣術を磨き、剣に破壊を纏わせる。切られた相手は皮膚を、細胞を、組織を破壊され傷ついていく。どんなに強固な鎧を纏っていようが、盾を持とうがバターの様に切れる剣……良くないか?』
確かにそれはカッコいい!! 今も同じような芸当は出来るだろう、でも剣の扱いを知らない僕達には出来て一刀両断、破壊の力を浴びせるのと結果は変わらない。そもそも剣を振れるかも怪しい。
カッコよく剣を振るい、敵を圧していく姿はまさに剣神だね。
「分かったよ! カッコよさのためだ、僕頑張るよ!!」
『その意気である!! では少々神界で修業していこうか! ……で、見合った神の知り合いはいるか? 絶美神』
「え、えぇ……まぁ知ってはいます。剣神は所詮上位神なので、どうせなら最上位神、戦闘の神イクサスキの所に行きましょう!」
相変わらずボッチなヴァル。最上位神の情報くらい覚えなさいよ。
しかし戦好き? なにその狂神、戦闘狂かよ……。やだな、スパルタだったら。
「私、毎日応援に行きますね! お、お弁当作って行きますので!」
「う、うん、ありがとうウィッチ。……え? 毎日? 毎日修行すんの?」
えぇぇぇ……そこはご都合主義にならない? 寝て起きたら剣神のような剣術をマスターしていたりしない? あ、神界では眠くならない……と言う事は? え? 一日二十時間修行したりしないよね?
……やっぱ止めようかな? 別にそんな事しなくとも破壊すれば済む事だしな……。
〈ほんとコロコロと考えが変わる奴だな……〉
「――――まったく油断も隙もない。オルクスのお弁当は姉である私が用意します。貴女は精々スポーツドリンク、もしくは汗拭きタオルです」
「……私が作ってもいいよ……? 妹の手作り死弁当……デスソース和え……」
「い、いつの間に……結構です!! 邪魔しないでくれますか!? 家族だと言うのなら少し自重して下さい!! 過保護すぎます!!」
いきなり現れたエル姉とシニカ。口喧嘩をしつつも僕の修行のプランを練り始めた。
この雰囲気で、やっぱ止めるなんて言う事は出来そうにない。何がそんなに楽しいのか、三人ともニコニコとお弁当のオカズの話に花を咲かせている。
いやさ、神界では食欲消えるんでしょ? 腹減らないのに食わなきゃないの? 色々と覚悟を決めるしかなさそうだね……。
『しかし中々に面白い大陸だったの!! 次の大陸が楽しみである!!』
「そうだね! 色々あったけど、いい破壊生活だったよ!」
こうしてチュウオウ大陸の話は幕を閉じた。
色々と遠回りをしたようだけど、そのお陰で仲間も出来たし、初体験も出来たし勉強にもなった。
まだ霊峰の頂上にも行っていないし、また今度行ってみようと思う!!
これから僕は、手加減を覚えるために修行する。意味分からなくない?
(そして、僕と破壊神の旅はこれからも続いて行く……めでたしめでたし…………エンド)
〈終わり? 終わっちゃうの? ……もう少しだけ続けない?〉
宜しければブクマや評価のほう、お願い致します
色々遊び過ぎたせいで、長くなりました
会話重視のため、読者の想像力に任せるという小説にあるまじき事になっていますが、許して下さい
たくさんのブクマや評価、ありがとうございます
厳しい評価もありましたが、優しい読者が多く助かっています
今度ともお願い致します
次章はやっとですが、勇者編を予定しております
相変わらずご都合主義になると思いますが、宜しくお願いします




