第四十五話 裏コード
「よし……七合窟の入口だよ」
あれから恋愛話に花を咲かせながらも、急ぎ七合窟に向かった僕達。ウィッチやシニカ、そしてまだついて来る友達以上恋人未満のワンスとセカンディ。
今が一番楽しい時だね! でもなんでだろう? 全然羨ましくない。
もう彼らはいいんじゃない? まぁ問答してる時間もないから今回はいいけど、これ終わったらどっか行ってよね?
「ここは七合窟だぞ? お前、ここに入るためのキーを持っているのか?」
ワンスの言う通り、僕達のキーでは七合窟には入れない。
神教会に行ってキー・レベル六をもらう時間なんてないからね。どうしようかと思ったけど、コトワリィがその問題を解決してくれていた。
「無知な男よ……この霊峰には複数の鍵穴がある。複数あるという事は万が一の為にアレがあるのだよ! いかなる世界にも存在するのだ! この、マスターキーはな!!」
僕がコトワリィから受け取った物、それはこの霊峰全ての扉にアクセスする事が出来るマスターキーであった。
第一合窟から第十合窟まで、全てに使用可能な素敵アイテムだ!! 驚け人間!! 下界には存在しない、ご都合主義アイテムだぞ!!
「そ、その七色に変色したキーは……ま、まさか!?」
「そう!! この世に二つとない……よく目を見開いて見やがれ!! これがマスター――――」
「――――キー・レベルマックス!!?? ほ、本当に存在していたとは……」
え……? だっさ……まぁどっちでもいいけどさ。そんなに驚く事か? この男、僕に剣を破壊された時以上に驚いているぞ。
「……驚くのはまだ早い。貴様は知っているか? この霊峰に存在する、十ある扉……それに使用する認証と暗証のコード……」
「もちろん知っている! ……貴様こそ知っているか? 暗証コードはテンション高めで言えと扉に言われるが……実はテンション低めで言っても問題ない事を!!」
なッ…………なんだとォォォォォォォ!!! ローテンションでも問題ない!? コイツ、なぜその情報を広めない!? まさか、馬鹿みたいにテンションを上げる奴らを見てほくそ笑んでいたという事か!?
「も、もちろん知っている! その程度の情報で僕を驚かせようなど三千年早いわ!!」
「物凄く驚いていたように見えたが……では貴様の方を聞かせてもらおうか?」
クソ……驚かせようとしたのに逆に驚かせられてしまった。
機械の神め、余計なトラップを仕掛けてくれる……まぁウィッチのテンションアゲアゲの姿を見られたし、良しとしよう。なにより友だからな、友の遊び心は理解してあげたい。
「聞いて驚け!! この第七合窟にのみ……存在するのだよ! 裏コードがなっ!!」
ははは、さぁ驚け!! 裏コードは機械の神しか知らないと言う話だ、人間のワンスには絶対に知り得ない情報!!
認証だ暗証など、所詮末端のユーザーが使用する大した権限もないもの! こっちは管理者だ! 全ての権限を有しているのだよ!
「裏コード……? そんなものがあったのか。確かにそれは初耳だ」
「…………なぜ驚かない? 我、管理者なるぞ?」
「なぜって……どんなコードだろうが、同じであろう? 扉が開くだけではないか」
た、確かに、その通りかもしれん。ユーザーだろうが管理者だろうが、出来る事が同じであれば権限なんてただの自己満足。
ムカつく野郎だ、しれっと言い返せない事を言いやがって。もういい、時間の無駄だ、さっさと中に入ろう。
ワンス澄ました顔、他のメンバーの早くしろよ? といった視線を背中に感じつつも、僕はマスターキーを扉に差し込んだ。
≪――――レインボーゴッドキーを確認――――≫
え……だっさ……なにそれ? 我が友よ、流石にそのセンスはどうかと思うぞ?
≪――――裏モード発動――――裏コード確認――――≫
裏コードとは……言葉ではない。コトワリィは分かっていなかったようだが、機械の神が僕なら分かるだろうと言っていたそうだ。機械の神マシィンは、こう言っていたらしい。
我が友よ、我らの絆を掲げよ。
これを聞いて意味が分かるのは僕とマシィンだけであろう。僕は聞いた瞬間にすぐ分かった。アレだっ……とね。
僕はゆっくりと、ウィッチに近づいた。
「ウィッチ、貸してくれるかな? あれ」
「あれ……ですか? あれとは……なんですか?」
微妙にウィッチが僕の事を睨んでいる気がする。頭のいい子だ、多分僕が求めている物に見当がついたんだろうね。
ごめんね? これはこの霊峰を救うためなんだ。他意はない、本当だ。
「あれがどうしても必要なんだ……ごめんねウィッチ。僕を信じて、貸してくれないかな?」
「……他の人に見せちゃ嫌ですよ? オルクス様だからですからね? す、すぐに返して下さいね!」
「もちろんだよ、分かってる! グフフありがとうウィッチ」
僕はウィッチから受け取った物を手に包み込み、扉に近づいて行った。
なんて良い感触なんだ、このままこれを持ってここから逃げてしまいたいよ。もう分かるだろ? 敢えてなんなのかは言わんよ?
僕は受け取ったそれを両手で持ち、天に掲げる様にして声高らかに叫んだ。
「我が友よッ!! これが我らの絆だ!! 扉を開けよ!!」
「み、見えてます!! めっちゃ見えちゃってますぅ!!」
叫ぶウィッチ、そして掲げられる黒いおパン……もとい裏コード。
扉は開かれた。そそくさと僕は裏コードをポケットにしまい込む。
「……マシィン、後で絶対殺す…………オルクス様? なんでポケットにしまっちゃうんですか?」
ダメか……あわよくばと思ったが、ここは素直に返却しよう。
いつか必ず、手に入れて見せる!!
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※読み飛ばした方の補足として
裏コードとは第四合窟にあった宝です、再登場させないつもりが、出てきてしまいました




