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第四十七話 蚊帳の外

 最下層で制御できなくなった大地の力を破壊し、六合窟のエル姉達の所へ戻って来た僕達。


 なんとも呆気なく終わったものだけど、まぁ世界は救われた。後はラクトの事を処理して、この傷ついた体を修復したら急ぎビラを作成しないと。


 救世の英雄出現!! その名はオルクス・リミットレス!! 見事に中央霊峰の大爆発を静めた男、その正体とはっ!?



〈おい、我の事も入れろよ? オルクハザードであろう?〉


(お前どうせ誰も信じないとか言って乗り気じゃなかったじゃないか! 今更英雄になりたくなってももう遅いぞ!?)


〈まぁいいけど……どうせ誰も見ない、排水溝に溜まるビラが目に浮かぶわ〉



 ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てろよ? 資源は有限なんだ、無駄遣いもいかんぞ? つまり僕が作ったビラを擦り切れるまで眺めた後に何かに再利用してくれ。



〈そのゴミを生み出しているのはオルではないか?〉


〔家宝にします!! 額縁に入れて飾らないと……〕


{……お兄ちゃんの遺影は撮影済み……宣材に使う……?}



 なんて脳内でワイワイとしている内に、エル姉達の元まで戻って来た。


 そこで見たものは、座り込んで項垂れているラクトと、それを見下ろしている断罪の神と理の神であった。戦闘は終わっている様子、辺りは不気味なほどに静まり返っていた。



「エル姉、ただいま」


「あ、オルクス! お疲れ様! こっちもさっき終わったところだよ」



 傷一つ見えないエル姉、服装にもまったく乱れなどは見られない。こっちはボロボロにされたって言うのに、苦戦した様子がまったくないのは如何なものか……。


 そして、こっちも終わってしまったようだ。まだ戦闘中で、僕達の協力があって止めを刺せた……という事なら僕の物語は綺麗に終わっただろう。


 これでは完全に脇役のストーリーだ。僕の立ち位置がエル姉なら、ヒーローは遅れてやって来る! という王道な物語だったはずなのに……なぜこうも思い通りにいかないのか。


 主人公が蚊帳の外って、どうなん?



「……クソ……こんなはずじゃ……」



 項垂れながらブツブツと何かを呟くラクト。


 神気がかなり弱弱しくなっている、一体どんな攻防を繰り広げたのか……。なんだろう、僕の知らない所で強敵が知らない方法で知らない内にボロボロにされた。


 こんな終わり方ってあるだろうか? だがラクトはもうボロボロだ、これ以上どうする事も出来ないだろう。……よし、フラグは立てたぞ。



「では消えてもらうぞ? 私の弟を傷つけた、その報いは受けてもらう。永劫に苦しめ!!」


「ま、待て待て断罪の。こやつには神器の事など聞きたい事が色々とある! 神界に連行し……裁きを受けさせるのだ」



 コトワリィの声に、今にも神力を放とうとしていたエル姉が停止する。聞きたい事と言っていたが……まぁ僕には関係ないか。


 コイツには色々と苦しめられたが、裁きを受け罪を償うと言うのであれば別にいい。塵すら残さず消滅させたいと言った気持ちもなくはないが、この世界での終わりは始まり……神であれば再び同じ神として生を受けるだけ。



「……オルクスがそれでいいと言うなら、そうしましょう」



 転生から外し無限の無に落とすより、己の罪を振り返らせる方がいいかもね。沢山の人間を巻き込み、殺したのではあるだろうが……僕には関係ないし。


 僕は善人でも正義のヒーローでもない。ただ自由にやるだけ、破壊の力を使って自由に生きてみたいだけ。そんな自分勝手な存在が今の僕。



「別に僕はどっちでもいいよ? エル姉に任せる」



 僕の大事な人が殺された……とかであれば怒り狂うかもしれないね。でも別に、フォルナが殺されようが銀獅子のメンバーが操られようが、僕がそれを理由にラクトを壊す理由にはならない。



「……分かったわ。……神判!」



 みんなはガッカリするのかな? 非情だと言うのかな? 今までどんな罪を犯していようが、生かす価値がなかろうが、それを理由に壊せと言われても困る。


 僕達は自由に、やりたいように破壊する。破壊神らしくないだの、甘いなどとそんな事は知った事か! 命令すんな! 破壊神に破壊神らしさを求めんな!!



〈……なぁ、さっきから何言ってんの? うるさいんだけど……誰も何も言ってないだろ……〉


〔流石ですオルクス様! 破壊神らしくありません!〕


{……ご都合主義存在……}




「……覚えておきなさいよ、アンタ達。このままでは終わらせないわよ!!」



 捨て台詞を吐いたのち、ラクトの魂はアンの体から抜けていった。もちろん魂が見えた訳じゃないけど、なんとなくそんな雰囲気がした。


 以前ボンボンの神体にやった神界送りじゃないから、体は残ったままだ。そう言えばラクトはアンの体に入っていたんだよね? 僕達と同じ状況なのに二重人格には思えなかったな。



「そのアンとか言う奴には契約の神力が纏わりついていたよ? 何かしらの契約をラクトと結んだんだろうね」


「そうなんだ……ねぇエル姉、アンは……死んだの?」



 ピクリとも動かないアン……の体。僕とヴァルのような同意の上での同居生活じゃないという事は、もしかしたらアンの魂は……。



「………………がぁ……ッッッガァァァァァァァ!!!」


「ヒッヒャァァァァァァ!?!?」



 ビ、ビックリした! 急にアンの体が震えたと思ったら叫び出した!! ど、どうやら生きてはいるようだが、精神がイカれてしまったようだ。



「ガァグゥフぅぅぅぅぅぅぅ……あ、あん? ここは~……どこでぃ!?」


お読み頂き、ありがとうございます


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