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第四十四話 それぞれの恋愛事情

 ラクトの後処理をエル姉とコトワリィに任せ、僕達は大地のエネルギーが溜まっていると言う場所を目指して進んでいた。


 その場所には七合窟から行けるらしい。コトワリィが大地の神と機械の神に詳細を聞いたらしく、それを伝えられた。



「七合窟から最下層に行けるって話だったよね?」


『……急ごうぞ』



 コトワリィの理の力で、僕の体は気合で動かせる状態だ。


 でも長くは続かないらしい、早く終わらせないとまた動かなくなってしまう。ついでと言ってコトワリィは痛みも消してくれたけど、時間がくれば再び痛みが戻る。


 いきなり激痛が来るなんて、怖いな。やっぱりヴァルにもう一度支配権を渡そうかな?



『……で? なんで貴様らがいるのだ?』



 僕達が先頭を歩き、その少し後ろをウィッチとシニカが歩いている。


 問題なのはウィッチの後ろ、キョロキョロと辺りを警戒するような素振りを見せていたのは、セカンディとワンスであった。



「私はお姉様の下僕です。お姉様を危険から守らないと」


「お、俺は……セカンディに、ついて行っているだけだ……」



 キリッっとした表情でウィッチを警護するセカンディ、そのセカンディを悲しそうな表情で眺めるワンス。


 お姉様とか下僕とか、また魅了されているのかこの男は?



{……私も下僕……欲しい……}


〔そ、それが……ワンス達に神術を使わせようと動いていた時なんですが――――〕



 ウィッチの話だと、銀獅子の男どもを蹴散らした後、ワンスに神術を放つように迫るもワンスはそれを拒否したらしい。


 一刻の猶予もなかったため、魅了の力で強制的に従えさせようとした時に、ワンスの隣にいるセカンディの事が目に入った。ワンスには魅了を防がれてしまったと言う嫌な記憶が残っていたため、楽に魅了出来そうなセカンディにターゲットを移し魅了した。


 しかし何故かは分からないが、男としてウィッチに魅了され下僕になった感じではなく、このような感じになってしまったらしい。


 今のセカンディから感じる心は女、何時ぞやの花の神と同じ状況になっているらしい。



〔弱い魅了を放ったので、とっくに効力は切れているはずなのですが……戻らないんです、この男……いえ、この女〕


(女になったって事? 心が? や、やめてよ……花のブスを思い出すじゃないか……セカンディはイケメンだとは思うけどさ……)



「お姉様!! そこ小石があります! お気を付け下さい! ……ほらワンス!! ボケっとしてないで小石を拾ってちょうだい!!」


「あ……はい……」



 黙って言う事を聞くワンス。ウィッチの前に転がる小石を拾い、端に投げ捨てる姿はとても金色神徒には見えない。


 戻らないって言う事は、セカンディはこれから男の姿のまま女として生きていく事になるという事だろうか?



(……あれ? それでいいんじゃない? 今はウィッチの魅了は解けているんでしょ?)


〔そのはずです。彼から……彼女から感じる念は私に対する憧れと言うか、女子高の後輩がカッコいい先輩に抱くものと同じ感じがします〕



 それはよく分からないが、それであればセカンディの感情は変わるはず。破壊されたり魅了されたり色々とおかしくなったセカンディだが、最終的にいい方向に転んだようだ。



「ワンスさん!! 朗報、朗報です!! 実は今のセカンディさんは――――」



 僕はワンスにセカンディの状態を説明した。


 すると悲壮感しかなかった表情には光が射し始め、徐々に希望に満ち溢れた表情へと変わっていった。



「――――つ、つまり俺の頑張り次第で……セカンディと再び愛し合える!?」


「え、えぇ……まぁ……そうですけど……。あの、見えない所でやって下さいね? 見た目、男なんですから」



 嬉々とした表情でセカンディに向かって行くワンス。


 おいおい、いきなり行動するのかよ? 凄い行動力だ、後学のために見ておこう。このイケメンはどのように女の子をナンパするのか。



「セ、セカンディ? こ、こここここの後ひま? 茶茶々茶茶でも行かない?」


「な、なによワンスいきなり!! やめてよ!! 貴方とはただの幼馴染でしょう!? は、離してよッ!!」



 ……なんだコイツ。これなら僕の方がまだスマートに女の子を誘えるぞ? 同意も得られていないのに、強引に手を引っ張ったらダメだろう?


 あれか……イケメン故の弊害。女は追うものではい、待っていれば向こうから寄って来る。


 自分から女を追った事がないワンスには、女の捕まえ方が分からないのだな? ワンスにとって女は生ゴミに群がるコバエが如し、一体いくつの女を駆除してきたのか。



〈お前さ、もう少しまともな例えは出来んのか? 樹液に群がる昆虫とかさ〉


{……落ちたアイスに……群がるアリ……}


〔それもどうかと……思いますけど……〕



「やめてよワンス! どうしちゃったの!?」


「お、俺はお前を愛しているだけだ!! 俺は何も変わってない!」


「あ、愛してるって……も、もう! やめてよワンス! きゅ、急に……何言うのよ……」



 おやぁ? セカンディの雰囲気が変わったね? 急にしおらしくなって、ワンスを意識し始めたぞ?


 ……そう言う事か。やっぱり女には真っすぐと好意をぶつければいいんだな? 回りくどい事はせず、正直に想いを伝える。さすれば女など簡単に落ちる。【個人の勘違いです】



(ウィッチ!! シニカ!! お前達を愛している!! 僕だけを見ていろ!! 黙って僕についてこいっ!!)


〔ハイッ!! どこまでもついて行きます!!〕


{……私は妹だよ……? ……お兄ちゃん……いいの……?}



 ふはははは!! ちょろい女どもだ、こうも簡単に股を開くとは。僕は恋愛をマスターした、モテない男どもよ、我に教えを乞うがよい。



〈開いてないし、その勘違いはいずれ身を亡ぼすぞ? そもそもそいつらは特殊だろ……〉

お読み頂き、ありがとうございます


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