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第三十八話 友の想い

ブクマや評価を下さった方、ありがとうございます

「ククク……さぁどうする破壊神!! アンタ達の攻撃はアタシには通らない……けど分かったでしょう? アタシの攻撃はアンタ達に通るわよ?」



 懸念していた、アンからの攻撃。今までは一進一退、決定打に欠ける攻防を繰り広げていたが、天秤はアン側に傾き始めた。


 理由は分からないが、アンには神力を放つ気配がなく、また剣術も脅威ではなかったため戦況を維持できていたが、アンから予想もしていなかった攻撃が放たれた。


 破壊の力。破壊神にのみ扱う事を許された力が、あろう事か別の神が放って見せた。



『我の力が……我に牙を剥くだと……? 貴様……いったい何の神だと言うのだ!』


「噂通りバカなのね? アタシがどんな神であれ、破壊の力を扱える訳ないじゃない」



 アンは破壊の力を扱えない? しかし事実破壊の力を放って見せた。アン自体が扱えないのだとしたら、考えられるとすれば神器。


 アンは破壊を放つ時、こちらに剣先を向けていた。その先から破壊が放たれたように僕には見えた。ワンスの剣のように剣型の神器は存在する、恐らくあの剣が四つ目の神器ではないだろうか?



〔オルクス様の予想通りだと思います。神力変換、抵抗増幅、不可視の壁、そしてあの剣……〕


(……って事は、アンは攻守ともに優れた力を持っているって事だよね?)


〔アンは神力を使っていません。神体ではない事は分かったので、抵抗力もたかが知れています。問題は……壁と剣の神器です〕



 神器の詳細は分からないが、神力を使わないのであれば変換の神器は意味がないように感じる。人間の体の抵抗力を増幅させた所でたかが知れている……。


 問題は壁を何とかしない限りこっちの攻撃は通らず、あの剣からは破壊が放たれる。


 え……これ、どうすればいいんだ?



〔……オルクス様、私は神界に撤退を進言します〕


(てっ……撤退……?)


〔無理をしてこの女の相手をする必要はありません。オルクス様達は満身創痍、神界で治癒のち、再び戻りあの神を破壊する……どうですか?〕


(僕は……それでいいと思うけど……)


〈…………あぁ〉



 ヴァルは突っぱねると思ったが、意外にも押し黙った。


 ヴァルの想いが伝わって来る。この状況をヴァルも理解している、こんな状況でヴァルの最上層にあった意識は僕の事だった。


 この最上の神は、逃げると言う事など今までした事はないであろう。そんなものは破壊神としてのプライドが許さない。


 逃げるのはいつも弱者、破壊神が弱者であったはずがない。


 しかしヴァルが、情けない姿を取ってまでも、プライドを捨ててまでも優先しようとしているのは、僕の安全だった。



〈……すまんな、オル。弱者にしてしまった〉


(そんな!! それは僕のセリフだよ!! 全部僕のせいだ! 僕が弱いだけ、ヴァルは弱くなんかない!!)


〈……我はここで朽ちても問題ない。しかしオルは……ここで消えれば、お終いだ〉



 ヴァルは転生する、再び最強の破壊神として。


 でも僕は違う。ここでオルクスの魂が消えれば、僕は違う人生を歩む者に転生する。


 ヴァルやウィッチ、様々な者達の記憶は消え、また不幸のどん底人生が始まるのだ。



 ……でも、いいんじゃないかな? もう十分に、破壊神ヴァルハザードのお陰で楽しんだ。心残りはあるけれども、友達の……初めて出来た大切な友の信念を曲げてまで、僕に付き合わせる訳には行かない。


 そんなの、不幸な人生を送る事より……嫌だよ。



(……ヴァル、僕の気持ち感じたよね? 自由にやってよ! ヴァルが僕にくれたみたいに、自由に!!)


〈オルクス……しかし、まだやり残した事があろう?〉


(いいんだよ!! もう十分!! ……見せてよ、圧倒的な力を持った破壊神の、自由な戦いを!!)


〈…………フハハ! よかろう、見せてやる! 我は最強の神、破壊神様だ!! なぁに安心しろ、例えこの人生が終わっても、何千年掛かろうとも再びお前の魂を見つけ出し、くれてやる……自由な、破壊人生をなッ!!〉



 決意した僕と破壊神がアンに向き直る。


 ウィッチは何も言わずに僕の後方に控えてくれて、援護してくれるようだ。



「……なによその顔? 気にくわない……さっきみたいに情けない顔していればいいのよ!!」


『情けない顔……か。フハハハハ! オル、言ってやれ』


「うっせーブゥゥゥゥス!!! そのキモ顔よりマシじゃい!!」



 怒ってる怒ってる! やっぱりこうじゃないとね! シリアスな重い空気は僕達らしくないよ! 気分アゲアゲ! さぁ、参りましょうか!!



(で、どうするの? 破壊神様には何か秘策がっ!?)


〈んなもんないぞ? どうしよう? 想いだけで強敵に勝てたら苦労せんよ〉


(まったまたぁ~! さっきやる気満々になってたじゃん! 隠し玉でもあるんだろ?)


〈んなもんないぞ? どうしよう? 意気込めば覚醒するかと思ったけど、そんな都合よくないみたい。逆に悲報があります〉


(……おい、どうすんだよ? 僕はまだ死にたくないぞ? 悲報ってなんだよ!!)


〈死んでもいいって言ったじゃん……あのねぇ、左腕が動かなくなっちゃった!〉



 万事休す!?!? 正直なんとかなると思っていたんだけど、そこまで都合よくはないみたいだ。


 やっぱり神界に逃げ帰ろうと思った時、とある声が聞こえるのだった。


お読み頂き、ありがとうございます


宜しければブクマや評価のほう、お願い致します


最近、投稿時間が仕事の影響で定まりません

基本は12時や17時代に投稿しようとら心掛けております

宜しくお願いします

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