↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/221

第十七話 演技指導

 ウィッチが攫われて捉えられていると言う場所にやって来た。


 ウィッチの事だから大丈夫だと思うが不安はある、あの神殺しによって正常な状態じゃなくなっていたためだ。



「とりあえず中の様子を見てみよう、あそこの窓から覗けるかも」



 正面から突入しようかとも思っていたけど、中で何が行われているのか分からないからね。


 もしかしたらピンク色な光景が……。



〈お前……その光景が繰り広がる前に助けたいのではなかったのか?〉


(……冗談だ、でも万が一! そんな事になっていたとして! 僕に見られるのは嫌だろう!? 配慮したんだよ!)



 適当な理由を付けてヴァルの言及を躱したのち、窓からそっと中の様子を覗き見る。


 そこに広がっていた光景はッ!!



「よく来たなクソガキ!! 待ってたぜぇぇぇ!!」



 な、なに!? 見つかっただと!? なんという察知能力、僕はこいつ等の事を侮っていたのかもしれん!


 ……見つかったのなら仕方ない、堂々と正面から……。



「――――やり直しっ!! クソガキって何よ!? オルクス様にそんな口を利くんじゃないわよ!?」



 ……うん? 今ウィッチの声が聞こえた様な……気のせいか?



「す、すいやせん姐さん…………よく来たなオルクス様!! 待ってたぜぇぇぇ!!」


「あんたバカァ!? なに様つけてんのよ!? そこは許すわ! 仕方ないもの」



 やっぱりウィッチだ、この窓からウィッチの姿を見る事は出来ないが、位置的に一番奥にいるようだ。元気そうな声だったけど……なんでか僕の名前が出てきたな。



「ほら、それじゃ最初から行くわよ! ケース一! オルクス様が正面から私を助けに来てくれた場合…………スタートッ!!」



「よく来たなオルクス! 待ってたぜぇぇぇぇ!!」


「お前の大事な女は預かってるぜぇ? お前の大事な大事な女は預かってるぜぇぇ!」


「そんなに急いで……よほどこの女の事が大切なようだな? だが一足遅かったなァァ!」


「い、今からこの女をお前の目の前でオカ、お菓子……犯して、お、お……」


「カァァァァッッット!! ちょっとアンタ! なにぶち壊してくれてんのよ!? そんなに難しい台詞じゃないでしょ!?」



 ……こいつ等は何をやっているんだ? 僕は隣の窓に移り中の様子を見た。


 そこに広がっていたのはピンクな雰囲気にはほど遠い、殺伐とした様子。ウィッチは一番奥の椅子に足を組みながら腰かけ、六人ほどの男に檄を飛ばしている。



「もういいわ! 次行くわよ! ケース二! お邪魔虫であるキリヤンが一緒に来ていた場合……スタートッ!!」



 ウィッチの声に慌ただしく動き出す男達、それはやはりスッポンポンにしたあの男達であった。土竜の宴……とか言ったよね、この状況は……。



「カット!! アンタ達ほんと使えないわね! なんでこんな簡単な事も出来ないの!?」


「「「すいやせん……」」」



 捕らわれたウィッチを僕が助けるサクセスストーリー……と言った所か? これどうしよう? ウィッチの為にもある程度の準備が整ってから突入してあげるべきかな?



〈あほらしい、もう放っておけ……絶美神は無事だったのだから良かろう?〉


(う、うん……でもさ、菊地の敵討ちが……あるのだけれど……)



 菊地をあんな目に合わせたこいつ等を許す訳にはいかない、何かしらの報いは受けてもらわないと……菊地が報われないからね。



〈もう十分受けているのではないか? 見ろ、あの表情……かなり苦しそうだぞ?〉



 ヴァルの言う通り、男達は苦悶の表情を浮かべ演劇を続けている。


 まぁ百歩譲って精神面はいいとして、肉体的にも苦しんでもらわないと……でも破壊の力って損傷じゃなくて消滅だからなぁ……。



「次ッ!! ケース七! オルクス様が仲間を引き連れて現れる場合! 神々の行進バージョン!!」



 どんな場合だよ、神々を引き連れてって……ちょっと興味あるけど。


 はぁ……とりあえず行くか、あとは流れに任せよう。



「……ウィッチ~助けにきたよ~」



 僕は正面から廃墟内に足を踏み入れた。


 予想に反して早かったためか、ガタゴトと奥から物音が聞こえる。慌てているようだ。



「き、来たぞ!? 一人か!? 神々はいないな!? よ、よし……えと……ケース三か?」


「いや王道パターンだ! ケース一だ! 配置につけ!!」



 出来る限りゆっくりと進んでいるけど、大丈夫だろうか? どれだけ練習したのかは知らないが……見せてもらおうか? 練習の成果とやらを。



「お前らぁ~よくも菊地を、そしてウィッチを返してもらおうか~」



 ウィッチは一番奥の椅子に座って気絶……している演技をしているようだ。ウィッチの前にいる男は六人、ちょっと緊張しているようだね、リラックスリラックス!



「げへへぇぇぇオルクスよ、よく来やがりましたな!? そんなに姐さ……この女の事が大事なようで」


「お前の大事な女は預かってるぜぇ? お前の大事な大事な女は預かってるぜぇぇ!」


「…………」


「……お、おい?」


「…………はっ!? 俺か……そんなに急いで、どこに行こうってんだ!? 残念ながら少し遅かったな!」


「…………ッチ」


「ヒィィッ!? お、犯してやる!! お前を犯してやる!!」



 ……ボロボロだな。


 まともだったのは一人だけ、台詞を忘れた奴にウィッチが舌打ちしたよね? 気絶してるんじゃ? それにビビったのか最後の奴は僕を犯すとか言ってきた。


 男達に緊張が走る、それは後ろで気絶しているウィッチから禍々しい気が溢れているためだ。


 ……僕が手を下す必要はないかもしれない。


お読み頂き、ありがとうございます


宜しければブクマや評価のほう、お願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。