↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/221

第二十七話 崇高な奇行

 ワンスとセカンディ、彼らは愛し合っていた。


 しかし彼らは男同士、まだまだ世界に浸透しているとは言い難い、秘密の関係。異性を愛する者にとっては信じられない世界。


 しかし同姓を愛する者の存在は聞いた事があった。僕も女同士の恋愛には興味を惹かれ、調べた事もあったが……最初に男同士を目にする事になるとは。



「フォ、フォルナ……生きていたのか」


「なに勝手に殺してんのよ? まさかワザと置き去りにしたの?」



 僕達の事を確認し、驚愕の目をフォルナさんに向ける二人。ワンスの言い方から察するにフォルナさんはすでに死んでいたと思っていたようだが。



「助けられたのよ! サードスは死んだわ……このパーティーがこんなにも卑欲に溢れていたなんて知らなかったわよ!!」


 お怒りのフォルナさん、その気持ちはなんとなく分かる。


 こんなに綺麗なフォルナさんを差し置いて男同士の恋愛、一人は欲のぶつけ方を間違い暴走。長い時で作った絆、信頼は呆気なく壊れてしまった。



〈本当に愚かな欲だのぉ~、世界から性欲を破壊してみようか?〉


(……そんな事をしたら世界が終わるよ。正確には人間はいなくなる、文明も崩壊するだろうね)



 人は欲があるから行動する。その原動力は凄まじく、生きる根幹とも言えるだろう。その中でも性欲は強い、しかしこの欲は強すぎると大変な事になる。


 難しいね、サードスの行為は犯罪だけど、ワンス達は別におかしな行為はしていない。欲を抑えるのは中々に難しい。



「……サードスが死んだか。お前達を置き去りにした訳ではない。しかし分断された時、お前達の実力では生き抜く事は出来ないと思っていた」


「だったら早く助けに来なさいよ! まぁそのお陰でアンタ達の奇行に気づけたし、そこには感謝するわ」



 初めはお淑やかだと思っていたフォルナさんが崩れていく。でもこんな事があっても穏やかなままならそれはもはや聖女だろう。



「……奇行か。お前には分かるまい、俺達の愛の深さが」


「分かりたくもないわよ」


「俺はセカンディのため強くなった、俺はセカンディのために生まれてきたのだ」


「どんなためよ、生まれなおせよ」


「愚かな女だ、お前はただの隠れ蓑……しかしこれで……」


『――――おっ! おいオル! 宝箱があるぞ!』


「…………隠れ蓑? 世間に見せられない関係、その程度の愛なんてたかが知れているわね」


「――――本当だ!! …………あれ? 空だよ? 入れ忘れかな? あれ、消えちゃった」


「お前達には理解できない、それほどまでに崇高な関係なのだ」


「なにが崇高よ! 奇行の間違いよ!」


『――――アイツらが取ったんだ! 奪おうぞ!』


「サードスが死に……ここでお前も死ねば、誰も俺達が二人でいてもおかしいとは思わなくなる」


「――――え~もう関わりたくないよ、さっさと次に行かない?」


「そんな事のために私を殺そうって言うの? 本当に気持ち悪い……私の時間を返して欲しいわ」


「随分と余裕だな? 俺の力を知らない訳ではあるまい? 馴染みのよしみだ、苦しまないように殺してやる。安心しろ、こいつ等も殺す。見られた以上死んでもらう」


『――――位置的に最奥っぽいし、踏破した事になるのだろうか? では、帰るか』


「アンタは確かに強いわ、私の知っている中じゃ一番……だった」


「……だった? おかしな言い方をするな?」


「――――そうだね、大地のエネルギーも感じないし。ウィッチ~……なに見てんの? そんなのいいから、もう帰るよ?」


「おかしくないわ、私はアンタより強者を知ったの。私の事は殺せても、あの人には絶対に敵わない」


「あの女子供が強者? ふんっ、なら試してやる……神術・雷神招致!」


「え~もう帰るんですか? 今、良い所ですよ? ……あ、危ないですよオルクス様」



 何が危ないんだろう? まったくこの子は、いつまでこんな昼ドラを見ているのか。これは深夜枠だ、とてもじゃないが倫理委員会が黙ってはいない。


 ……ん? なんだこのバチバチした人。



〈雷の神の力を感じるぞ? いつ降臨したのだ?〉


〔これは雷神本体ではありません。あのワンスとか言う攻め手が放った神術です〕



 なぜその神術が僕を威圧しているのだろう? 僕なにかした? 見なかったことにして帰ろうとしていたのに、帰り道を塞がれてしまった。



「お前どこかで見たな? ……まぁいい、悪いがお前達にも死んでもらうぞ? 俺達の関係を知った奴を生かしてはおけん」



 生かしておけんって……ワンスは本気のようだ。その横に立っているセカンディも同じ考えの様子、秘め事を見られたから僕達を殺そうと神術を放ったのか。



「別に貴方達の事は誰にも言いませんよ? 口にしたくもないし、帰ってもいいですか?」


「ふざけるな、お前が帰るのは冥土だ。雷神! そいつを殺せ!!」



 バチバチと体から電撃を迸らせながら迫って来る雷神。見た目は確かに強そうだけど、これ神術なんだよね? 神力の下位互換でしかない神術で僕を殺せるわけないだろ。



〈余裕ブッこいておるが、神力を纏うかぶつけないと死ぬぞ? 肉体はまだ人間なのだ〉


(は、早く言えェェェェェ!! あッぶね!!! ギリセーフ!)


〈いや、ご存じでしょう? 何を今さら……最悪頭だけは守れ、そこさえ無事なら問題ない〉



 なんとなく、神術であれば僕には効かないという謎の自信に包まれていた。よくよく考えれば神術を使う奴と戦うのは初めてかもしれない。


 破壊の力を放つと雷神は呆気なく消え失せた。やはりただの神術か。



「……うまく避けたようだな? ならこれはどうだ?」



 再び神術を放ってきそうなワンス。どうしよう、壊してもいいのかな? フォルナさんは悲しまないだろうし、いいよね?


 あぁ……一人いるか、ワンスを壊したら悲しむ奴が。


お読み頂き、ありがとうございます


宜しければブクマや評価のほう、お願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。