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第二十五話 適当な暴論

 フォルナさんと共に六合窟を進み、ワンス達を探して歩いていた僕達。


 彼女達は金色神徒、幼馴染パーティーという事だが内情は中々に悲惨。幼馴染を性の捌け口としていた男、リーダーであるワンスのワンマンチームである事、そのリーダーの事を考え解散を進言する女……面倒なパーティーに引っ掛かってしまった。



『ワンスの幸せとはなんだ? お前が考えている事がワンスの幸せなのか? その考えが到達していないと言ったのだ、ワンスと同じ高みに。同じ目線、同じ土俵に立ってから出直す事だ。己の力だけで天まで登った者に、未だに地上を這っている者の言葉など届かん』


「簡単に言えばアンタ達は弱いのよ、弱者には本来権利など何もないわ。強者の事を考えている余裕なんてあるの? そんな時間があるなら強くなる事ね」



 ヒィィィィィィィ!? 言い過ぎでしょ! 君達は神、彼女は人間なんだよ!? 生きてきた時間、考え、存在、何もかも違うと言うのに!


 そりゃ神目線、強者目線ならそうなのかもしれないが……神様なんだからもっとなにか言い方があるだろう!?



「た、確かに私達はワンスに比べたら弱者です! しかしそれだけの理由で助言すら出来ないのはおかしいです! 弱者は強者の事を考えてはいけないと言うのですか!?」



 フォルナさんが声に怒気を含め始める。そういう反応になるよね? 僕もどっちかと言えばフォルナさん側だし、弱者だからこそ弱者の気持ちが分かると言うか……。



『助言するなとは言っていない。しかしその助言を有益とするか、聞き入れるかどうかは強者の特権。その先に弱者は踏み込めぬ、精々吐いた息が天上に届く事を願うだけ……それ以上の願いは厚かましいと言うものだ』


「強者が弱者から学べる事なんてなにもないわ、何もないから強者なのよ。学ぶのは弱者、庇護されるのは弱者、従うのは弱者……弱者が強者の行動を決めるなんてお笑いだわ」



 この世はそんなに世紀末だったか? 強い者が全て……みたいな。僕的にはどっちも間違っているとは思わないけど、ヴァル達の言う強者って……寂しくないかな? フォルナさんが言う弱者って……甘えてないかな?



「…………願っても、学んでも、頑張っても強者になれない者もいるのです。弁えています、他の者に進言なんて致しません。でも私達は幼馴染だからっ! 共に過ごした長い年月、そこにある思いは特別なのです! 昨日今日あった人にそこまで言われたくありません!!」



 う~ん、行くとこまで行ってしまった感があるな。もっと和気あいあいと行きたかったのに……漂う雰囲気はちょっとよろしくありませんね。


 仕方ない、ここは僕が一発、場の雰囲気を変える一発芸でも――――



『――――幼馴染だから、なんだ? 思いが特別? たかだか数十年程度の年月で、何を分かった事を言っている? その僅かな時間が何をもたらした? お前の思いは、願いは届いたのか? 分かっただろう? 必要なのは時間ではない、力だと』


「そもそもその幼馴染とやらに襲われて、殺されかけた。他の奴も一向に助けに来る気配がない。凄いパーティーね? 絆の浅さを感じるわ。と言うかアンタ気づいているかしら? 進言って、その時点で同列じゃないじゃない」



 おおぅ……なんて言う雰囲気。フォルナさんは怒りの表情をしつつ涙を一筋……アカンやん、なんで泣かせるのさ。


 はぁ、余計な事言わなければよかった、口は災いの元……力などなくとも簡単に壊れる物もあるんだね。よし、ここは僕が……。



「……えぇぇ、では皆さま。場も温まってきた事ですので、ここで僕が破壊の力を使った一発芸をば――――」


「――――もう結構です!! あなた達のような強者には分からないのです! 弱者の気持ちなど!!」



 怒りを撒き散らしながら奥へと進んで行ったフォルナさん。周りが見えていないのか、魔者の気配がするのもお構いなしに進んで行った。



(なぁ、言い過ぎじゃない? 彼女は人間だよ? 僕が頼んでおいてなんだけど、適当に流してもよかったじゃん)


〈適当だぞ? 特に深く考えておらん〉


〔適当ですね、それっぽい事言ってみました〕


(はぁ!? なんでそんな事言うの!? 彼女怒って行ってしまったじゃん!)


〈いやぁ、なんとなく……神っぽいかと思って〉


〔女は嫌いです〕



 なんて奴らだ、ちゃんとした考えがあるならまだしも、神っぽいとか、嫌いだからとか……子供みたいな事言いやがって。


 弱肉強食、それは間違っているとは言わないけど、そんな暴論を適当に言ったなんて。



「か、彼女を追いかけないと! 魔者に食われちゃうよ!!」


『別によくないか? 自ら行ったのだ、覚悟しての事だろ』


「そうですよ。本来私達には関係ない事、あの人を助けるのは他のメンバーが行う事です」



 能天気な破壊神に、女嫌いの絶美神、言っている事は間違っていないが、このままでは後味が悪い。


 僕は弱者だけど、幸いな事に僕には決定権がある。正確には強行権かな? 自由にやらせてもらいますぅ!!



「僕は行くよ! そんな手間でもない、この程度の事で夢見が良くなるなら安いものだ!」



 二人の返答を聞かず僕はフォルナさんが走り去った方へ向かった。


お読み頂き、ありがとうございます


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